医師の指導と正しい知識のもと進める
食物アレルギーの治療
田村小児科クリニック
(京都市左京区/北山駅)
最終更新日:2026/07/16
- 保険診療
卵や小麦、牛乳など、離乳食を始める際に食物アレルギーが心配になる保護者は少なくない。こうした不安から、「離乳食の開始を遅らせたほうが良いのでは」「アレルギーが心配だから食べさせないほうが安心では」と悩む人も多いだろう。しかし現在は、必要以上に食べ物を除去するのではなく、適切に食べられる範囲を確認しながら食べ進めていくことが食物アレルギー治療の基本的な考え方となっていると、京都市左京区の「田村小児科クリニック」院長の田村真一先生は話す。そこで今回は、京都市立病院で小児のアレルギー診療に長年携わり、経口負荷試験やきめ細かな食事指導を通じて多くの親子を支えてきた田村院長に、食物アレルギーの正しい知識や検査・治療、日常生活で気をつけたいポイントについて詳しく話を聞いた。
(取材日2026年6月30日)
目次
「食べられるものは食べる」が基本。必要以上に恐れず、医師の指導のもと適切な対応を
- Q小児の食物アレルギーについて教えてください。
-
A
▲食物アレルギーは自己判断ではなく、まずは相談が大切
食物アレルギーとは、体が害のない食べ物を「異物」と勘違いし、過剰に排除しようとする免疫反応のことです。主に乳幼児期に多く見られ、離乳食が始まる時期に気づくことが多く、食後数分から2時間以内にじんましんや皮膚の赤み、かゆみ、嘔吐、咳などの症状が現れます。まれに呼吸困難や血圧低下を伴うアナフィラキシーを起こすこともあり、その場合は速やかな対応が必要です。原因となる食べ物は、乳幼児では鶏卵、牛乳、小麦が多く、成長に伴ってナッツ類や甲殻類、果物などが増えてきます。症状や原因には個人差がありますので、自己判断で食べ物を除去するのではなく、まずは小児科やアレルギー科の医師に相談することが大切です。
- Qどのような検査を行うのですか?
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A
▲食物経口負荷試験により食べることができる量を正しく知る
食物アレルギーの診断では、まず「何を、どのくらい食べて、いつ、どのような症状が出たのか」を詳しく伺う問診が最も重要です。その上で必要に応じて血液検査を行い、原因となる食べ物に対するIgE抗体の値を調べます。ただし、血液検査で陽性だからといって必ずしも症状が出るとは限らず、検査結果だけで診断することはできません。そこで当院では、必要に応じて食物経口負荷試験を実施し、医師の管理のもとで原因と考えられる食べ物を少量ずつ食べ、症状の有無を確認するとともに、「何グラム程度まで食べられるか」を具体的に評価しています。検査は適切な判定と安全性を確保するため、体調が安定している日に実施することが大切です。
- Qどのような治療を行うのでしょうか?
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A
▲試験中症状が出ても安心できる体制を整える
現在の食物アレルギー治療では、原因となる食べ物を必要以上に除去するのではなく、「食べられるものは食べる」という考え方が基本です。食物経口負荷試験で少量でも食べられることが確認できた場合は、ご家庭でも医師の指示に従って、決められた量を継続して食べながら経過を観察していきます。無理に量を増やしたり、自己判断で中止したりせず、お子さんの様子を見ながら少しずつ進めていきましょう。万が一症状が現れた場合は、速やかに医師の指示に従って対応し、必要に応じて内服薬やアドレナリン自己注射薬を使用します。
- Q食事指導について詳しく教えてください。
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A
▲具体的な説明と成長に合わせた食事指導を行う
当院では、「食べてはいけないもの」ではなく、「何を、どのくらい食べられるか」をお伝えすることを大切にしています。例えば、卵であれば何グラムまで食べられるのか、加工食品ではどの程度含まれているのかなど、ご家庭で迷わないよう、一人ひとりの状態に合わせて詳しく、具体的にご説明しています。また、食事の進め方や症状が現れた場合の対応についても丁寧にお伝えするだけでなく、一覧表などをお渡しして、保護者が安心できるようサポートしています。不安や疑問があれば、その都度相談しながらお子さんの成長に合わせて食事内容を見直していきますので、必要以上に不安を抱え込まず、安心してご相談ください。
- Q保護者や家族が気をつけたいこと、注意点はありますか?
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A
▲不安に寄り添い相談しやすいクリニック作りをめざす
食物アレルギーは、皮膚の症状を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、咳や呼吸の乱れ、腹痛、嘔吐などで現れることも少なくありません。そのため、保護者が食物アレルギーについて正しい知識を持ち、さまざまな症状が起こり得ることを知っておくことが大切です。また、誤って原因となる食べ物を口にしてしまった場合の対応をあらかじめ確認し、ご家庭だけでなく、保育園や幼稚園、学校と共有しておきましょう。さらに、アトピー性皮膚炎や喘息は食物アレルギーと併せて見られることが多いため、皮膚や気道の炎症を適切にコントロールすることも重要です。正しい知識を持っておくことで、万が一の際にも落ち着いて対応しやすくなります。

