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田村 真一 院長の独自取材記事

田村小児科クリニック

(京都市左京区/北山駅)

最終更新日:2026/07/02

田村真一院長 田村小児科クリニック main

北山駅1番出口から徒歩3分、府道103号に面したマンションの1階に「田村小児科クリニック」はある。待合室を彩る猫の壁紙や季節ごとに替わるイラストは、前院長が約25年にわたり大切にしてきたもの。その温かな空間を引き継いだ院長の田村真一先生は、京都府立医科大学卒業後、小児の血液疾患やアレルギー診療に長く携わってきた。食物アレルギーの経口負荷試験や呼吸機能検査にも対応し、かかりつけ医としての役割に専門性を加えている。語り口はあくまで穏やかだが、「子どもと保護者のオアシスをつくる」という前院長の理念を受け継ぎたいと語る言葉からは確かな熱意がにじむ。田村院長に、継承の経緯やアレルギー診療への思いについて聞いた。

(取材日2026年6月9日)

25年の病院経験を携え、地域の小児科を継承

まずは、こちらのクリニックを継承された経緯を教えてください。

田村真一院長 田村小児科クリニック1

もともと新規開業を考えて場所を探していたところ、京都市立病院の先生を通じて大久保前院長から継承のお話をいただきました。大久保先生とは、京都府立医科大学を卒業した直後に京都市立病院で研鑽を積んでいた頃、小児科の仕事を通じて指導を受けた間柄です。ただ、先生が2001年頃にこちらを開業されて以降は20年以上ほとんどお会いしていなかったので、不思議な縁だなと感じました。2026年1月にまず大久保クリニックに入職して一緒に診療しながら引き継ぎを行い、4月に正式に継承して院名も変更しています。私自身も2000年頃からこの辺りに住んでいますので、なじみのある地域で親しまれてきた小児科を受け継げることをうれしく思っています。

小児科医としてどのようなキャリアを歩んでこられたのですか?

小児科を専門に選んだのは、子どもには未来があり、大きくなって成長していく姿に寄り添えるところに惹かれたからでした。そして長く小児の血液疾患を専門にし、白血病をはじめとする悪性疾患の入院治療に携わってきました。京都市内でも診療できる施設が限られている分野で、病院でなければ対応できないため、25年間ずっと勤務医を続けてきたのです。転機になったのは、2013年に京都市立病院でアレルギーの診療も担当するようになったことでした。アレルギーは外来が中心ですから、患者さんとふれあう時間が格段に増えます。日本血液学会血液専門医に加えて日本アレルギー学会アレルギー専門医も取得する中で、外来で患者さんと向き合っていく道もあるのではと考え、開業を意識するようになりました。

継承にあたり、診療面など新たに取り入れられたものはありますか?

田村真一院長 田村小児科クリニック2

まずは何でも相談できる小児科のホームドクターであることが大前提で、その上でアレルギーを専門的に診ていくという位置づけです。新たな設備としては、喘息の管理などに役立てるための呼吸機能検査の機器を導入しました。エコーは大久保前院長が退任される際に新調してくださったもので、大切に使わせてもらっています。院内には診察室が2つあり、処置室は感染症の方の待合も兼ねていて、発熱のある方とない方とで入り口を分けるようにしています。基本的な診療方針は前院長の頃から変えていませんので、これまで通っていた方にも安心して来ていただけたらと思います。名前は変わりましたが、変わらずここに小児科が存在し続けることが一番大事なことだと感じています。

親子の不安に寄り添う、アレルギー専門医の診療

アレルギー診療で、特に力を入れていることを教えてください。

田村真一院長 田村小児科クリニック3

食物アレルギーの診断と食事指導には特に力を入れています。京都市立病院の時代に多くの患者さんを診てきた経験がありますので、例えば卵であれば何グラムまで食べて良いか、加工品にどの程度含まれているかといったことを具体的にお伝えします。「これ食べておいて」と簡単に済ませるのではなく、食材やグラム数を示しながら丁寧に説明することを大切にしています。経口負荷試験といって、実際に少しずつ食べてもらいながらアレルギー反応を確認する検査にもクリニック内で対応しており、今後さらに件数を増やしていきたいところです。食べられるはずなのに怖くて除去を続けてしまう方は少なくありませんので、不安で前に進めないときの「とっかかり」になれる場でありたいですね。

喘息など、他のアレルギー疾患への対応についても教えてください。

喘息のお子さんには、新たに導入した呼吸機能検査を活用しています。症状だけで治療の継続や中止を判断するのではなく、検査の数値も参考にしながら方針を決めていくという考え方です。数値で示すことで、保護者の方にも治療の根拠を具体的にお伝えできます。また、アレルギーかなと思って受診されても、お話を伺うと実は違うというケースも少なくありません。そういうときにこそアレルギー専門医として丁寧にご説明し、安心して帰っていただけるようにしたいですね。病院勤務では紹介状を受けてから診察する形でしたが、ここでは最初の入り口になります。以前であれば当たり前すぎて説明しなかったようなことも、一つ一つわかりやすくお伝えすることが大切だと感じています。

お子さんや保護者への接し方で、心がけていることはありますか?

田村真一院長 田村小児科クリニック4

お子さんに対しては、できるだけ不安を取り除けるような診察を心がけています。保護者の方は説明を求めて来られることが多いですから、納得して帰っていただけるよう丁寧にお伝えすることを大切にしています。クリニックに来て感じたのは、軽い症状でも受診してくださる方が思った以上に多いということでした。特に初めてのお子さんだと些細なことでも不安になるのは当然。医療だけでなく子育てを支えるような関わりもしていきたいと思っています。産婦人科で毎週1ヵ月健診も担当していますので、出産直後からのつながりも持てるようになりました。お子さんの成長をその都度感じられるのは、町のクリニックならではの喜びですね。

人と人を結ぶ、地域のオアシスであり続けたい

院内に飾られたイラストや壁紙など、温かな雰囲気が印象的です。

田村真一院長 田村小児科クリニック5

待合室にあるいろいろなタッチで描かれた猫の壁紙や、壁のイラストは大久保前院長のご趣味で、季節ごとに額やタペストリーを入れ替えて子どもたちが楽しめるよう工夫されていたものです。猫の壁紙はもう製品として存在しないそうで、補修しながら大切に残しています。子どもの頃にここへ通っていた方が親になって、自分のお子さんを連れて来られることもあると聞きました。スタッフもほぼ全員が前院長の頃から続けてくれていて、患者さんから「スタッフが変わらないから安心して来られる」という声もいただいています。事務作業や薬品管理、検査機器の整備など一人では対応しきれないことを補ってもらえて、もともとのスタッフには日々助けられています。

クリニックのロゴマークにはどのような思いが込められていますか?

ロゴマークは「人と人を結ぶ」をコンセプトにデザインしてもらったもので、糸の結び目をモチーフに、私の名前の「田」の字に近づけた形になっています。色も子どもに安心感を与える色合いを選んでもらいました。患者さんからも「いいですね」と言っていただくことが多く、うれしく思っています。大久保前院長はずっと「子どもと保護者のオアシスにしたい」という思いでこのクリニックを守ってこられました。私はその理念をしっかり引き継いでいきたいと考えています。正直なところ、まだまだ自分ではその域に達していないと感じる部分もありますが、温かさはそのまま受け継ぎつつ、アレルギー専門医として専門的な診療を地域の方に届けていく中で、少しずつ理念を形にしていきたいですね。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

田村真一院長 田村小児科クリニック6

まずはクリニックの医師として早く一人前になりたいというのが率直な思いです。25年間ずっと病院で医療に向き合ってきましたが、町の小児科医としてはまだ1年生ですので、クリニックとともに自分自身も成長していきたいと考えています。当直がなくなり、朝起きて夜眠るという規則正しい生活にはなりましたが、設備の整備や打ち合わせなどで休みが埋まっていくことも多く、正直なところ余裕はまだあまりないんですよ。それでも、こまめに通ってくれるお子さんたちの成長を間近で感じられるようになったことが、苦労に勝る大きなの喜びです。この地域の子どもたちの健康を見守っていけるよう、日々の診療を大切にしていきます。