生天目 亮 院長の独自取材記事
なまため歯科医院
(鎌倉市/大船駅)
最終更新日:2024/08/08

「長い目で見て、真の健康に資する治療の提供」を掲げ、患者のためになる歯のみならず全身の健康を追求し続ける歯科医師。それが「なまため歯科医院」の生天目亮(なまため・りょう)院長だ。同院の診療範囲は予防歯科や歯周病治療、矯正歯科、インプラント治療、義歯治療、詰め物の交換まで幅広く、そのほとんどを自由診療で行っているという。「皆さんはご自分が歯周病ではないと本当に言いきれますか?」と、開口一番鋭い質問を投げかけてきた生天目院長に、口腔内のトラブルが全身の健康に与え得るリスクについて詳しく語ってもらった。そして自らを「職人」と称する院長が考える「本当に良い治療」とは……。使命感と熱意に満ちた院長の言葉に、口腔の悩みを抱える人々へのまごころが垣間見えた。
(取材日2022年11月19日/情報更新日2024年4月2日)
100年噛める歯へ。口腔内から全身の健康を守りたい
全身の健康を見据えた歯科治療をめざしているそうですね。

歯科医師と聞くと、虫歯を削って詰め物を詰めるのが主な役割と思われるかもしれません。ですが、歯の健康が全身の健康にも関連していることをご存じですか? 例えば歯周病。実は歯周病菌が歯肉から血管に入り込むと、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞といった全身疾患のリスクにも関連することが近年わかってきています。また歯周病菌による炎症性物質はインスリンの働きを悪化させやすいため、糖尿病とも密接に関係しています。さらに、細菌が誤嚥により気管支から肺に入ると誤嚥性肺炎の一因にもなり得るという研究も進んでいます。だからこそ、当院ではほとんどの治療にマイクロスコープやライトつきルーペを使用し、0.1ミリ単位の精密治療を心がけて虫歯などの取り残しがないよう努めてきました。歯の詰め物一つとっても、髪の毛1本の隙間も見逃さずに上下左右ぴったりしたものを作ることが重要です。いわば歯科医師は「職人」なのです。
自由診療をメインで扱われているのはなぜですか?
日本の歯科医院はコンビニエンスストアの数よりも多いといわれる現代ですが、一方で成人の約8割が歯周病にかかっているというデータもあります。ではこれだけ歯科医院が充実しているにもかかわらず、なぜ歯周病が減らないのでしょう。それは「治らない歯科医療」が多いからではないかと思うのです。僕は歯科医師の仕事にとてもやりがいを感じていますし誇りを持っています。なぜなら「ちゃんと治す」ことをめざしているからです。僕が持っている技術を駆使して、お口のことで困っている方をなんとかしてあげたい。求めてくださる方のために残りの人生を費やしたい。しかしそれをやるには、保険診療の枠をどうしても超えてしまう。だから当院の治療のほとんどが自由診療なのです。例えばエックス線検査など基本的な検査のみの場合は保険診療で行いますが、現在はほぼ8割が自由診療です。
先生はとても患者さん思いなのですね。

僕自身も顎関節症でつらい思いをしましたし、その改善のために上顎と下顎の歯をすべて削ってかぶせ物にした経験があるんです。歯は単に物を噛むためだけのものではありません。例えば噛み合わせが悪いと頸椎にゆがみを与えることも。頸椎に負担がかかれば首や肩の凝り、頸椎症、手のしびれや痛みも招くかもしれません。また噛み合わせが低くなれば難聴やいびき、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすのではと考えます。上顎と下顎の神経は三叉神経につながっており中脳に直結しているので、噛み合わせの異常はうつ病や自律神経失調症、アルツハイマー病の発症にも関連すると思います。木を見て森を見ずと言いますが歯の問題は全身の問題と深く関わっており、歯の治療は他のいろいろな病気と密接に関係しているのです。
患者の負担に配慮した矯正・インプラント治療を実践
先生は矯正に尽力されているそうですね。

当院の矯正は歯だけを見ていません。全身のバランスや日常の習癖にも着目し、顎関節にアプローチする矯正に努めてきました。一方、一般的な歯列矯正は第一小臼歯4本の抜歯を基本としています。これは大学で「便宜抜歯」と呼び、見た目のために抜くものです。ですが、第一小臼歯は最後まで十分維持が図れますし、歯根膜を通じて脳にも刺激を与える大切な歯。それを4本も抜くなど到底賛同できません。また抜歯は全身の健康に悪影響を与えるとも。例えば便宜抜歯を行うと歯列のアーチが縮小し、口腔内の空間や舌の置き場が狭くなるため舌を噛みやすく鼻も詰まりやすくなると思います。さらに舌の付け根が喉の奥に落ち込むと気道が狭くなることも。すると睡眠時無呼吸症候群やいびきなども招きかねません。酸素が脳へ行き渡らなければ、仕事や勉強にも集中しづらく、お子さんの発育にも影響すると考えます。また、抜歯後の炎症は顎関節症も招きやすいと思います。
抜歯にはさまざまなリスクがあるのですね。
ええ。その点、非抜歯矯正で口腔内の空間を狭めることなく歯の並ぶスペースをつくることができたなら、口腔内とつながっている副鼻腔の拡張も図れて呼吸のしやすさだけでなく鼻詰まりの軽減も期待できます。それでももし抜歯矯正を望まれるようでしたら、他のクリニックをご紹介するでしょう。一度抜いてしまった歯は二度と元に戻りませんし、患者さんにおつらい思いをさせたくないからです。僕も60代半ばですから、歯科医師として診療にあたれて10~15年が限度でしょう。もう時間がないんです。僕の歯科医師人生が終わる前に「矯正には抜歯が必要」という日本の歯科治療の常識をどうにか変えなければいけない。そんな気持ちで日々取り組んでいます。
インプラント治療にも力を入れていると聞きました。

インプラント治療というと「大がかりな手術が必要なのでは」と心配される方も少なくないでしょう。そのため、当院では患者さんの身体的・時間的・経済的負担に配慮して、抜歯即時埋入法によるインプラント治療とフラップレスインプラントに注力しています。一般的なインプラント治療は、抜歯後に傷口が治癒するのを待ってから再度インプラントの埋入が必要です。しかし、抜歯即時埋入法であれば抜歯直後にインプラントを入れられるため、手術回数の低減や治療期間の短縮が見込めます。一方、フラップレスインプラントは歯茎の切開や剥離などを行わない方法です。手術時間も1本につき10分程度なので、腫れ・出血・痛みなどの軽減が期待できるでしょう。その他、上顎の骨が薄いなどの難症例に対応することもできます。その場合、上顎洞に骨を増やすための骨造成手術を行ってインプラントを埋入します。
患者は家族。「家族にしてあげたい治療」の提供を
患者さんと接する際、どんなことを心がけていますか?

自分の家族にしてあげたいと思える診療を提供することですね。例えば、当院では治療前後の状態をカメラで撮影して必ず患者さんにお見せしながら治療を進めます。もし虫歯の取り残しがあったとしても、患者さんには知るすべがありませんからね。また保険診療ではなく自由診療中心で取り組んでいるのも、「家族にしてあげたい治療か」を突き詰めた結果です。自由診療と保険診療の違いは治療費に対するサポート制度の問題ではなく、その患者さんに適した治療を提供するための選択肢の幅の違いだと思っています。
特定の治療に特化せず、幅広い治療をされているのもそこに通じていますか?
そうですね。何でもできる歯科医師が僕の理想なんです(笑)。最近は専門性が重視されますが、あまり特化してしまうと視野が狭くなることもあります。特に歯科医師は部分部分の専門家になってしまうと患者さん全体を診られなくなることもあると思うので、幅広い分野にアンテナを広げてきました。歯列矯正やインプラント治療などの歯科分野はもちろん、栄養学についてや生活空間に潜む有害物質についてなど気になるものはとことん勉強していますよ。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

皆さんはご自身の歯を90歳、100歳まで保っていける自信はありますか? 僕は30年以上前から初診の方にこう問い続けてきました。ですが、実際は多くの方が自分事として捉えていらっしゃらないようです。歯を磨くのはなぜかと問われれば「お口の中が気持ち悪いから」と答える方もいらっしゃるかもしれませんね。ですが、虫歯や歯周病はもちろんお口から脳梗塞・心筋梗塞・肺炎など全身疾患の予防が図れるとしたらどうでしょう。歯の大切さに今一度気づいていただけたらうれしいです。当院ではこれからも皆さんが健やかに過ごせるよう、持てる知識と技術をフル活用しながら治療に取り組んでいきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/44万円~、フラップレスインプラント/49万5000円~、骨増骨/7万7000円~、特殊な入れ歯を用いた治療/44万円~、CAD/CAMシステムを用いたセラミック治療/7万7000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/55万円~、歯周病治療/5500円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。