「褒める、認める、勇気づける」
環境と心に寄り添う思春期の外来
今川クリニック
(大阪市福島区/福島駅)
最終更新日:2023/12/14


- 保険診療
「学校に行けない」「朝起きられない」「不安が強く電車に乗れない」。昨今子どもを取り巻く環境は大きく変わり、こうした悩みを抱える家庭も少なくないだろう。子どもの心に寄り添っているつもりでも、「他の子はできるのに、なぜこの子はできないのか」「私が子どもの頃は……」などと責めてはいないだろうか。保護者に「治療の目的は、自己評価を低下させず、その子本来の能力を発揮させること。幼児期は、褒める。学童期は認める。思春期は勇気づけるが重要です。」と話すのは、大阪府大阪市福島区にある「今川クリニック」の福本素由己院長。かつて摂食障害の患者を診た経験から思春期専門の外来に注力し、現在も発達障害、学習障害、ADHDなどさまざまな心の病気に向き合っている福本院長に、同院の思春期専門の外来について話を聞いた。
(取材日2023年1月16日)
目次
自己評価を低下させず本来の能力を。その子が興味ある物を一緒に楽しみ話し合う思春期専門の外来
- Q思春期の子どもたちに向けた外来とはどのようなものですか。
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A
▲同院では予約なしでも受診が可能
「思春期の子どもたちを対象に、単なる病気を超えた、思春期特有の問題について取り扱う外来」のことです。一般的な心療内科との違いは、「医者の見るべき視点が異なる」ことだと思います。一般外来では病気そのものを診る視点が強く、思春期の外来では人間そのものを見る視点が強いのです。単に病気だけを診るのではなく、その子のもっている人間性そのものを見て、「どうやって自己評価を低下させず本来の能力を発揮させるか」「その子どもの持つ主体的な力をいかにして引き出すか」「いかに成長に導くか」これが当院の考える思春期の外来の本質です。当院は10歳頃から18歳頃までを想定した診療を、思春期専門の外来と位置づけています。
- Q力を入れようと思った理由について教えてください。
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A
▲穏やかな口調で丁寧に説明をしてくれる福本院長
家族関係に問題があった思春期の女の子です。深刻でつらい体験をしたことから歩道橋から飛び降りて骨折してしまいました。入院させたのですが親御さんの薬物問題、金銭問題もあり頼れる状況ではないことがわかり、おばあさんや市役所の方を呼んで協力をお願いしました。僕が出会った時はまだ16歳でしたが、その後はバイトで認められて正社員になり職場で出会った方と結婚し、今はお子さんもいます。あの時もし、精神状態が落ち着いたからと家に帰していたら、またトラブルに巻き込まれていたでしょう。そうした複雑な状況は薬物療法だけでは解決できませんし周囲の人たちを動かすほどの熱意を示せて良かったと思っています。契機となりました。
- Qどのような相談が多いのでしょうか。
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A
▲患者一人ひとりの心に寄り添いサポートを行う
自閉症、適応障害のご相談をはじめ、学校に行けない、朝起きられない、不安感が強く人混みに行けない・電車に乗れない、幻覚・妄想がある、自傷行為など、症状はさまざま。子どもは、自立していく過程でさまざまな壁を乗り越え成長していくものですが、壁がとても高く見えて自分は乗り越えられないだろうと諦め不登校になったり、さまざまなストレスによって、動悸、息苦しさ、不眠症などの症状が現れてくることがあります。子どもは、初めからすべてできるわけでないので、段階的に一つずつできたら誉めて評価されて初めて、勇気と自信を持ち新たな困難を乗り越えようとする意欲が出るようになっていきます。できたことを誉めてあげてください。
- Q患者さんや保護者の方にはどのように接していらっしゃいますか。
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A
▲患者が話しやすい環境づくりや、わかりやすい説明を心がける
思春期の子たちは私のようなひげのおじさんと話しても楽しくないし、特に女の子は話しにくい面もあるでしょう。でもその子が楽しいと思っていることを話してもらえたら、私もSNSや動画サイト、ゲーム、等でき得る限り体感するようにしてますので「同じ事に興味があるからお話ししよう」という雰囲気になるように取り組んでいます。K-POPも詳しいですよ(笑)。男の子が興味持ちそうな時刻表や野球、サッカー、最新のゲームなどももちろんチェックしています。保護者の方には、当院では多彩な検査を行っていますので、それらの結果をお示ししながらお子さんの状態をわかりやすく説明するよう心がけています。
- Q実際の治療の流れや具体的な診療内容を教えてください。
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A
▲丁寧な問診を行い、症状に合った検査・治療を提供
問診でお悩みを伺った上で、血液検査、心理検査、知能指数や発達障害、睡眠の質、抑うつ状態を確認する各検査を必要に応じて行います。治療には薬物療法とカウンセリングなどの非薬物療法がありますが、薬物療法は必要最小限にとどめるよう努めています。カウンセリングでは、「学校を休んだ」など簡単でいいのでその日あったことを書いてもらう「1行日記」に取り組んでもらい、診察時にはそれを一緒に見て振り返ります。これは子どもたちが言葉にしづらい思いや困り事、心配事などを「人に伝える」練習です。これは学校や社会で「嫌なことは嫌」など思いを伝える大切なスキルになります。薬以外で、心の成長を手助けできたらうれしいですね。