藤田 善史 院長、中茎 敏明 先生、埜村 裕也 先生の独自取材記事
藤田眼科
(徳島市/佐古駅)
最終更新日:2024/02/15

佐古駅から西へ徒歩約15分。「藤田眼科」は、徳島大学病院からもほど近い住宅地にある。1999年に藤田善史院長が開業して以降、目の手術に注力するクリニックだ。緊急手術にもすぐに対応できる体制を整える。常勤の医師が5人、非常勤の医師3人が在籍。医師はそれぞれが異なる分野を得意としているため、連携することで幅広く専門性の高い医療を提供する。「優しい診療をモットーにしている」と温かな笑顔で語る藤田院長と、中茎敏明先生、埜村(のむら)裕也先生に診療時に大切にしていることや手術などについて聞いた。
(取材日2024年1月10日)
2つの手術室を活用し、緊急性の高い疾患もすぐに対応
エリアや患者の特徴を教えてください。

【藤田院長】当院の周辺はご高齢の方が多いです。患者さまは徳島県内の各地や香川県、兵庫県からも来てくれています。当院の治療の柱となっているのは、日帰りの白内障手術と網膜硝子体手術なので、見えにくさを主訴にこられる方が多いです。白内障手術、網膜硝子体手術には高度な技術が必要ですが、中茎先生と埜村先生は網膜硝子体手術が専門です。そのため、周囲の眼科クリニックからも多くの患者さまをご紹介いただけています。
こちらの医院は手術を数多く手がけていると伺いました。
【藤田院長】はい。当院の眼科手術の中で白内障手術は7割を占めています。件数が多いので医師4人で分担して行っています。
【埜村先生】私と中茎先生が専門とする網膜硝子体手術は、網膜剥離や硝子体出血など緊急性の高い疾患が多いです。放置すると失明の危険性があるので、なるべく早く手術することが重要です。そのため、当院では1人が緊急手術に取りかかっても、もう1人が外来で網膜硝子体疾患を診察できる体制を整えているのが特徴です。
【中茎先生】網膜硝子体手術は昔に比べると傷口も小さく済みますし、機器も良いものになってきているので手術時間も短く、日帰り手術ができるようになりました。手術後は原因疾患に応じて適切な間隔で診せてもらいます。状態が良ければ入浴や運転など早めに日常生活が送れます。
手術に注力している理由をお聞かせいただけますか?

【藤田院長】眼科の疾患には、薬で治療ができる疾患と手術でしか治療ができない疾患があります。白内障は手術が必要ですし、網膜硝子体疾患の中でも、網膜剥離、硝子体出血などは手術をせずに放置していると見えなくなってしまいますので、その原因を手術で取り除く必要があります。以前は、手術後の回復に時間がかかっており、手術をためらう方も少なくありませんでした。しかし、近年の眼科の技術はとても進歩しています。日帰りで手術を受けても、想像されている以上に早く、仕事に復帰できたり、家事ができるようになります。見えにくさで悩んでいる方には、ぜひ、手術のことを知ってほしいです。手術直後は何度か診察をさせていただきますが、その後の検診は半年から1年に1回となります。
優しさを大切に、患者と向き合い納得できる治療を
どのような診療方針を掲げていますか?

【藤田院長】一番大切にしているのは、患者さまに理解していただける説明を行うことです。特に当院の患者さまはご高齢の方が多いので、ゆっくり聞き取りやすく話す、例え話を入れる、模型を使って説明するなど、理解しやすくする工夫をしています。患者さまによって理解度が違いますので、こちらが患者さまに寄り添うように努めています。治療には良い面と悪い面があるので、患者さまが納得した上で治療を進めていきます。自分の技術を常に研鑽することも大切にしています。手術には訓練が必要ですし、日頃から学ぶ姿勢で、多くの正確な情報を取り入れ、患者さまにとってより良い治療を提案できるようにしています。今でも他の先生から学ぶことがたくさんあります。当院には医師が8人いますので、お互いに良い刺激を受けて、全員で切磋琢磨しています。
先生方が診療時に大切にしていることを教えてください。
【藤田院長】大切にしているのは優しさです。診療する時は、いつも患者さまに優しく接することを念頭に置いています。お一人お一人の患者さまに優しさを持って、医療を提供できることを大切にしていきたいと思っています。
【中茎先生】院長と同じですが、外来では丁寧に優しく、患者さまに安心してもらえるように対応することを大切にしています。手術においては、短時間で痛みが少ない手術をめざしています。
【埜村先生】同じ病気でも患者さまによってそれぞれ選択する治療方法が違います。そのため、なるべく多くの選択肢を提案して、患者さまが良いと思える治療を選んでもらえるようにしています。もちろん、患者さまが正しい知識を持って選択できるように、さまざまな情報を伝えることも心がけています。
先生方はそれぞれどのような治療や勉強をしてきたのでしょうか?

【藤田院長】医学部を卒業後、徳島大学病院で10年間研修し、その後徳島赤十字病院で6年間勤務して開業しました。徳島赤十字病院では白内障手術を多く経験し、技術を研鑽しました。他にも緑内障、網膜硝子体手術、まぶたの手術なども幅広く経験させていただきました。その後、アメリカやヨーロッパの勉強会にも積極的に参加し、海外での治療も学びました。45歳からは15年間にわたり、ミャンマーの大学の先生に白内障手術を教えるため、年に1~2回現地へ行っていたのも良い経験です。
【中茎先生】高知大学医学部附属病院で勤務し、12年間にわたり網膜硝子体手術を学びました。網膜を患うと失明に直結するので、それを回避するための医療にやりがいを感じています。
【埜村先生】私は2人とは違い、手術の技術を深めたいと思い当院に来ました。2009年から勤務し、今では網膜硝子体手術の難症例もこなせるほどになりました。
各専門分野の医師が連携し、質の高いチーム医療を提供
在籍する医師が8人ということですが、先生同士はどのように連携を取っていますか?

【中茎先生】月に2回ミーティングをして、難しい症例などの情報共有をしています。外来も四診制なので、診察している時に迷うことがあれば、各診察室にいる先生方に相談することもできます。医師同士がすぐ相談し合える体制を整え、場合によっては共同診療も行っています。
【埜村先生】私も診断に迷う症例があれば、専門分野の先生に相談させてもらっています。それぞれの先生がそれぞれの専門分野の新しい医療を常に学んでいるので、勉強になりますよ。また、院内ネットワークをしっかり確立させているので、別の部屋からも外来や手術の状況をチェックできます。待合室の混雑具合もわかるので、「混んできたから外来を手伝いに行こう」と協力し合うこともできるんです。
スタッフについて教えてください。
【藤田院長】スタッフは48人で、看護師17人、視能訓練士6人、その他、受付や事務スタッフとなります。人数が多いので連携が難しいのですが、なるべく全員で朝礼を実施し、インカムで連絡し合い、毎日日報で患者さんの情報を共有しています。スタッフのレベルアップも大切なので、毎月1回行われる全体勉強会で学ぶ機会を作っています。それとは別に部署別スタッフへ向けての勉強会を、医師全員が持ち回りで行っています。医師とスタッフの垣根はなるべくなくしたいと思っています。風通しの良い運営をしていきたいですね。
最後に読者の方へメッセージをお願いします。

【藤田院長】40代くらいから緑内障が多くなり、高齢になるとアイフレイルといってさまざまな目の不調が起こってきます。現代の眼科医療はとても進歩しているので、治療できる疾患は多いです。基本的に病院には行きたくないですが、「いつもと見え方が違う」「黒いものが見える」など、目の違和感を抱いたら気軽に受診してください。特に緑内障の初期は自覚症状がないので、年に1度は眼科検診を受診してほしいと思います。
【中茎先生】当院では、検診から治療、手術まで幅広く対応していますので、気軽に相談してほしいです。もちろん当院で対応が難しい場合は、適宜他の医療機関に紹介も可能ですよ。
【埜村先生】眼科には幅広い疾患がありますが、当院には各分野を専門とする医師がいます。しかもみんな優しいです。優しく患者さまに接するというのが当院のモットーでもあるので、安心して来てほしいですね。