三宅 勝俊 院長の独自取材記事
みやけ歯科医院
(大阪市都島区/都島駅)
最終更新日:2022/06/16
都島駅よりバス約10分の住宅街にある「医療法人優俊会 みやけ歯科医院」。三宅勝俊院長は、「予防とメタルフリー」を同院のコンセプトに掲げ、「自分自身が受けたい治療を提供する」をモットーに日々診療にあたる。同院では、長年培ってきた予防に関するノウハウをパッケージ化した歯科検診の流れを構築し、各種検査データをもとに個々の患者に合う予防プログラムを作成、予防方法を提案している。2017年5月に小児の予防に特化した分院「ワハハキッズデンタルみやけ歯科」も設立した三宅院長に、予防にかける思い、地域歯科医療の役割などを聞いた。
(取材日2018年4月10日)
キーワードは「予防とメタルフリー」
「予防とメタルフリー」をコンセプトにした歯科医院と伺いました。
当院のコンセプトである「予防とメタルフリー」は約15年前から進めています。「予防」とひとことで言っても、患者さんには抽象的で伝わりにくいところがあり、どのようにしたらいいのかが長年の課題でした。そして3年くらい前から取り組み始めたのが、当院が構築した歯科検診のコースです。それまでやってきた「予防」をパッケージにし、患者さんに提供しています。内容としては、唾液検査・口臭検査・顕微鏡検査・菌の状態の確認を行い、そのデータをもとに予防プログラムを作成する取り組みです。これまで患者さんにとっても医師にとってもわかりにくかったことを“見える化”し、個々の患者さんに合った予防方法を提案させていただいています。
「メタルフリー」に関してはいかがでしょうか。
金属を口腔内に入れることに、実はリスクがあるんです。金・銀・パラジウム合金は保険がきくので一般的に使われますが、金属アレルギーを起こしたり、金属と歯の境目にも目に見えない隙間から、虫歯になったりします。歯の治療は6回繰り返すと抜歯に至るといわれていますので、金属アレルギーなどの直接的なデメリットはもちろん、なるべく虫歯になりにくい材質、耐久性の高いものを入れてほしいという思いから、メタルフリーを推奨しています。
CAD/CAMシステムも導入していますね。
CAD/CAMシステム導入理由は、メタルフリーをより患者さんの負担を少なく提供したいという思いからでした。CAD/CAMシステムとは、コンピューターで歯の修復物を設計・製作できるシステムになります。当院では、そのシステムを使い詰め物やかぶせ物をセラミックのブロックから削り出して精密に自動的に作ることができます。CAD/CAMシステムのメリットは、歯科技工士が間に入らない分、費用的にも安価ででき、短時間で高精度のものが出来上がります。ぜひ、興味のある方は、相談してほしいです。
治療に際し、心がけていることはありますか。
メタルフリーに関しては、経済的な部分など金属は金属の利点もありますから、患者さんにより多くの情報を提供させていただいて、その上で患者さん自身に決めていただいています。同じ症例でも患者さん一人ひとり、さまざまな条件があります。その中で、皆さん望まれるゴールがそれぞれ違うと思うんですよね。たくさんの選択肢がある中で、もし自分が患者だったらどういう治療をしてもらいたいか。自分自身が患者さんの立場になって考えながら、最良の選択ができるように心がけています。
小児特化分院も設立、「予防」への強い思いとは
先生が歯科医師を志した理由をお聞かせください。
私は小さい頃、歯が悪かったんですよ。親が歯科医師という家庭でもありませんし、予防の知識もなかった。甘いものをたくさん与えられて、ずっと歯医者さんに通っていました。その中で歯医者さんやその仕事をすごくよく見ていて、通院する中で「こういう仕事をしてみたい」と興味を持ちました。子どもの頃からよく治療を受けていたので、患者さんの立場もよくわかりますし、治療を行う中でどういう痛みを感じているかはすごく理解できます。過去のお恥ずかしい話ですが、それがあるからこそ歯科医師となった今、患者さんの気持ちになって治療をさせていただくことができているのかなと思っています。もともとの私の治療のコンセプトは「自分自身が受けたい治療」。当院の勤務医が治療に迷っていたら「自分ならどうしてほしい?」とシンプルに指導しています。
歯科医師になって、印象深いエピソードはありますか。
“残念なこと”が多かったですよね。もちろん涙を流して喜んでいただけるなどうれしい反応も多く、それはやりがいの一つではあるのですが、「自分がしっかり指導できていれば」と悔やむ結果になってしまった患者さんもいらっしゃいますので、胸が痛みますね。以前、遠方から通院していたお子さんが来なくなったのですが「自宅近くの歯科医院に通院しているのだろう」と深く考えていなかった。しかし10年ぶりくらいに来られた時、すでに歯がボロボロになっていたんです。「何とかサポートできなかったのか」という思いと、予防の重要性をすべての方に伝えないと駄目だと強く思いましたね。しかし日々の治療に追われ、予防に力を注ぎ切れなかったのもあり、小児の予防歯科に特化した「ワハハキッズデンタルみやけ歯科」という分院のオープンにつながったんです。
小児歯科に特化した分院を設立した意図、本院との関係性をお聞かせください。
本院では予防プログラムを3年くらい前から実施し手応えも感じているのですが、これまでの経験上、ある程度年齢がある患者さんの予防や歯への価値観を変えていくのはとても難しいと実感しています。ですから小さい時から予防と歯の価値観について教育することは、人生にプラスになる有意義なことだと感じています。分院の目標は「一生虫歯のない人生を送ってもらう」こと。分院の門をくぐったお子さんたちには、歯で困る人生を送ってもらいたくない。ある程度の年代までは分院で対応し、子どもたちが大きくなったら本院がバトンタッチする。本院と分院の二人三脚で、全年齢の患者さんのサポートをしていけたらと考えています。また小児患者を分院で担当するようになり、本院で大人の患者さんにも落ち着いて診療を受けていただける環境が整ったと思います。
本院・分院の両輪で支える地域歯科医療
本院は開業29年目と伺いました。地域の方々に長く愛されていますね。
25周年の際には、地域の方々に感謝の気持ちを伝えたいという思いでイベントをさせてもらいました。25年間、ずっと歯のメンテナンスに通われ続けていた方が5名いらっしゃったので表彰をさせていただいたり、小さな子どもさんには歯医者さん体験をしてもらったり。無料のお口のエステやリップマッサージ、ホワイトニング、バルーン教室なども開催させていただきました。3年前からは週2回、スタッフを含め地域の清掃活動なども行っています。開業当時は2歳、3歳だったお子さんが、自分のお子さんを連れて来てくれますよ。あっという間に年月がたったなと思いますね。
今後の展望についてお教えください。
地域に密着した町医者ですので、ほぼすべての治療を手がけないといけないのですが、すべての治療をスペシャリストとして提供することは難しいことだと思います。私はインプラント治療も矯正も当然やりますが、その中でも「予防とメタルフリー」に関しては、自信を持って提供できるような取り組みを進めていきたいと思っています。また「予防」に関しては、超えないといけないハードル、継続するためのハードルがたくさんあり、その安定化をめざさなくてはいけません。特に人材確保が難しくなっている歯科衛生士は、予防を推進するためには必要不可欠なスタッフ。スタッフにとってやりがいのある、満足できる職場にするという意味での安定化も、とても重要だと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
「歯科検診コース」を受けていただいて、一人でも多くの方に、予防への興味を抱いていただけたらいいなと思っています。また、分院の「ワハハキッズデンタルみやけ歯科」とのコラボレーションで、小さいうちは分院、大人になったら本院で歯の健康をサポートし、地域密着の歯科医院としての役割を果たせたらいいなと思っています。両院はあえて休日をずらしていますし、どちらか一方で診られない時は空きがあるほうで診療することもできます。急に歯が痛む、銀歯が外れたなど不意に何かお困りの際は、大人の患者さんが分院で応急処置を受けたり、お子さんが本院で治療を受けるなど、地域の方に安心してもらえるよう取り組んでいきます。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。