長橋 達郎 院長の独自取材記事
港北ハートクリニック
(横浜市都筑区/センター南駅)
最終更新日:2025/09/22

センター南駅直結、駅ビルのクリニックモール内にある「港北ハートクリニック」。長橋達郎院長は、日本循環器学会循環器専門医として多くの命と向き合ってきた。その経験から、病気を予防するために、心筋梗塞など重篤な発作を起こす前段階で、心身の不調の改善を図ることの大切さを痛感。「予防内科」という独自の考え方を取り入れ、病名のつかない漠然とした症状や心身の不調である「未病」も「病気」である、という考えを基盤に真摯に向き合う。「少子高齢化の中で、単なる健康寿命ではなく、60代70代になっても元気に働ける労働寿命を延ばしたい」と、患者が健康を維持し社会で活躍できるようサポートに取り組んできた。同院の特徴や、疾患予防への取り組みについて話を聞いてみた。
(取材日2025年5月29日)
循環器内科と生活習慣病を軸に、独自の予防医療に注力
院内はとても居心地良いですね。癒やされます。

「森の癒やし」をテーマに、すてきな縁で結ばれた職人さんの手を借りて造りました。ここに集われる方々のストレスが少しでも軽減して元気になってもらうために、できるだけ自然に近い、ナチュラルなものを取り入れています。例えばヨガルームの床には厚さ3センチの天竜スギを用いており、特有の香りに心身が癒やされればと思います。壁は愛知の職人さんが一部屋ずつ材料を吟味して自然素材を混ぜたしっくいを塗ってくれました。また待合室の椅子は建具職人さんが作り上げた天然木のもの。BGMも気持ちを穏やかにさせてくれるような曲を流し、五感から癒やされる環境空間にしています。自然と調和する院内で、心と体の調子を整えていただけたらと思っています。
こちらのクリニックの成り立ちや特徴を教えてください。
2009年に都筑ふれあいの丘駅の近くで開業し、2021年10月にこちらの医療モールに移転したのを機に、内科・循環器内科に加え、予防医療の取り組みも始めました。駅から直通で通えるアクセスの良さと居心地の良さからか、より広い範囲から患者さんが来てくださるようになりました。医療モール内の他の診療科との連携ができるのも助かっています。内科では、生活習慣病の予防と管理を中心に、消化器疾患や呼吸器疾患、睡眠時無呼吸症候群、アレルギー疾患、感染症など幅広く対応しています。循環器内科では、狭心症や心筋梗塞といった動脈硬化性疾患、不整脈、および各種心臓疾患の診療を行っています。待ち時間が長くならないように完全予約制としています。接遇も含めて、スタッフの教育にも力を入れており、患者さんに安心して快適に診療を受けていただけるように工夫しています。また、鍼灸師も在籍しています。
循環器内科では「動悸」に注目されているそうですね。

当院には、私以外にも循環器内科を専門とする医師が在籍しています。その専門性をもっと地域に役立てていきたいと考え、最近は「動悸のクリニック」として、SNSや動画投稿サイトも使って訴求を始めました。というのも、当院には循環器内科の患者さんが多く来られますが、「動悸が不安」という方は多いですし、動悸というのは人によって感じ方が異なるため、動悸というくくり方をすると、さまざまな症状や疾患にアプローチできるのです。また、「健診で生活習慣病を指摘された人は当院へ」との訴求も行っています。生活習慣病は動脈硬化などを引き起こし、循環器疾患につながることも少なくないので、その予防として重視しています。生活習慣病だけでなく、健康診断の数値が異常であることを指摘された場合は、それが軽度であっても放置せず、受診してください。
「自律神経・免疫力・老化」に着目した予防医療を展開
こちらの予防医療について教えてください。

当院が考える予防医療は「予防内科」という独自の考え方で、人が元気であり続けるためのさまざまな取り組みを展開しています。以前は病気を発症する前の漠然とした症状や心身の不調、つまり「未病」に注目していましたが、未病というのは結局、老化現象につながると考えるようになりました。現在は、疲れや不安、睡眠障害など目に見えないストレスによるバランスが乱れる「自律神経」と、感染症やがんに関わる「免疫力」、そして「老化」した体をいかに元気にするか、という3方向からアプローチして、男女ともに更年期以降の方を対象に、未病の症状に対応し、自己治癒力を高める体づくりをサポートしています。自律神経・免疫力・老化の問題は別々のものではなく、体内でリンクしているものですから、その方の状況に合わせて、必要と考えられる解決策を提案しています。
具体的にはどのようなことを行うのですか?
例えば、「自律神経」については、さまざまなストレスや更年期状態が自律神経の乱れを誘発し、その乱れがさまざまな症状を引き起こすといわれています。当院では脈波と心拍変動から交感神経と副交感神経の働きを割り出し、自律神経機能の解析やストレスレベルを解析します。必要があれば、更年期ホルモンもチェックします。「免疫力」へのアプローチとしては、サプリメントのアドバイスや、腸内環境の改善という観点からご相談に応じています。「老化」についても、状態に応じたアドバイスや対処策を提供しています。
予防医療の一環としてヨガ教室も開いているそうですね。

さまざまなバランスを整え健康を維持するために体を動かすことは重要ですので、当院では体の硬い方や運動に制限のある方でも取り組めるようなヨガを行っています。体の使い方と運動習慣を身につけるきっかけにしてもらいたいと考えています。解剖学の知識に基づき、個々の症状や体調に合わせたプログラムを組んでいるので、持病がある方でも無理なく通えます。自然光がふりそそぐ天然木の床としっくいの壁のヨガルームで、心身ともにリラックスしながら無理なくヨガを楽しんでいただけるのも特徴です。70歳以上の方も楽しそうに参加されています。さまざまな世代の方たちと楽しく体を動かしながら、いくつになっても健康的な生活を満喫していただけたらと思います。
単なる健康寿命ではなく、労働寿命を延ばすために
独自の予防診療を展開されるようになったきっかけなどがありますか?

私は循環器専門医として、勤務医時代は心臓カテーテル検査と治療に携わっていました。数多くの症例を経験しましたが、どんなに頑張っても心筋梗塞など重篤な発作を起こす患者さんが減らないことに二次予防の限界を感じ、医師の立場から患者さんに予防の大切さをお伝えしたいという思いで当院を開業しました。開業当初は内科・循環器内科の診療を行いながら、医食同源という考えのもと、生活習慣の改善や薬に頼らない予防医療に取り組みました。そして、2021年にこちらに移転したのを機に、⻑く健康に働ける人たちを増やしたいという思いから、「予防内科」という考え方を固めるに至ったのです。
今後の展望について聞かせてください。
最近、気になるのは経営者など働き盛りの男性に頑張りすぎている方が多いこと。本人は元気なつもりでも、気づかぬうちにたくさんのストレスと責任を背負ってしまい、心身の不調を訴える方が少なくありません。不調を自覚できればまだ良いのですが、「まだ大丈夫」「自分は健康だから」と無理を重ねてしまい、ある日心筋梗塞で倒れてしまうということも、決して他人事ではありません。私が予防内科に取り組んでいるのは、更年期以降の人をより元気にすることで、60代70代になっても元気に働ける人を増やしたいという強い思いからです。超少子高齢化が進む日本においては、単なる健康寿命の延伸ではなく、しっかり働ける労働寿命を延ばすことが必要ですし、予防内科でのアプローチによって重篤な病気に至る人が減れば医療費の軽減にもつながりますから、この取り組みを全国に広げたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院の循環器内科は「動悸のクリニック」として、動悸が気になる方や不安な方に幅広くご相談いただいています。循環器疾患の予防としても生活習慣病の診療に力を入れていますので、健康診断で高血圧や高血糖、高尿酸値、動脈硬化、心電図異常などを指摘された方もぜひご相談ください。また、予防内科では、原因不明の痛みや病名のつかない不調、さまざまな悩みなどのご相談に乗っています。今後は、オンライン診療や、ホームページ・SNSも活用して、より広範囲な方々にアクセスしていただけるようにしたいと考えています。人生100年時代をみんなで楽しく健康に生きるために、地域の皆さんのためにお役に立てれば幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは自律神経機能解析マシンによる解析/2200円