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福本 学 院長の独自取材記事

新百合山手福本内科

(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)

最終更新日:2024/01/31

福本学院長 新百合山手福本内科 main

新百合ヶ丘駅から北側へ徒歩5分、緑豊かな美しい街並みが広がる新百合山手エリアの一角にある「新百合山手福本内科」を訪ねた。院長の福本学先生は、消化器内視鏡を専門に内科の幅広い臨床経験を重ね、2009年に開業。自身の専門性を生かしつつ、身近なかかりつけ医として患者とのコミュニケーションを大切にしながら、一人ひとりの患者に即した最善の医療を提供すべく、日々の診療にあたっている。低音で穏やかなトーンの語り口が印象的な福本先生に、これまでの歩みや診療にあたって心がけていること、専門である内視鏡検査の話題、そしてビオラ奏者としてオーケストラにも参加するという先生の素顔も交えて、ゆっくり話を聞いた。

(取材日2021年3月11日)

地域に根差し、患者により近い場所で医療を届けたい

開業から11年たち、地域のかかりつけ内科として定着されていますね。

福本学院長 新百合山手福本内科1

かつて病院の勤務医の一人として患者さんと関わっていく中で、主治医が変わることによる患者さんの不安やストレスを少なからず目の当たりにしてきました。そうした経験がきっかけで、医師の役目は病気が治ったらおしまいでなく、患者さんを常にサポートしながら長く付き合っていくことだと考えるようになりました。地域に根差して患者さんにより近い場所で医療を届けたいと開業し、早いもので11年。一人ひとりに即した「できるだけ良い医療」を提供したいという思いは、開業当初とまったく変わっていません。

患者さんと接する上で心がけていることはありますか?

患者さんの話をしっかりと聞き、わかりやすい言葉で説明することです。病気は体の状態を診るだけですべてを把握できるわけではありません。生活習慣や家庭環境など、患者さんとのちょっとした会話の中に病気の発見につながるヒントが隠れていることも多いんです。診療では、少しでも患者さん自身が病気について理解する助けになればと、内視鏡画像やカルテを画面に映して説明するようにしています。そもそもカルテの中の情報は医師のものではなく、患者さんのもの。その方の既往歴やこれまで処方された薬など、ご自身の大切な情報が記録されています。そうした情報は転院時などにも役立ちますから、カルテの記録は患者さんご自身もぜひ知っておいていただきたいと思っています。

先生は内視鏡がご専門だそうですね。

福本学院長 新百合山手福本内科2

勤務医時代からこれまでに、胃と大腸の内視鏡検査を数多く手がけてきました。近年は鼻から挿入する経鼻内視鏡によって、ほとんど苦痛を感じることなく検査を受けられるようになってきました。径の細い経鼻内視鏡も今ではかなり高画質になり、早期がんの発見や組織生検も可能で、がんの診断・スクリーニングにおいては経口内視鏡と遜色のない、十分な機能を備えています。がん予防のために内視鏡検査を受けるという意識は、当院の患者さんの間でも確実に高まってきている印象はありますが、がんはできるだけ小さいうち、浅いうちに発見し、早期に治療に結びつけることが大切です。特にご家族にがんに罹患された方がいる場合や、過去にピロリ菌感染があった方などは胃がんリスクが高いですから、定期的な内視鏡検査を習慣づけていただきたいと思います。

生活環境なども考慮し、患者に合わせた治療を

先生が医師を志したきっかけは?

福本学院長 新百合山手福本内科3

両親が薬剤師をしていたこともあり、医学は私にとって幼い頃からごく身近なものでした。次第に「自分も病気を抱えている人の力になりたい」という思いが芽生え、医師をめざすことを考えるようになりました。一般的に内科はさまざまな病気の治療に役立つ診療科ですから、大学卒業後は内科に入局して、消化器内視鏡を専門に学びました。医局では医学の知識や技術だけでなく、医師としての在り方や患者さんと向き合う上での心構えといったことなど、担当教授から多くのことを学びましたね。当時の教えは今でも診療に生かせていると感じています。

勤務医時代のご経験で特に印象に残っていることは?

中でも、新潟県立がんセンター新潟病院での経験はとても貴重なものでした。県内外からたくさんの患者さんが来られる病院ですから、多様な症例を診ていく中で、できるだけ早期にがんを発見することの重要性を痛感しました。また、病状だけでなく家族構成や患者さんご本人の生活環境も考えた上で、一人ひとりに合った治療法を提案していくこと、そしてがんの宣告を受けた患者さんの心のケアについてなど、一人の医師として患者さんと向き合う上で大切なことを考えるきっかけを得られた経験であり、本当に勉強になりました。

プライベートでは、趣味でバイオリンを演奏されるそうですね。

福本学院長 新百合山手福本内科4

子どもの頃からバイオリンを弾いていたのですが、高校時代に仲間と弦楽四重奏をしたいと思い、以来ビオラを弾くようになりました。開業後の2013年からは、世界各国の医師たちによる「ワールドドクターズオーケストラ」に参加し、パリやベルリンで開かれたコンサートに毎年出演していました。新型コロナウイルス感染症の流行でコンサートも中止が相次ぎ、人前で演奏する機会はなくなっていましたが、2020年からは近隣の新百合ヶ丘総合病院の音楽部の無観客配信コンサートに参加しています。音楽を通じて患者さんと医師が心を通い合わせるというのは、本当に素晴らしいこと。趣味の音楽をきっかけに多くのドクターたちとの輪が広がっていくことにも喜びを感じています。

健康面のアドバイザーとして将来を見据えたサポートを

睡眠時無呼吸症候群の治療にも積極的に取り組まれているそうですね。

福本学院長 新百合山手福本内科5

血圧が高い方や昼間に眠くなるといった症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いですから、こちらからいびきの有無を尋ねるところから始めて、少し積極的に関わるように努めています。その結果、本人は自覚していなかった潜在的な睡眠時無呼吸症候群の患者さんが多く確認され、治療に取り組んでいるところです。気道抵抗が強くいびきが出て呼吸が止まってしまうような方に対して、鼻に専用マスクをつけて気道に空気を送り込むCPAP療法を行っています。装置を貸し出し、患者さんがご自宅で睡眠中に取り組んでいただく治療なので、睡眠中のデータの解析が不可欠ですが、最近は呼吸状態についての月ごとのデータをクラウド上から取り込んで、診察時にそのデータを用いて説明できるようになり、スムーズな診療にとても役立っています。

オンライン診療も導入されたそうですね。

昨今のコロナ禍の影響で、検診や治療を中断して来院しなくなる患者さんも少なくありません。そこで当院では血圧やコレステロールの薬を飲んでいる方の定期的な診察や、これまでの経過がわかっている患者さんで少し体調の変化があるような方に限って、電話再診やオンライン診療を行っています。患者さんの顔色一つとってみても、対面して診るのと画面越しに診るのとでは情報量はまったく違います。とはいえ感染の不安や長い待ち時間のイライラといったものもなく、家から一歩も出ずに診察・会計・処方も完結させることができるというメリットは、非常に大きなものです。オンライン診療の利用者は今のところビジネスパーソンの方が多いですが、スマートフォンを使いこなすご高齢の方も増えていますから、今後も引き続きオンライン診療を活用していきたいと考えています。

最後に、今後の展望と読者に向けてメッセージをお願いします。

福本学院長 新百合山手福本内科6

健康面のアドバイザーとして、そして病気にならないためのチェック機関として、今後も地域の皆さんの健康をサポートしていきたいと思っています。開業から11年がたって、当初思い描いていた形に近づいているところ、もっと改良しないといけないところ、どちらもあります。過去の病歴や体質に関するデータなどかかりつけ患者さんについての情報が増え、その蓄積を患者さんの健康に役立てられる機会も増えてきました。常に患者さんにとってプラスになることを考え、ニーズの変化を捉えつつ、地域の方と一緒に私自身も成長を続けていきたいですね。

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