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米永 哲朗 院長の独自取材記事

米永歯科医院

(大阪市浪速区/恵美須町駅)

最終更新日:2020/10/12

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大阪メトロ堺筋線の恵美須町駅から約5分。通天閣が目の前に見える、日本橋の電気街にもほど近い場所に「米永歯科医院」はある。周りには事業所のほかマンションなど住宅も多く、同院は約30年にわたり、地域の住民や近くで働く人たちの歯の健康を支えてきた。地域でも早い時期から往診に取り組み、高齢の患者からも頼りにされている院長の米永哲朗(よねなが・てつお)先生は、「食べることが健康の基本」と食生活のアドバイスにも尽力する。毎日スタッフとミーティングを持ちながら、チームで患者を診ていると語る先生に、食べられる喜びの重要性や、すべての世代で歯の健康を守るための環境づくりについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2020年9月16日)

地域に密着、高齢化に合わせて訪問診療にも尽力

どんな患者さんが通われていますか?

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1989年の開院以来、ずっと地域密着でやってきました。商業地域なので20代後半から40代、50代の働く世代がメインで、歯周病でお困りの方が目立ちますね。商売をされていると見た目の美しさも気になさるため、ホワイトニングもよく希望されます。この地域は市内でも特に高齢化率が高く、高齢化が進んでおり、高齢の患者さんも多いです。また、意外なようですがお子さんもよく来られていて、家族ぐるみで通院されていることもあるんですよ。最近では時代を反映して、外国の方もちらほら受診されています。旅行中に歯が痛くなり、インターネットの情報などを見て来られるんでしょうね。言葉が通じないので、マニュアルなどを駆使して治療しています。

往診や訪問歯科診療にも力を入れているそうですね。

往診を始めたきっかけは、すぐ近くの愛染橋病院から「入院している患者さんの歯を診てもらえないか」と言われて、診療に行くようになったことです。そのうち病院からの紹介で在宅診療も行うようになり、当時はまだこの辺りで他に往診をしている歯科医院がなかったため、自分で通院できない方からの要望も増えていきました。今は治療しやすいように往診セットを3セットくらい作って、いつでも出かけられるように準備を整えています。「困った! 助けて!」と言われたら、とにかくその日のうちに駆けつけようという姿勢でやってきました。自分1人では対応しきれないので、アルバイトの先生にも来てもらい、3人1チームで1日複数軒行ってますよ。歯が折れたとか、落として入れ歯が割れてしまったとか、いろんなケースがありますね。

訪問歯科診療での取り組みについて教えてください。

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高齢の方の中には、食べたい物が食べられないという悩みも多く、僕自身が「食」について考えるようになりました。食べるのは誰にとっても楽しみなことで、僕も食べることは大好き(笑)。健康でいるためには、食事が肝心。食事ができる歯の状態、口の中の状態に保つことが大切です。そこで、歯科医師だけでなく栄養士も診療に同行し、患者さんの口の中の状態や、食べたい物・好きな物を聞いて、調理方法や食べ方のアドバイスをするようになったんです。通院されている患者さんにも、そのような話はするのですが、在宅だと家族の方に伝えることもできますから。

「食べる喜び」を重視した治療に力を注ぐ

先生は介護施設も経営なさっていると伺いました。

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はい。病院へ入院患者さんの診療に行き始めて、病院では思うような治療が難しいと感じていました。一方で、介護施設に入りベッドで1日を過ごす高齢者は、運動量も少なく食欲も落ちてくる。本人に「食べよう」という意識がないまま介助者が食べさせると、飲み込みがうまくいかずに誤嚥性肺炎につながってしまうこともあります。健康のためには、点滴や薬よりも自分でおいしく食べられることが一番だと思います。そんな状態をめざす老人ホームを自分でつくろうと思い、経営を行っています。

診療では、どんなことを心がけていますか?

開業前に勤めていた歯科医院が「痛くない」「できるだけ抜かない」「削らない」という方針だったので、僕もそれを受け継いでいます。「歯医者は怖い」というイメージが患者さんにはあるだろうから、できる限り恐怖心を取り除けるようにしていますね。それと、1階の小児科クリニックとも協力しつつ、1歳半を過ぎたお子さんには定期検診でのフッ素塗布や歯磨き指導を推奨しています。少し大きくなった子なら、「きちんと歯磨きしないと、こんな困ったことになるよ」と話して聞かせると、お母さんにも歯磨きの重要性が伝わるでしょう。お母さんも気をつけてくれるだろうし、またそれを自分の親にも話してくれたら広がっていく。高齢の方は歯科医師が言ってもなかなか聞いてもらえないことが多いので、子や孫からも言ってもらうんです。すると素直に耳に入ることも多いんですよ。

開業から30年、長年の診療を経た今だから大事に思うことがあれば、お聞かせください。

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歯科技術の発達とともに以前はできなかった治療もできるようになりましたが、同時に欧米食などが広がった影響もあり、症状の変化も感じています。それから私自身、若い頃は「こうしなければいけない」と曲げられない部分があり、今思えばがちがちになっていました(笑)。でも、堅苦しいことは長続きしませんし、私自身が良いと思っても患者さんやご家族にとってはそうでないことが、もちろんあります。特に毎日介護をされているご家族はご苦労も多いので、こちらの意見を押しつけるのではなく、患者さんと目線を合わせた診療や、ご家族が気軽に取り組めるようなアドバイスを心がけています。また、高齢の患者さんが増えていることもあり、しっかりと噛んで飲み込める「食べることができる幸せ」を、より伝えていきたいという想いが強まりましたね。

労働者の環境改善を通して健康をサポート

労働衛生コンサルタントや、ストレスチェックの実施者も務めていらっしゃるとか。

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労働衛生コンサルタントは、事業所の職場環境の改善を担うもので、国家資格です。労働基準監督署が入る前のワンクッションとして、例えば工場なら、作業場の環境や衛生面などを良くするアドバイスをします。工場のラインを変えることで、多くの従業員の腰痛改善につなげる、というようなことです。それから、50人以上の従業員がいる日本の企業ではストレスチェックの実施が義務づけられています。歯科医師もその実施者を務められるようになったので、企業から依頼を受けて実施しています。労働衛生コンサルタントやストレスチェックの仕事では、事業所で働く多くの人の健康サポートを一気に担えるやりがいがありますね。働く人にも喜ばれるし、事業所も病院に通う人が減れば評価されるし、みんながハッピーになれると考えています。

歯科医療とは、どう関係していくのでしょうか?

僕が今課題だと思っていることは、学校に行っている間は学校保健安全法、高齢者は老人保健法に守られているけれど、働く世代についてはカバーしきれていないということです。大きな企業に勤めていて、会社で健康診断やストレスチェックを受けている人もいますが、中小企業の従業員や個人事業主など相当数の人は、放っておかれている側面もあるんです。その人たちの口腔環境の改善をめざすことで、年齢を重ねても自分の歯で噛める状態に持っていけて、健康寿命を延ばすことにもつながるのではないか。このような思いから、労働衛生コンサルタントやストレスチェックの実施者となって、中小の企業ともつながりを持ちたいと考えました。そして、健康診断や歯科検診、さらに受動喫煙など職場環境の改善や健康教育の機会にもつなげていければと考えています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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当院については外来の充実です。往診はますます増えるでしょうから、スタッフの数を増員するなど、いつでも往診を受けられる体制を整えようと考えています。しかしあくまでメインは外来で、そこは変えるつもりはありません。歯科医院以外の活動については、施設も含めて食べる喜びを一人でも多くの人に味わってもらえるように、歯科医師会や介護関係の人たちとタッグを組み、うまく連携を取りながら力を尽くそうと思っています。そして、歯科医師でも労働環境の改善に関われたり老人ホームがつくれたりすることを、後進の若い先生たちに伝えていきたいです。

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