全国のドクター9,327人の想いを取材
クリニック・病院 161,007件の情報を掲載(2021年3月01日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 世田谷区
  4. 田園調布駅
  5. 久富医院
  6. 久富龍夫院長、久富勘太郎副院長

久富龍夫院長、久富勘太郎副院長 の独自取材記事

久富医院

(世田谷区/田園調布駅)

最終更新日:2020/04/01

12645

環状8号線に面した住宅街、その一角に3代にわたって地域の方々の健康を守る「久富医院」がある。ツタに覆われた築60年を超える二階建ての一軒家。内装すべてが味わい深く、昭和の時代を彷彿とさせるドラマのセットのようだ。院長の久富龍夫先生は、先代のポリシー「ゆりかごから墓場まで」をしっかり受け継ぎ、幅広い年代のさまざまな病気に対応している。副院長である久富勘太郎先生は、久富院長の長男で3代目。院長の指導のもと、自らの治療に誇りと自信を持っている優秀なドクターだ。久富院長が勘太郎先生を「優秀な医師」と評価し、勘太郎先生は龍夫先生を「尊敬する先輩」と語る。信頼で結ばれた2人が初代院長のポリシーを守り、心のこもった診療を続けている同院。この街を大切にしている久富院長と勘太郎先生を訪ねた。
(取材日2015年8月28日)

新型の医療機器を導入し、病気の早期発見をめざす

久富院長は2代目、勘太郎先生は3代目でいらっしゃるんですね。

1

【久富院長】初代院長の父は80歳までここで診療していました。イギリスの社会保障のスローガン「ゆりかごから墓場まで」をポリシーにし、地域の方々との交流も大切にしていました。医師としても、ひとりの人間としても、今でも尊敬しています。終戦直前の4月、四日市空襲で焼け出され、友人の勧めで、鈴鹿山脈のふところ深い山村で開業し、7年間を過ごしました。その後、母の希望もあって、故郷である東京に引っ越し、今のこの地に拠点を移したのです。昭和27年のことです。患者さんゼロからの再出発でしたから、本当に大変だったと思います。私は2度、父に命を救われました。一度は10歳の時疫痢で、二度目は17歳の時出血性胃潰瘍で……。それが医者になろうと思った動機です。学生運動の混乱の中、東大の医学部を卒業しました。いくつかの病院で研鑽を積んだ後、関東中央病院呼吸器科に9年間勤務しました。もともと結核の後遺症で身体の弱かった父の希望で後を継ぎ、今年で34年になります。
【勘太郎先生】父の後ろ姿を見ながら育ち、早くからなんとなく医者になろうと思っていました。1995年に筑波大学医学部を卒業し、関東逓信病院(現・NTT東日本関東病院)に研修医として入りました。2年後、そのまま病院に残り、消化器内科で15年間勤務しました。ただ、いずれ実家の跡を継いで開業医になるということを意識していましたので、消化器以外の病気にも対応できるよう、努めていました。

町の医院とは思えないほど、設備が充実していますね。

【勘太郎先生】そうですね。医療に関しては手抜きをしない父ですので、心電図、超音波検査機、内視鏡の他、全身用CT検査機も入れています。病院では画像診断だけでしたので、機器の扱いに慣れるのは結構大変でした。病院との決定的な違いは、開業医はホームドクターでもあるということです。ですから、専門の内科以外のさまざまな医療相談を受けます。足の裏が痛いとか、腰が痛い、皮膚に湿疹ができた、もちろん花粉症も……。病院に行くほどではない症状の方々ですね。命には関わりないけれど、気になるし、できれば治したい・・・誰でも快適な日常生活を送りたいと思っていますから当然です。そんな時には、よく症状を聞いて、当院で対応できることはなるべく対応しますが、専門病院をご紹介することもあります。治療の道案内といったところでしょうか。

診療方針を教えてください。

12645 df 1 2 1442538562

【久富院長】まず、医者としては、患者さんの訴えにじっくり耳を傾けることを心がけています。しかし、そうすると、待合室で待っておられる患者さんの待ち時間が長くなる……それが悩みです。一方、患者さんに対しては、健康診断の大切さを伝えるようにしています。自覚症状のないうちに癌や糖尿などの放置できない病気を発見することが大事ですから。今まで私がやっていた消化器の内視鏡検査を勘太郎が担当してくれるようになって、助かっています。診断も正確で、安心して任せています。
【勘太郎先生】内視鏡検査によって、胃がん、食道がん、大腸がんの早期発見が可能です。早期の小さな大腸がんは、その場で除去します。膵がんは超音波検査、肺の病気はCT検査で早期発見に努めています。早く見つけて、治療することが本当に大切なのです。心臓の病気に関しては、心臓超音波検査によって正確な診断を期し、治療に結びつけています。また、甲状腺、乳腺、卵巣、子宮体部についても超音波検査を行っています。

「ゆりかごから墓場まで」初代院長のポリシーを受け継いでいく

印象に残っている患者さんを教えてください。

3

【久富院長】父がここに開業した時の最初の患者さんが、足を怪我した方でした。糸と針で縫合して治したそうです。表看板は内科・小児科でも、外科的なことも昔はやっていたようです。父が引退し、私がその患者さんを引き継いで25年。その患者さんは、100歳の百寿を迎え、昨年亡くなりました。カルテ番号1番の方でした。ときどき、おいしい食材を「食べてください」と、持ってきてくださっていました。今ではその方のお子さんやお孫さんが来られています。他に印象に残っているのが、前立腺がんの患者さんです。ある日突然歩行困難になり、骨に転移し、しばらくして全身に……。それでも必死に病気と向き合っておられました。亡くなる3日前に往診に伺ったとき「先生、いろいろお世話になりました」と言って下さった言葉が忘れられません。死と向き合うその姿勢に教えられることもあり、もう20年以上も前のことになりますが、今でも時々、思いだします。

どんな患者さんがいらっしゃいますか?

【久富院長】「ゆりかごから墓場まで」(笑)なので、小さな赤ちゃんからご高齢の方までいらっしゃいます。子供さんのさまざまな病気、成人病としては高血圧をはじめ、糖尿病、痛風、心臓病、肺疾患なども診ます。
【勘太郎先生】私も親になり、子供と接するのが慣れたせいか、初めて顔を見て、泣かれることはあまりないですね。でも、何回か注射していると、「注射の人」と思われて、泣かれてしまいます(笑)。病院勤めが長かったので、家庭医として求められていることを学んでいる最中です。痛感しているのは、あらゆる年齢層の方とのコミュニケーションの大切さです。その上で、どのように信頼関係を築けるか……それが診療のスタートですよね。医者とは病気を治す職業ですが、患者さんの信頼と協力がなければ治る病気も治りません。治療とは、共同作業なのではないかと思っています。

訪問診療も積極的に行っているんですね。

12645 df 1 4 1442221530

【勘太郎先生】今は、私が担当しています。最近は皆さん長生きされていて(笑)、ご高齢になられた昔からの患者さんが通院できなくなってきました。その場合には、ご自宅に伺っています。これから、訪問診療は開業医の重要な任務になってくると思っています。今は週一日を訪問診療に当てていますが、今後はもっと増やす必要があるかもしれませんね。

伝統を守りつつ、現代の医療のニーズに対応していきたい

お休みの日は何をされていますか?

55

【久富院長】絵を描いています。大学時代、教養学部に美術サークルがあって、そこで基礎を教わりました。でも、まあ自己流といった方が正確です。母は日本画をやっていまして、その影響があるかもしれません。なかなか時間がとれないのですが、納得のゆく絵が描けた時は、達成感があります。モチーフとしては、山の絵が多いのですが、家族を描くこともあります。個展を開くのが夢ですが、誰にも言ったことがありません。
【勘太郎先生】相模湾でボート釣りをしています。何より釣ったお魚がおいしいんです。趣味と実益を兼ねています。良い気分転換にもなりますね。医者は常に緊張を強いられますので、こうした気分転換は必要かもしれません。少なくとも、私には……。でも、開業医になってからは忙しくて、なかなか時間がとれないのが残念です。

今後の医院の展望を教えてください。

【久富院長】今までの方針をしっかり守りながら、患者さんに信頼していただける医療をこれからもこころがけたいと思っています。いままでの方針のひとつは、患者さんの負担を軽減するため、診断のための検査期間をなるべく短くすること。もうひとつは、日進月歩の医学の知識を取り入れること。それは、若い世代の勘太郎に期待しています。新しい医療と今まで培ってきた伝統との融合と言えるでしょうか……そういう診療をしていきたいですね。
【勘太郎先生】基本的には、父と同意見で、これまでの診療方針を受け継いでいきたいと思っています。とは言っても、現代の医療は、高齢者医療へのニーズが高まってきていますので、それに対応する必要があります。そのために、新しいことは取り入れつつ、これまでの伝統や祖父のポリシーは、しっかり残していきたいと思っています。

読者に対してメッセージをお願いします。

12645 df 1 6 1442221530

【久富院長】繰り返しになりますが、どの世代の方でも、年1回は健康診断をきちんと受けてほしいですね。それが一番大事です。当院では、全身のがん検診に重きを置きつつ、総合的な健診を行っています。早期発見が何より大事です。セカンド・オピニオンも大事です。遠慮なさる必要はありません。気になることがあったら、何でもお気軽にご相談していただきたいと思っています。

Access