痛みが少なく重度の歯周病にも有用
レーザーによる歯周病治療

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました！

Q歯周病治療は必要でしょうか？　始めるとしたら何歳からですか？

A

歯周病が進行すると、歯を失うリスクが非常に高くなります。歯の土台である歯槽骨が溶け、歯を支えられなくなるからです。最近では、歯周病の原因菌が血流に乗って体のさまざまな場所に移行し、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす原因になることもわかってきました。口腔内だけでなく全身の健康にも関係する病気ですから、治療することを強くお勧めします。歯周病は中高年の病気と思われがちですが、20代での罹患率も高く、中学生で罹るケースも珍しくありません。低年齢からの定期チェックを基本とし、少しでも気になることがあれば受診してください。症状が軽いうちに対処して細菌が増えないようコントロールすることが大切です。

Q歯周病をレーザーで治療するメリットは？

A

1つは、進行した歯周病でも手術をせずに治療できる点です。これまで、歯周ポケットの深い部分は歯茎を切開して歯石を除去していましたが、レーザーは切らなくてもポケットの奥深くまで届きます。そのため、出血のリスクが少なくなります。もちろん、その分早い改善につながります。そしてもう1つの大きなメリットは、歯周病が進んでぐらぐらしてきた歯を、噛める状態に回復させられる可能性が期待できること。レーザーを当てることで歯周組織の活性化を図り、歯の揺れの改善をめざすことができるのです。

Qレーザー治療は痛くないのですか？

A

当院では2種類のレーザーを症例によって使い分けており、一般的には麻酔をしなくても問題なく施術できるといわれています。ただし、痛みの感じ方は人それぞれですから、若干の痛みを感じる方がいるかもしれません。レーザーの熱で歯周組織を傷つけるような治療ではありませんので、安心していただきたいですね。従来の外科的治療のように傷ができるわけではないため、術後も早い回復につながります。治療の進め方やレーザーの特徴についてよくご説明してから治療に移るようにしていますが、何か不安なことがあればなんでもご相談ください。ご希望があれば、局所麻酔を行ってから治療をすることも可能です。

検診・治療START！ステップで紹介します

1問診で、常用する薬やセルフメンテナンスの状況を確認

まずは、主訴をはじめ既往歴や歯科の治療歴、服薬状況などを丁寧に聞く。骨粗しょう症の治療薬など、歯科治療で考慮しなければならない薬を飲んでいる場合は、かかりつけの内科などに連絡を取ることも。歯周病治療を行う上で重要なセルフメンテナンスの状況については、特に時間をかけて確認する。ブラッシングの頻度や歯磨きにかける時間のほか、どこから磨き始めるか、どんなふうに磨いているかを教えてもらい、治療に生かす。

2痛みなどがある部分を治療

痛みを訴えている患者に対しては、口腔内をざっと確認してからエックス線撮影を行い、虫歯の場合は患部を取り除く。歯周病で歯茎が膿で腫れ、圧迫による痛みが出ているようなら、歯茎を少し切開して膿を出すことで歯茎への圧を下げることを図る。さらに、急性の症状を抑えるために抗生物質と消炎鎮痛剤を処方することもできる。場合によっては、症状が出ている箇所だけ歯石を取り除いてしまうなど、臨機応変な対応で最善を尽くす。

3クリーニングで歯の状態を整えてから資料作成

歯の汚れが目立つ場合は、歯科衛生士がクリーニングを行う。特に汚れが強いときは、患者と相談の上でより高度なクリーニングを行ったり、歯肉縁上の歯石を除去したりすることも。汚れが少ない場合は、歯科医師が全体をチェックし、歯茎から上の歯の状態を図に書き込みながら治療用の資料を作成していく。歯周ポケットの深さも探り、ポケットの深さが6ミリや7ミリ程度まで深ければ、歯茎の中の歯石を取り除くこともある。

4歯周病のレーザー治療

歯周ポケットが深い、歯の動揺度が高いなど、基本的な歯周基本治療では症状が治まらない場合はレーザー治療を行う。痛む可能性があるときは、患者と相談の上で局所麻酔を実施。治療にあたっては、レーザー光から目を保護するため患者は専用の保護眼鏡を着用。レーザー治療は特に悪化した部分だけ集中的に行うのが一般的だ。

5定期検診とブラッシング指導

症状の重い歯周病は何度かレーザー治療を受ける必要があり、2～3回程度通院する必要がある。ただし、それだけで歯周病が完治するわけではないことに注意が必要だ。症状がぶり返さないよう、定期的なメンテナンスやブラッシング指導は必須。自己流のブラッシングでは磨き方の癖によって磨けていない部分も多いため、3ヵ月ごとの定期検診で一人ひとりに合わせたセルフブラッシングの指導を行う。