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稲見 誠 院長の独自取材記事

いなみ小児科

(世田谷区/三軒茶屋駅)

最終更新日:2022/07/15

稲見誠院長 いなみ小児科 main

世田谷区下馬の閑静な住宅街にある「いなみ小児科」。駐車場の壁面にはかわいらしい動物のイラストが描かれていて一際目を引く建物だ。稲見誠先生が院長を務める同院は、2015年にこの地へ移転し、地下1階から地上3階、延べ800平米の広さに拡充した。ビル内にはクリニックに加え、病児保育施設、産後ケア専用ルーム、子どもと一緒に訪れることができる子育て支援施設などを併設。幅広い面から親子をサポートするクリニックとして、地域住民にとってなくてはならない存在といえるだろう。1988年の開業以来親子に寄り添い続けてきた稲見院長に、クリニックの特徴や併設している施設について、また診療の際に大切にしていることなどじっくり話を聞いた。

(取材日2022年6月2日)

さまざまな面から親子をサポート

今春より再び稲見先生が院長になられたそうですね。

稲見誠院長 いなみ小児科1

はい。以前から当院で一緒に働いてくれている市橋いずみ先生に、2019年より院長を務めていただいたのですが、市橋先生には2022年春より当院の分院であるニコこどもクリニックの院長になっていただきました。そのため、今春から私が当院の院長に戻ることになったのです。診療には引き続き市橋先生も来てくださっていますし、ほかにも瀬上友見先生や大学病院からも月曜日から金曜日まで1人ずつ来ていただいていて、常に3人、多いときは4人体制で診療を行っています。そのため一人ひとりの患者さんに対してしっかりと時間を取ることが可能となりました。

さまざまな子育て支援をされていますね。

子育てというのは常に悩みがつきものですよね。診療を通して、誰かに話したい、悩みや相談を聞いてもらいたいと思っているお母さん方をたくさん見てきました。2015年に現在のビルに移転したことで、地下1階から地上3階まで広く使うことが可能になり、クリニックに加えて、病児保育施設「ハグルーム」や産後ケアルームの「Mama’s room」、お母さんとお子さんで訪れることができる子育て支援施設「ひょっこりひろば」などさまざまな面から親子を支援できるようになりました。「Mama’s room」では、お母さん方が一息つける時間と空間を提供できるよう、助産師やセラピストが工夫を凝らしてプログラムをつくっています。「ひょっこりひろば」では、季節の病気のお話や手作りおもちゃの作り方などいろいろな勉強会をやっています。乳幼児が楽しそうに遊ぶ姿やお母さん同士が交流している様子を見かけますよ。

病児保育施設についても教えてください。

稲見誠院長 いなみ小児科2

「ハグルーム」は、2003年に世田谷区の委託事業として立ち上げました。利用するためには、まず世田谷区保育課で事前登録をしておく必要があります。熱が出たときなど、利用したい日の前日もしくは当日の朝に予約をしてもらいます。その後、一度診察をし、空いていたら利用可能です。もちろん新型コロナウイルス感染症の検査も全員していますし、流行性の疾患については隔離部屋で過ごしてもらうようにしています。もともとの定員は12人ですが、現在は密を防ぐため6人にしています。状況が落ち着けばまた定員12人に戻ると思います。今は全国的に見ても病児保育の利用者はかなり減っているようです。テレワークなどで自宅で仕事をしている親御さんも増えてきたので、そういったことも利用者減少の原因となっているのかなと思います。

育児相談にも対応されているそうですね。

産後ケアというのは出産後4ヵ月未満の人しか利用できないんですね。でも、4ヵ月たったからといって、いきなり子育てが楽になるわけではありませんよね。4ヵ月を過ぎた親子も引き続き見守っていきたいという思いから、育児相談窓口を始めました。月に1回の予約制です。当院独自の事業ですので、区外の方でもご利用いただけます。そのほかにも育児や母乳栄養などで様子を見させてもらうための経過観察というのも行っています。また、臨床心理士による「前向き子育てプログラム」という参加体験型の学習会も開催しています。お母さん方の苦労や不安を少しでも軽くできたらという思いから、今まで以上に育児支援を充実させています。

安心して受診してもらうための、さまざまな工夫

待合室に置かれた大きな遊具が一際目を引きますね。

稲見誠院長 いなみ小児科3

受診する不安を少しでも和らげることができたらと思い、設置しました。名前を呼んでもお子さんが遊具から離れないなんてこともあるんですけどね(笑)。他にもトリックアートのように壁紙を貼ったり、所々におもちゃを置いたりと、待合室の子どもたちや保護者の方が快適に待てるような工夫を凝らしています。

感染症対策について教えてください。

まず、熱のあるお子さんが受診する場合は必ず電話予約をしてから来院していただいています。クリニックへ着いたら、車で来られた方は車の中で待機していただき、自転車や徒歩の方は申し訳ないのですが駐輪場で待っていただきます。発熱患者さん用にプレハブを建てたので、そこで診察や検査を行います。検査後は、待てる方には待っていただきますが、一度帰宅してもらって電話で検査結果をお伝えする方法もあります。熱がなくて、咳や鼻水だけのお子さんは2階の診察室に上がってもらって診察をしますが、熱がなくても新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者で咳があるというお子さんはプレハブでの診察となります。疑いのあるお子さんは2階には上げず、完全に分けています。最近は新型コロナウイルス感染症の陽性率はぐんと下がり、普通の風邪がはやっているなという印象です。

コロナ禍において受診をためらう親御さんも多いと聞きました。

稲見誠院長 いなみ小児科4

少しの咳や鼻水くらいでは受診せず自宅で様子を見るという方が多いような気がします。受診を控えるような感じは少しあるかもしれないです。クリニックへ来て、感染症をもらいたくないという思いがあるのではないでしょうか。先ほど述べたように、当院ではしっかりと感染症対策を行っていますので、受診をためらわず安心して来院していただきたいですね。

母親の気持ちに寄り添い認めてあげることが大事

診療の際にはどのようなことを心がけていますか?

稲見誠院長 いなみ小児科5

まずお母さんの気持ちを認めて差し上げるようにしています。例えば子どもが泣くたびに母乳を飲ませているのだけれども体重は増えていなくて困っているという悩みをお持ちのお母さんに対して、「泣くたびに母乳を飲ませていたら駄目だよ」と言ってしまうと、こんなに苦労しているのに否定されたと思ってしまいますよね。まずは、「とても大変だったよね」とお母さんの行動を認めてあげることが大事だと思っています。認めることでその先の話まで伺いやすいのです。いろいろな話をした上で、「お母さん、こういうやり方でやってみるのはどう?」といった提案の仕方をするように心がけています。お子さんに対しては、リラックスして受診できるように積極的に声かけするようにしています。

今後の展望について教えてください。

お母さんたち、お子さんたちのために寄り添える存在であり続ける。これが小児科の医師の使命であり、これに尽きると思っています。昔は隣のおじさんやおばさんから怒られたりごはんを食べさせてもらったりといったことがあったと思いますが、今の地域社会ではそういったことはほとんどないですよね。祖父母がいない家庭や共働き家庭も増えています。小児科の医師が祖父母や近所のおじさんやおばさんの役割を担い、ちょっとしたことでも相談に応じられる存在になりたいと考えています。最近では頻繁に受診する「コンビニ受診」は控えるようにという意見も聞きますが、小児科の場合はどんどん来てくれたほうがいいと思うんですね。ちょっとした疑問でも気軽に相談してもらえる場所であり続けたいと思っています。

地域の方へのメッセージをお願いします。

稲見誠院長 いなみ小児科6

ちょっとでも気になることがあったら来てくださいとお伝えしたいですね。当院は医師、看護師、助産師、臨床心理士などいろいろな職種のスタッフがいますので、お母さん方の悩みが少しでも楽になるようなお手伝いができるのではないかと思っています。みんな親身になって話を聞いてくれると思うので、「こんなこと話していいのかな」と考えずに、どんな些細なことでもよいのでご相談ください。

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