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古市 晋 院長の独自取材記事

横浜青葉脳神経外科クリニック

(横浜市青葉区/あざみ野駅)

最終更新日:2023/10/18

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック main

あざみ野駅西口から徒歩約4分の場所にある「横浜青葉脳神経外科クリニック」。院内の待合室は絵画や陶芸品、整然と並ぶ書物がレイアウトされた癒やしの空間だ。「美術館のようなクリニックにしたかったんです」と話すのは、院長を務める古市晋先生。枠にとらわれることなく良いものを追求する姿勢は、脳神経外科の非常勤医師10人が日替わりで診療を行い、「治療」の範囲を超えて生活面のアドバイスまで行う診療スタイルにも表れている。「経験豊富な医師たちが、優れた機器を用いて実施する脳専門の外来が当院の特徴です」と端的に強みを言語化する古市先生に、診療システムや地域への思いなどについて聞いた。

(取材日2023年6月24日)

認知症、頭痛、脳卒中、脊椎・脊髄専門の外来に注力

こちらではどのような診療を行っていますか?

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック1

経験値の高い医師たちが、先進の3テスラのMRI画像診断を用いて「認知症」「頭痛」「脳卒中」「脊椎・脊髄」の4つの領域に特化した脳専門の外来を実施しています。診療では、神経診察とMRI画像、予防の3つに注力することが脳神経外科の役割と考えています。神経診察では、患者さんから聞き出した病歴や生活歴、家族歴を基礎データとして、症状の経過を過去から現在まで把握することに努めます。例えば、片頭痛やくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤は遺伝が関係していることが多いので、ご家族に片頭痛や脳動脈瘤があればリスクが高いと判断できるわけです。この神経所見と、血管の詰まりや脳動脈瘤、腫瘍の有無などがわかるMRI画像を合わせて診断します。なお、予防は、現状維持を目標として将来起こりそうな疾病の対策を施すことです。この場合の疾病とは、当院では主に脳卒中がターゲットとなります。

早期発見だけでなく、予防も重視されているのですね。

そのとおりです。ただ、医療では全体の1割程度の疾病予防しかできないと思っています。残りの9割は、食習慣が5割、日頃の運動が2割、睡眠が1割、介護その他が1割。つまり、食事と運動、睡眠と、患者さん自身でできることがほとんどを占めるということです。1割の医療に加えて、医療以外の9割をどうサポートするかが重要だといえるでしょう。当院では、最も重要と考えられる疾病予防策の食事について、定期的に管理栄養士に来てもらい、必要な方にはマンツーマンで栄養指導をしています。運動は認知症対策としても有用なことが知られていますが、今のところ当院で具体的な指導は行っていません。ご要望があれば、地域で指導が受けられる施設をご紹介しています。

地域の状況をよく把握していらっしゃるのですね。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック2

「残り9割の部分のサポート」という意味で、地域の把握は非常に重要です。医療機関はもちろんですが、介護サービスを提供する施設にどんなものがあるかチェックして、患者さんに必要なサービスを提供している施設をご紹介できるようにしています。介護でいえば、自治体が運営する地域包括支援センターとの連携も大切で、中でも介護全体をマネジメントするケアマネジャーとの相性は重要なポイント。患者さんのことだけでなく、たくさんいるケアマネジャーの特徴もできるだけ把握して、患者さんに適切な情報提供ができるよう心がけています。日頃から地域情報を収集すると同時に患者さんからも詳細に話を伺うので、診察時間がどうしても長くなりがちです(笑)。

複数の医師による多角的なアドバイス

クリニックの特徴を教えてください。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック3

クリニックでは珍しいといわれる先進の3テスラMRIを導入していることです。3テスラMRIは主に大学病院などで使われており、従来のMRI装置に比較して短時間で、高解像度の撮影が可能です。例えば、脳動脈瘤のリスクを判断する場合、大きさはもちろんですが、その形にも注目しなくてはなりません。脳動脈瘤の形は、まん丸もあれば細長いもの、歪なものやだるまのような形のものなどさまざまですが、テスラMRIならそれらの形状の細かいところまでがはっきりとわかります。そのため、経過観察で良いのか、それとも治療が必要なのかなど、精密に診断することができます。

そのほかの特徴についても教えてください。

私のほかに10人の非常勤医師が診療していることです。当院には大勢の患者さんが来院されますので、私一人ではどうしても手が足りません。そこで、連携している昭和大学藤が丘病院や聖マリアンナ医科大学病院、川崎幸病院などの医師に日替わりで外来を担当してもらっているのです。当院の非常勤医師は全員が脳神経外科のエキスパートで、それぞれ脳神経外科の中での専門が異なります。私は頭痛と認知症予防が専門ですが、ほかに血管内治療や脳卒中予防、脳血管障害、脊椎・脊髄などを専門とする医師がいますので、さまざまな脳神経疾患に対して精密な診断や幅広い治療の選択肢を提供することができます。首や腰が痛いと整形外科に行くのは選択肢の一つですが、脊椎や脊髄の疾患は脳神経外科が得意とする分野でもあります。首や腰の痛み、足のしびれや歩行障害に悩んでいる方もぜひご相談ください。

認知症の診療にも力を入れているそうですね。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック4

地域に高齢者が多いこともあり、新たに認知症関連の知識を学ぶなど専門的な勉強もしてきました。認知症には種類があり、その種類によって治療法が違うので精密な診断が大切です。多いのはアルツハイマー型認知症ですが、現在は根治する方法はなく、進行の抑制を目的とした薬物療法や運動療法が主になります。ところが、中には血管の詰まりや正常圧水頭症などが原因の認知症があり、手術によって改善をめざせる可能性があるのです。そのため、まずは検査でその鑑別をすることが重要です。また、認知症予防に向けて、食習慣や運動習慣などについて指導やアドバイスを行っています。

患者へのフィードバックを意識して日々の診療に励む

頭痛で悩んでいる方に、アドバイスはありますか?

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック5

頭痛に悩む患者さんには、頭痛が起きたらご自身のライフスタイルへの警鐘と捉えるよう話しています。頭痛の原因は、日頃のストレスや睡眠不足からきていることが多いからです。何が頭痛の引き金になっているかを考えることで、ライフスタイルを見直すチャンスにもなるでしょう。単に痛みを取り除くなら、痛み止めをうまく選択すればいいだけですが、それは対症療法であり根本的な解決策にはなりません。根本原因を解消した上で、必要に応じて適切に薬を使うのが理想的です。ご自分の生活のどこに問題があるのかを考えるきっかけとして頭痛を位置づけてみてはいかがでしょうか。

診療スタンスについて教えてください。

私たち医療関係者は、診療を通して患者さんが抱える課題に向き合うことで勉強する機会を与えてもらっています。ですから、診療から学んだことを別の患者さんたちにいかにフィードバックするかが重要です。開業以来、常にそういう視点を持って診療にあたってきました。例えば、若い方が頭痛を訴えて来院したら、「何十年後にはこうなると思いますので、日頃からこうするといいですよ」と高齢者の診療で得た気づきをアドバイスしたり、生活背景の見えにくい認知症の方でも、大勢の高齢者と話した経験から「きっとこう考えているだろう」と予測して対処したり。治療は、手術や投薬だけではありません。適切なアドバイスも治療につながりますので、常にフィードバックする視点は大切にしていきたいですね。

最後に読者へメッセージをお願いします。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック6

世の中の情報は玉石混交で、正しいものもあれば、そうでもないものも少なくありません。ですから、病気について考える時には情報の取捨選択が非常に大切です。インターネットで得られる知識がすべて正しいものではないということを理解していただきたいですね。そして、頭痛に関しては、薬を使うことをためらう方が多いのですが、適切に使えば日常生活が楽になることも期待できます。根本原因の解消に努めつつ、上手に使うようにしましょう。また、当院にはさまざまな特徴を持った医師がおり、各人の強みを生かした診療を行っています。ぜひ気軽に相談していただいて、自分に合った医師を見つけてもらえたらと思います。私のコンセプトは「太く長くしぶとく上手に長生きしましょう」です。一度しかない人生ですから、早死にはもったいないですよね。気になる症状があれば、早めに専門の医師に診てもらうことをお勧めします。

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