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古市 晋 院長の独自取材記事

横浜青葉脳神経外科クリニック

(横浜市青葉区/あざみ野駅)

最終更新日:2025/10/06

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック main

あざみ野駅西口から徒歩約4分の場所にある「横浜青葉脳神経外科クリニック」。待合室は、絵画や陶芸品、整然と並ぶ書物がレイアウトされた癒やしの空間だ。「美術館のようなクリニックにしたかったんです」と話すのは、古市晋院長。枠にとらわれることなく良いものを追求する姿勢は、脳神経外科の非常勤医師10人が日替わりで診療を行い、「治療」の範囲を超えて生活面のアドバイスまで行う診療スタイルにも表れている。「経験豊富な医師たちが、優れた機器を用いて実施する脳専門の外来が当院の特徴です」と話す古市院長に、同院の診療や地域への思いなどについて聞いた。

(取材日2025年5月24日)

認知症、頭痛、脳卒中、脊椎・脊髄疾患を専門に診療

こちらではどのような診療を行っていますか?

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック1

主に、「認知症」「頭痛」「脳卒中」「脊椎・脊髄」の4つの領域に特化した外来診療を行っています。診療では、神経診察とMRI画像、予防の3つに注力することが脳神経外科の役割と考えています。神経診察では、患者さんから聞き出した病歴や生活歴、家族歴を基礎データとし、症状の経過を過去から現在まで把握することに努めます。例えば、片頭痛やくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤は遺伝が関係していることが多いので、ご家族に片頭痛や脳動脈瘤があればリスクが高いと判断できるわけです。この神経所見と、血管の詰まりや脳動脈瘤、腫瘍の有無などがわかるMRI画像を合わせて診断し、治療を行います。また、脳神経疾患は、脳卒中などの重大な病気を予防することも重要です。

早期発見だけでなく、予防も重視しているのですね。

そのとおりです。ただ、医療の力だけで疾病を予防できるのは全体の1割程度に過ぎないと考えています。残りの9割は、食習慣が5割、日頃の運動が2割、睡眠が1割、介護や生活環境などその他が1割を占めます。つまり、疾病予防の多くは、患者さんご自身の生活習慣にかかっているということです。医療による1割の支援に加えて、残り9割の生活習慣の部分をどのようにサポートするかが重要だといえるでしょう。当院では、特に重要と考える「食事」に着目し、定期的に管理栄養士を招いて、必要な方にはマンツーマンでの栄養指導を実施しています。

クリニックの特徴を教えてください。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック2

一つは、先進の3テスラMRIを導入していることです。3テスラMRIは主に大学病院などで使用されており、従来のMRI装置に比べて短時間で高解像度の画像撮影が可能です。例えば、脳動脈瘤のリスクを評価する際には、大きさだけでなく形状も重要な判断材料となります。脳動脈瘤の形には、球状のもの、細長いもの、いびつなもの、だるま型のものなどさまざまありますが、3テスラMRIであれば、こうした形状の微細な違いまで鮮明に捉えることができます。そのため、経過観察で良いか、あるいは破裂リスクが高いために治療が必要かといった判断を、より精密に行うことが可能になります。

脳神経疾患のさまざまな専門の医師がそろう

他に特徴はありますか?

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック3

当院では、私の他に10人の非常勤医師が診療にあたっています。患者さんが多いため、私一人ではすべての診療に対応するのは困難です。そこで、昭和大学藤が丘病院、聖マリアンナ医科大学病院、川崎幸病院など、各病院の医師に日替わりで外来を担当してもらっています。当院の非常勤医師はいずれも脳神経外科のエキスパートで、それぞれ異なる専門分野を持っています。私自身は頭痛と認知症予防が専門で、他に血管内治療、脳卒中予防、脳血管障害、脊椎・脊髄疾患などを専門とする医師が在籍し、さまざまな脳神経疾患に対して精密な診断と幅広い治療の選択肢を提供できる体制を整えています。また、首や腰の痛みで整形外科を受診される方も多いですが、脊椎や脊髄の疾患は脳神経外科が専門とする分野でもあります。首や腰の痛み、足のしびれ、歩行障害などにお悩みの方も、ぜひ一度ご相談ください。

頭痛の診療について教えてください。

頭痛については、「それで病院に行くのは大げさ」「市販薬を飲めば大丈夫」と考え、繰り返していても我慢している方も多いと思います。しかし、近年では片頭痛に対して「抗CGRP製剤」と呼ばれる新しいタイプの注射薬が登場しました。また、頭痛の原因として日常のストレスや睡眠不足が関係していることも多く、何が引き金になっているのかを見極めることが、ライフスタイルを見直すきっかけになるかもしれません。単に痛みを取り除くだけであれば、鎮痛薬を上手に使えば済む話ですが、それはあくまで対症療法であり、根本的な解決にはつながりません。理想的なのは、頭痛の根本原因を見つけて改善を図り、必要に応じて適切に薬を使用することです。ご自身の生活習慣を見つめ直すきっかけとして、頭痛を捉えてみてはいかがでしょうか。

認知症の診療にも力を入れているそうですね。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック4

認知症にはいくつかの種類があり、それぞれに適した治療法が異なります。最も多いのはアルツハイマー型認知症ですが、他に血管の詰まりや正常圧水頭症のように、手術で改善が期待できる認知症もあります。そのため、まずは検査によって正確な鑑別診断を行うことが欠かせません。アルツハイマー型認知症については、現時点では根治する治療はなく、進行を遅らせることを目的とした薬物療法や運動療法が主な対処法です。最近では、アルツハイマー型認知症の進行を抑制するための新しいタイプの点滴薬による治療も始まっています。この治療は開始できる医療機関が限られており、当院ではできませんが、治療開始からおよそ半年が経過した後は、市中のクリニックで投薬を継続する仕組みになっていて、当院でもその治療は行うことが可能です。また、この治療を希望される場合には、対応可能な医療機関をご紹介することもできます。

患者へのフィードバックを意識した診療を心がける

若年層の頭痛と認知症は、無関係ではないそうですね。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック5

結局のところ、あらゆる疾患は生活習慣に行き着くと思います。どの病気にも遺伝的な要因はありますが、加えて、その人自身の生活習慣の積み重ねが大きく関わっているのです。特に、頭痛は生活習慣の影響を強く受ける代表的な症状の一つですし、認知症もやはり長年の生活習慣の結果として現れる面があります。さらに、脳卒中も同様で、高血圧症や高脂血症、糖尿病といったリスク因子は、いずれも生活習慣病であり、遺伝要因と生活習慣の両方が関係しています。このように、さまざまな脳神経疾患が互いにリンクしていることを踏まえると、「生活習慣」という視点から一貫した指導を行うことが、病気の予防にも治療にも非常に重要だと考えています。

診療の際に心がけていることはありますか?

医師は、診療を通して勉強する機会を与えてもらっています。だからこそ、診療から学んだことをいかに他の患者さんへフィードバックするかが重要です。例えば、若い方が頭痛を訴えていたら、「何十年後にはこうなるリスクがあるので、今からこういう生活習慣を意識すると良いですよ」と、高齢の患者さんの診療で得た気づきを踏まえてアドバイスすることもあります。生活背景の見えにくい認知症の患者さんでも、これまでに多くの高齢者と接した経験から、「おそらくこう感じているのではないか」と想像しながら対応しています。適切なアドバイスも立派な治療の一部です。そうした意味で、常にフィードバックの視点を持つことは大切にしています。また、多くのクリニックで「わかりやすく説明します」と言っていますが、そのわかりやすさを突き詰めると、納得感なんですね。ですから、患者さんが納得し、前向きに治療に向き合えるような説明を心がけています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

古市晋院長 横浜青葉脳神経外科クリニック6

当院は開院から18年を迎えました。ですが、まだまだやりきれていないことがたくさんあると感じています。例えば、患者さんから見た時に、わかりやすい医療が提供できていない。新しい医学の情報や、当院でできることが一般の人に届いていないと思うのです。そういうところをつなげるための取り組みも、これからは行っていきたいと考えています。また、今後医療を取り巻く環境は激変していくと思いますので、10年後の未来を見据えた診療を提供していきたいですね。そして、私のコンセプトは「太く長くしぶとく上手に長生きしましょう」です。一度しかない人生ですから、早死にはもったいないですよね。気になる症状があれば、早めに専門の医師に診てもらうことをお勧めします。

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