篠崎 直樹 院長の独自取材記事
矯正・自由が丘歯科室
(世田谷区/自由が丘駅)
最終更新日:2025/11/27
自由が丘駅から徒歩1分、東急東横線沿いのビル2階にある「矯正・自由が丘歯科室」は、篠崎直樹院長を中心に経験豊富な歯科医師が診療する歯科医院。篠崎院長が大学での学生指導や大学病院の診療で培った矯正歯科の専門性をもとに、できる限り「本来あるべき自然な歯並び」をめざす矯正を行っている。「そのための矯正方法の一つとして非抜歯での矯正も重視しています」と篠崎院長。子どもから高齢者まで幅広く受診する同院の診療について詳しく聞いた。
(取材日2025年7月8日)
患者ごとの「本来あるべき歯並び」に戻す矯正が目標
こちらの矯正の特徴をお聞かせください。

患者さんの歯列の乱れや噛み合わせの不具合は、悪習癖や姿勢など生活習慣の他さまざまな要因で起こるとされています。当院ではそうした患者さんの「本来あるべき自然な形」にできる限り戻す矯正をめざし、非抜歯の矯正にも取り組んでいるのが特徴です。加えて、矯正の目的の一つである咀嚼機能の回復に向け、噛み合わせを整えることも重視しています。自由が丘という土地柄か、開設当初は成人の患者さんが中心でしたが、お子さんや高齢の方も増え、現在は幅広い患者さんが受診されています。中でも「将来も自分の歯で食べたい」と希望される高齢の方の来院は多いですね。お子さんについては、口を開けたままなど口腔機能発達不全の影響が見られる場合、歯並び・噛み合わせの乱れにつながります。お子さんの矯正と口腔機能の発達サポートにより一層力を入れたいと考えています。
診療の際にはどんな点に留意されていますか?
患者さんの話にしっかりと耳を傾けることです。何に悩んでおられるのか、どうなりたいのか、どのような矯正方法が希望か、ご本人の考えや要望をよく伺って、それに沿った矯正方法を提案します。非抜歯に適しているかを検討するためにも診断は重要で、当院ではエックス線検査装置や3D歯科用CT、口腔内3Dスキャナーなどで顎の骨や顎関節、歯の位置、噛み合わせを精密に検査しています。また、矯正でどのように歯が動くことが見込めるかというシミュレーション画像を患者さんに提示して説明しています。こうした画像を見れば矯正後に期待できる歯並びがイメージしやすく、安心できるのではないでしょうか。最初の画像データは大切に保管して、矯正の途中でもお見せしているんですよ。
具体的にどのような矯正方法があるのでしょうか。

非抜歯を前提に矯正計画を検討しますが、患者さんの上下の顎の位置関係のズレが大きかったり、ガタガタの程度が強い場合には、抜歯による矯正もあり得ます。当院で可能な矯正方法は多様で、マウスピース型装置を用いた矯正の他、ブラケットとワイヤーによる矯正も歯の表側に装着する以外に、歯の裏側に装着して目立ちにくくする「舌側矯正」も行います。歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正にも対応し、必要な場合は複数の手法を組み合わせることも。技術的には歯列のアーチを広げるように促す、あるいは後方に移動させるように図るといった方法があります。近年はブラケットとワイヤーとの摩擦を軽減し、効率良く歯の移動を行うための研究も進んでいます。これらの新しい考え方の矯正装置についても積極的に取り入れていきたいと思っています。
子どもの口腔機能発達をめざすMFTにも注力
子どもの口腔機能と歯並びの関係を教えてください。

口腔機能とは噛む・飲む込む・唾液を分泌するといった口の機能の総称で、口の周囲や舌などの口腔筋がうまく使えていないと、こうした口腔機能が十分に働きません。舌の動かし方がよくわからず滑舌が悪い、口呼吸をする、口をポカンと開けるなどの悪習慣にもつながり、歯並びや噛み合わせが乱れる原因になるといわれています。そのため当院では舌や頬などの口腔筋の筋力アップをめざしたり、使い方をトレーニングしたりすることで、口周りの筋肉のバランスを整えるのに有用なMFT(口腔筋機能療法)にも注力しています。舌が上顎につけられないなど口腔機能発達不全と思われる症状は、3歳児の歯科健診でもよく見られます。歯並びに影響が出ないうちに口腔機能を発達させるために当院へご相談いただければと思います。生まれつき歯並びの悪い子どもは少なく、早めに軌道修正をすることにより、非抜歯率が高まるので、ぜひクリニックにご相談ください。
子どもの矯正で保護者が注意する点はあるでしょうか。
まず当院のような矯正専門の歯科クリニックを早めに受診していただくことです。受診当日に矯正の適切な開始時期を判断するのは難しく、何度も通う間にお子さんの口腔内の変化や成長を把握し、ご相談を重ねて適切な矯正方法や時期を検討することが重要と考えているからです。当院で使用する矯正装置は3歳くらいから使用可能なものもありますので、そのあたりの年齢から通っていただくのが望ましいでしょう。また、保護者の方はお子さんの歯並びに熱心なあまり、一般的な例が紹介されたネットやSNSの情報をもとに過剰に心配されることも多いのですが、お子さんの矯正は矯正に用いる装置ありきではなく、お子さんごとの診断基準をもとに検討するもの。目の前にいる歯科医師を信頼いただいて、お子さんに適した矯正を選んでいただければと思います。
高齢者の矯正にはどんなメリットが期待できますか?

口腔機能の低下や歯周病などにより、以前はきちんとしていた歯並びが乱れることが高齢の方には多く見られます。噛む力に対して歯が直立する状態をめざして矯正を行うことで、口腔内のバランスの安定が望めます。加えて歯磨きがしやすくなることも見込め、虫歯や歯周病のリスク軽減も期待でき、長期にわたってご自身の歯で食べられることにつながります。当院にはそうした矯正を希望される患者さんが多く、矯正に向けたモチベーションも高いですね。逆に歯を失ったままだと噛み合わせのバランスが悪化して、他の部分も歯も加速度的に悪くなると考えられます。60歳前後の方はその分かれ道にいると考え、必要な方は矯正を検討いただくようお勧めします。
多様な矯正方法で「いいとこ取り」の矯正を提供
矯正歯科を専門にされたきっかけは何でしたか?

中学生の頃から細かい作業が得意だったので、それを生かせる仕事をと思い歯科医師の道を選びました。矯正を専門にしたのは、東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)で学ぶ中で、「外からの力によって体の一部を変化させていくよう導くのは歯列矯正だけではないか」という言葉を聞き、そのダイナミックさに魅力を感じたからです。考えてみれば外力で変化させることが見込める人体の部位はそう多くありません。矯正は適切な力と歯の状態とのバランスを考慮しながら、適切な位置や角度に変化するように導くという点でとても興味が湧いたのです。その後は大学院を修了し、大学で学生の指導や大学病院での診療にあたりましたが、そうした経験を地域医療に役立てたいと当院を開設しました。
矯正専門歯科医院では珍しく多いユニット数ですが?
今回のリニューアルでは診療スペースを増やし、診療スペースのうち、窓際で外が見える空間に配置した予防ユニット3台は、歯科衛生士が主に予防処置を中心に使用しています。その他診療ユニット4台は、患者さん同士が隣り合わないようにパーティションで仕切り、個室のような感覚で診療を受けていただけます。この他カウンセリングルームが2ヵ所とお子さん用の診療室も設けています。また、多目的のミーティングルームも新設したので院内での勉強会以外に、コロナ渦で中止していた歯科医師の簡易的な職業体験をしてもらうキッズ向けプログラムもそこで再開できたらと考えています。
最後に地域の方にメッセージをお願いします。

開院して26年、歯科医師として約40年、長年の診療で実績を積み重ね、幅広い患者さんに恵まれて、今では、昔の患者さんが大人になり、お子様を連れて親子でも受診していただける地域に根ざしたクリニックとなりました。障害のある方の自立を支援する指定自立支援医療機関の育成医療・更生医療分野での指定も受け、対象の患者さんは保険が適用されます。可能な限り非抜歯での矯正も検討するという当院の考えに賛同して、遠方から来られる方が増えています。もともとは「本来の自然な歯並び」に戻すことが当院の診療の目標ではありますが、非抜歯では難しいケースもあることはご了解ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正(上下)/66万円~、ワイヤー矯正(表側矯正・上下)/96万円~、ワイヤー矯正(舌側矯正・上下)/100万円~、歯列矯正用アンカースクリューを用いた矯正/2万5000円~、小児矯正/5万5000円~、MFT/1回3000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

