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百々 秀心 院長の独自取材記事

こどもの木クリニック

(横浜市都筑区/江田駅)

最終更新日:2021/10/12

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江田駅から徒歩約15分の「こどもの木クリニック」は、咳や鼻水、発熱や嘔吐などの急性疾患、腹痛や下痢などの急性胃腸炎、湿疹や発疹といった皮膚疾患など幅広い内容に対応する小児科クリニック。日本小児科学会の小児科専門医であり、特に小児循環器を専門に30年以上の経験を持つ百々秀心(どど・ひでみ)院長は、カナダやアメリカでも臨床に携わってきた小児科のエキスパート。小児科領域一般の疾患はもちろんのこと、予防接種や乳児健診、地域の幼稚園や保育園の健診にも注力。欧米医療の良い点を取り入れながら、明快な口調と言葉で丁寧に説明してくれる百々院長。子どもの循環器疾患の診療を受けに遠方から通う親子もいるのだとか。小児医療への思いや診療に対する向き合い方について百々院長に話を聞いた。

(取材日2020年7月6日)

欧米で培った臨床スキルを日本の地域医療でも還元

開院までの経緯を教えてください。

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大学院で博士号を修得して、卒業後は東京大学小児科の助手をしていましたが、より深い研究と臨床経験を積むことを目的にカナダのトロント大学で臨床医員を務めました。その後、アメリカUCLAロサンゼルス校でも多くの経験を積んできました。帰国後は、国立小児病院を経て、国立成育医療研究センターの医長に。大きな病院や先端医療の現場など、さまざまな経験をしてきました。それぞれに、その組織でしかできないことがあり興味深かったのですが、反対に組織だからこそできないこともある。考えた末に、自分は患者さんとじっくり関わっていくのが好きなのだと気がつきました。そこで、より患者さんと近い場所で医療が提供できる地域医療に携わろうと、2006年4月に開業に至りました。

欧米と日本、臨床現場の違いはありますか?

近年、日本でも「かかりつけ医」を持つことが推奨されていますが、これはもともと欧米からきた考え方で、言葉だけは持ってきたけれど、基本的な考え方が異なるものでしょう。アメリカの小児科医療では、子どもを診るということは、家族を診る、学校を診る、社会を診る、そういうもの全部を総括して診るのが小児科の医師の役割りだという考えがあり、小児科の医師が社会を変える信念を持って医療に向き合っています。まず、その考え方が日本と欧米では違いますし、例えばアメリカでは、診察の始めにまずドクターが患者さんに自己紹介をする。そこから違います。患者さんが治るのは、患者さんご自身の体で治していくわけです。それに対するアドバイザーのような感覚がアメリカの医師にはあるので、基本が違うと思います。

先生は英語での診療もされていらっしゃるそうですね。

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横須賀にあるアメリカ海軍病院に小児科の医師はいますが、子どもの心臓を専門にしている医師がいないため、心雑音がある、脈がおかしいという子は僕のところに紹介されて来ます。また、同じく海軍病院の産婦人科から、たとえばお母さんにもともと先天性疾患があるとか、胎児をエコーで診たら心臓のバランスがおかしい、心臓病の兄弟がいるといったケースは、妊婦さんが来院されて、おなかの中の胎児の心臓を僕が診ています。英語での診療は問題ありませんし、イタリア語も大丈夫ですよ。

「この病気が良くなるまで診る」をポリシーに尽力

先生が医師を志したきっかけを教えてください。

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父も親類も医師という環境だったので、自分の将来は医師以外考えられず、中学生の頃から医師になろうと決めていました。父は東京医科大学に在学中、馬術部で活躍したオリンピック選手候補でした。僕がまだ小さな頃に、東京医大馬術部が、実家のある新潟に合宿に来ていました。僕は学生たちによく遊んでもらっていましたね。そういうことがあると、人はその学校に対して愛着を感じるものです。そのご縁もあって東京医科大学に入学しました。小児科を選んだのは、父が小児科の医師だったからです。もちろん、自分自身が子どもが好きということも大きな理由でしたね。

小児科の中でも心臓を専門とされたのはなぜですか?

循環器というのは、現れた症状に対して何が原因でそうなったかがわかりやすいロジカルな分野です。顔色を見て、触診して、心電図を撮って、レントゲンを撮って、超音波を行う。すると疾患は何で、原因は何かといった診断ができていくんです。他の病気の場合、なかなかこうはいきません。このはっきりとしたわかりやすいところが、自分の性に合っている気がします。当院では心臓を専門にした特別枠の診療時間帯を設けていて、月、火、木、金の午後3時から3時半まで、1日1人の診療を行っています。その場で、レントゲン、心電図、超音波とさまざまな角度からの検査をし、じっくり時間をかけて説明します。手術やカテーテルが必要な時は、専門病院に紹介しています。

診療で大切にしていることを教えてください。

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実は、今日もこれから幼稚園や保育園の健診に行くのですが、園での健診でも必ず聴診します。園での健康診断は結構バタバタしますが、僕は先生方に「心臓の音に関しては100%見逃さないようにしている」と宣言しています。聴診には職人的なところがあって、パッと聴いてポンポンとやっているだけに見えますが、その間に大きく分けて心音と心雑音を聴かなくてはいけない。心音にも4つあるし、タイミングも聴かなくてはいけないんですね。症状は特に出ていなくても、ときには重大な心臓病が隠れている場合もありますから、心音は非常に大事にしています。もう一つ大事にしていることは、子どもたちの面倒を責任を持って診るということです。僕がわかる範囲のことだけでなく、わからない範囲に関してはわかる先生に紹介するし、その子のこの病気が良くなるまで診ようというのが僕のポリシーです。

心と体、両方をバランス良く診ることが大切

こちらでは児童精神科の診療も行っているそうですね。

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子どもの心の診療は2010年から始め、今年で10年になります。日頃からお子さんの心の悩みを診察の際に伺う機会が多く、何か役に立てることはないかとは考えていました。近隣で児童精神科を標榜する開業医が少ないこと、あっても予約が3ヵ月待ちは当たり前。大きな病院でも新患を受け入れていないなど、子どもの心の病気を受け入れる体制が、この地域に整っていなかったことが診療を受け入れ始めたきっかけです。現在、毎週土曜日に児童精神科が専門の羽田紘子先生に来ていただいていますが、不登校や朝起きられないという子が多いので、そういう子は僕が窓口になっています。起立性障害や肝臓や甲状腺の機能が悪いという子もいるので、まず身体的な原因がないかを僕が確認し、検査が必要な場合やそれ以上のことは羽田先生にお任せしています。

どのようなクリニックでありたいとお考えですか?

医師が正確な判断を下し、適切な治療をすることが最も重要ですが、そこで大切なのは、医師と患者さんとのお互いの信頼関係です。医師の一方通行では成り立ちませんから、患者さんには「疑問や不安な点など、どんな質問をしても大丈夫ですよ」「できる限り丁寧にお答えします」ということをお伝えしています。信頼は、お互いのやり取りの中で生まれてくるものですから。症状が気になる患者さんには、「しばらくは毎日来てください」という場合があります。そんなことをいう医師は少ないと思いますが(笑)。「もしこれが自分の子どもだったら、僕はどういう治療をするだろう」と考えながら患者さんと向き合っています。

最後に今後の展望と子育て中のお母さんへのアドバイスをお願いします。

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子どもが来院しやすいような環境をつくらなくてはいけないと思っています。例えば僕は診察のときに舌圧子は使いません。舌圧子は口と喉を検査する際に、舌を押さえるために使用される道具ですが、恐怖感を持つ子が多いんです。だからなるべく使わない。それから、心と体は一緒なので、心を病んでいると体も悪くなるし、体が悪くなると心も病みます。病気を診るということは、心と体の両方をバランス良く診ることが必要だと思っています。心にストレスを感じている子どもが増えていると感じますが、それはお母さんの責任じゃないし、いろいろなことが組み合わさってくるんですよね。褒めて育てるではないけれど、なるべく子どもたちの良いところを見てあげる。人は好きなことをやることが一番いいと思うんですよ。子どもが本当に好きなものを見つけられるような環境と、子どもが好きなものを選べるような形にしてあげられることがいいのかなと思います。

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