小笠原 延郎 理事長の独自取材記事
中野歯科医院
(小田原市/小田原駅)
最終更新日:2021/10/12
東海道本線の小田原駅東口より徒歩2分。にぎやかな商店街の入り口に位置するビルの3階に「中野歯科医院」はある。開院は1967年。当時は歯科に対する予防という認識がほとんどなかったそうだが、同院では開院時から予防歯科に取り組んできたという。現在理事長兼院長を務めるのは小笠原延郎(おがさわら・のぶお)先生。創設者である先代院長から、2014年に同院を引き継いだ。主にインプラント治療を担当しており、その他にも歯科口腔外科、予防歯科などを専門領域とする複数の歯科医師が在籍している。「ゆっくり、優しく、丁寧に」をモットーとしている小笠原理事長に、力を入れている予防歯科や専門のインプラント治療について、詳しく話を聞いた。
(取材日2021年1月13日)
予防を中心に幅広く対応し、時間をかけてメンテナンス
長い歴史のある歯科医院だそうですね。
私が理事長兼院長として当院を継承したのは2014年ですが、開院は1967年です。先代院長である中野和幸が開院しました。当時は、もう少し駅から離れていたようですが、患者さんの利便性などを考えて駅から近い現在の場所に移転したと聞いています。小さなお子さんや若い方、ご高齢者まで幅広い年齢層の患者さんが通院されています。開院当時から通院されている方もいらっしゃいますので、長年の信頼にお応えできるように日々の診療にあたっています。
開院当時から、予防に力を入れてきたと伺っています。
当時は予防歯科という認識がほとんどなく、「虫歯を削って、かぶせ物をするのが歯科医師の仕事」という感じでした。けれども先代院長はその頃から予防歯科に取り組んできたのです。1990年代には、当時の日本ではまだほとんど知られていなかったPMTCを導入しました。現在でも口腔内の健康維持、促進のために、予防を中心に一般歯科をはじめとして幅広い治療を行っています。私はインプラント治療担当ですが、予防歯科、口腔外科など専門領域を持つ歯科医師が在籍し、チーム体制で治療をします。患者さんごとに症状もご要望も違いますので、より専門的な治療をそれぞれの歯科医師が担当するのです。もちろん、治療が終わったらそれで終了というわけではありません。再発を防ぐために、定期的なメンテナンスにも力を入れています。それも予防の一環です。お口の中の微妙な変化にすぐ気づけるよう、歯科衛生士を患者さんごとの担当制にしています。
予防のためのメンテナンスということですか?
再発防止も予防歯科の重要なポイントなので、メンテナンスにも時間をかけているのです。当院の定期メンテナンスは2回から3回で行いますが、基本的に1回45分。クリーニングだけでなく、1本1本の歯を検査しています。特に歯周病に関しては、1本の歯に対して6ヵ所を測定する「6点法」なので時間がかかるのです。さらに歯ブラシの当て方や磨き方、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方も指導します。歯と歯の間は、一番虫歯や歯周病になりやすいので、デンタルフロスは重要なのです。ですから、その重要性をお伝えして、予防を意識してもらうようにしています。
入れ歯治療の問題をインプラント治療で解決したい
先生がインプラントを専門領域にした理由を教えていただけますか。
私は大学卒業後に約5年、母校の大学病院に勤務していました。歯科補綴学にいたので、入れ歯の製作と調整をしていたんです。ところが、どんなにうまく型採りして、どんなに噛み合わせをうまく調整しても、どうしてもダメだという症例がある。入れ歯が合わなくなってまた作り直しをして、という繰り返しだったんです。そんなときに知ったのがインプラントでした。例えばマグネットのインプラントを入れて、マグネットの入れ歯をつければ動きも少ない。また顎の骨が薄くて、入れ歯がガタガタ動いてしまうような人でも、安定しやすくなる。さらにマグネットだと横に滑るので、歯ぎしりをしてもインプラントに負担がかかりにくいというメリットもある。「マグネットインプラントの入れ歯は良い治療法かもしれない」と思ったのがきっかけです。
入れ歯治療をしていたからこそわかる、インプラント治療のメリットですね。
そうですね。ただ義歯とインプラントは、専門分野として真逆に近いので悩みました。でも、「今、ここで関わらないと、ずっとインプラント治療はできないかもしれない」という思いから、大学病院を辞めたのを契機にインプラント専門の歯科医院に就職し、経験を積みました。皆さんにお伝えしたいのは、歯周病の症状を改善してからインプラント治療を行うことが大切だということです。インプラントを快適に長く使うためには、インプラント部分の歯だけではなく、お口全体のメンテナンスが欠かせません。インプラントは虫歯にはなりませんが歯周病と同じような状態にはなりますし、残った歯が虫歯や歯周病になればトラブルにつながりますから。当院ではインプラントの周りの消毒とインプラント以外の歯のメンテナンスのために、3ヵ月に1回の検診をお願いしています。また糖尿病と喫煙も影響しますので注意が必要です。
糖尿病や喫煙は、インプラント治療にどのような影響があるのですか。
糖尿病の合併症で、足を切断することがありますよね。糖尿病は悪化すると血管がボロボロになってしまって栄養が運ばれず、免疫を司る細胞も減少するので壊死してしまうからです。その状態はお口の中でも起こる可能性があります。インプラントだけではなく天然の歯の周りも同じような状況になるので、血糖値のコントロールが重要です。ですからヘモグロビンA1cが7%以下になるようにコントロールされていない方は、インプラント治療をお断りすることもあります。また、タバコを吸うと、ニコチンの作用で血管が細くなるため血液の流れが悪くなる。それもインプラント治療に大きく影響します。インプラントは歯がなくなった部分の骨に人工の歯根を埋入する治療方法で、インプラントと骨の間に十分な血液がないと固定が難しいからです。インプラント治療を希望される方が喫煙していたら、「まず禁煙をしてください」と言っています。
「ゆっくり、優しく、丁寧に」納得できる治療を提供
診療の際は、どのようなことを心がけていらっしゃるのでしょう。
研修医時代から意識しているのは、「ゆっくり、優しく、丁寧に」ということです。当院のスタッフにも、歯科医師にも、このことを心がけてもらっています。また、患者さんに納得のいく治療法をご提案するために、丁寧なカウンセリングを心がけています。「なかなか治らないので、悩んでいる」という患者さんでも、丁寧に話をお聞きし不安や疑問を取り除きながら診療を行ったことで、無事に治療ができたこともあります。非常にうれしいですし、やりがいを感じますね。
休日はどのようにお過ごしですか。
患者さんにより良い治療を提供するために、少なくとも月に1回はセミナーや勉強会に行っています。最近は新型コロナウイルスの影響でセミナーもオンラインで行われることが多いので、リモートでの参加ですけれど。それ以外は、自宅でのんびり過ごしていますね。これといった趣味はありませんが野球観戦が好きなので、時間が許せばインターネットで毎日のようにいろいろな試合を見ています。お酒を飲みながら野球を見るのが、一番楽しくリラックスできる時間ですね。
では最後に、読者へのメッセージをお願いします。
インプラント治療のメリットは、他の歯に負担をかけないことです。失った歯を再現するには、ブリッジや入れ歯などもあります。ただブリッジは両隣の歯を削らなければなりませんし、入れ歯は残っている歯に金属をかけるので汚れがつきやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。インプラント治療では、そういったことはありません。ですから抜歯になった場合、最初の1本をインプラントにすれば他の歯に対する悪影響を防ぎ、残された歯が長持ちすることにもつながります。当院では、インプラントの相談だけでも対応していますのでご相談ください。インプラントに限らず、歯科医院は「痛そう」とか「怖そう」というイメージがあって通いにくいと思いますが、私たちはそういうことがないように心がけています。何か困ったことやお悩みがあれば、いつでも気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント手術/22万円(1本)、上部構造体(かぶせ物)/18万7000円(1本)