岡崎 大武 院長の独自取材記事
岡崎医院
(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)
最終更新日:2025/07/07

1983年に開業し、静かな住宅街にたたずむ「岡崎医院」。外観を見ると、「高級料亭のよう」だと思う人がいるかもしれない。植栽に囲まれた趣のある戸建てで、エントランスを抜けて院内へと歩みを進めると、天然木を多用した開放的な空間が広がっている。「医院らしくないと言われることもありますが、父のこだわりが詰まった空間です」と話すのは2代目の岡崎大武(ひろたけ)院長。40年以上続く同院を両親から2021年に継承し、姉の眞壁怜子先生とともに診療にあたっている。「学問的な正しさを追求しその発展を進める医学と、患者さんの求めに応じる医療が同じとは限らない。患者さんの求めに応える医療としての成功をめざしていきたいです」と温かく穏やかな笑顔で語る岡崎院長に、めざす医療や患者に対する想いについて話を聞いた。
(取材日2025年2月20日)
大学病院での急性期医療の経験を地域医療に役立てる
1983年に開業された歴史のあるクリニックですね。

当院は、父・岡崎武臣と、母・岡崎貴美子が開業して40年以上がたちます。消化器科を専門とする父が内視鏡検査などを軸に診療を展開し、母が小児科を担うことで40年近く地域に貢献してまいりました。やがて両親から引き継ぎ、2021年5月から、私が院長に就任。現在は、姉の眞壁怜子医師と2人で診療にあたっています。医院を継承するまで、私は大学病院の集中治療室で10年ほど急性期治療に従事してまいりました。診療分野は、循環器が専門です。こうした経験から、父の時代とはまた少し違った点でも貢献できるのではないかと考えています。
天然木をふんだんに使った空間がすてきですね。
ありがとうございます。当初は近くにある団地内のテナントとして開業したようですが、二十数年前に現在の場所に新築移転してこの形となりました。一般的な医療機関のイメージとは異なる外観、内装はすべて父が設計したものです。天井が高く広い待合室や、車いすでも無理なく利用できる広めの通路やトイレ、エントランス、四季の移り変わりを感じさせる植栽を眺めながら過ごせる空間設計など、随所に父のこだわりが詰まっています。各所に飾られている油絵は、私の小学生時代の恩師でもある画家の先生の作品で、定期的に交換し楽しんでいただいています。医院らしくないということで、以前には私の同僚に温浴施設か何かと勘違いされたこともありますが(笑)、心からリラックスしてくつろいでいただけるのではないでしょうか。
患者さんの年齢層と、よく相談される症状について教えてください。

10代~100歳近い方まで、幅広くいらっしゃいます。10代は風邪症状、20代~30代はめまいや倦怠感、中高年は高血圧症や脂質異常症といった生活習慣病、高齢者は高血圧症や心臓疾患などが目立ちます。当院は、内科と循環器内科を取り扱っています。私と姉はともに循環器を専門としているので、すべての診療時間帯で循環器疾患に対応ができます。とはいえ住宅街にあるクリニックなので循環器だけにこだわらず、地域住民のさまざまな悩みに応えています。診療範囲外であれば、適切な病院へご紹介することも重要。最初の医療の窓口としての役割も果たしたいと考えています。
患者のニーズに寄り添い、「ともに考える」医療を提供
大学病院の集中治療室と町の開業医での診療には大きな違いがありそうですが、いかがですか?

急性期の対応が中心となる大学病院の集中治療の現場では、患者さんが重症のため意思疎通ができないことが多く、ご家族も動転して精神状態が正常でないなど、言葉を交わすことが難しいケースが多々あります。時間との闘いもあり、医師が治療法を決定して進める場合が多いのです。対して、当院のような医院では患者さんやご家族と近い距離でコミュニケーションを取り、この距離感だからこそ見えてくるニーズに応えなければいけません。大学病院との違いは、患者さんと医師が一緒に考えることです。ご相談内容も命に関わることはないものの、腰や膝の痛みなどQOLが低下して患者さんにとって重大事であることも少なくありません。加齢により完治が難しい症状でも、「一緒に対応を考えましょう」という姿勢を大切にしています。
患者さんと対話をする際に心がけていることはありますか?
患者さんが診察室へ入ってきたときの表情をよく観察して、気持ちの上で落ち込んでいるのか、痛みでつらいのかといったことをまず把握します。そして、患者さんがどうしたいか? 医療に何を求めているのか? というニーズを早めにくみ取り、その対応を考えることが大切。医学的な正解だけでなく、患者さんの本当の意思を引き出し、それに応える医療としての正解を探ることを重視しています。また、例えば心疾患と密接に関連しているのが、高血圧症や動脈硬化です。それぞれを放置してしまうことにより、どれほど恐ろしい結果になるかは嫌というほど目撃してきました。だからこそ、単に血圧を下げるだけではなく、その延長線上にある病気を防ぐという意識を患者さんと共有しながら、治療していきたいと考えています。治療の必要性について少しずつでも啓発し、それぞれの生き方や考え方に沿う、人生を支える医療を一緒に実践していきたいです。
医学的正解と医療的正解は同じではないのですね。

必ずしも同じではありません。大学病院で強く感じたことの一つが、学問的な正解を追求する医学と、患者さんの求めに応じる医療は違いがあること。例えば高血圧症で薬を飲む必要があるけれど、どうしても薬に対して抵抗感がある場合、嫌々薬を飲み続けて100歳まで生きるという選択肢もあれば、薬は飲まず80歳までの寿命を全うするという選択肢もあります。サイエンスの視点から物事を捉える医学的には前者が正解で、大学病院などの臨床現場でめざすのはそこです。しかし、医療的には後者が正解である場合もあると思うのです。もちろん、必要な医療情報を提供することは大前提ですが、その先は丁寧な対話によりニーズを引き出し、その方にとっての正解を一緒に探す、医療的な成功をめざしていきたいですね。
命に関わる循環器疾患は身近な生活習慣病の延長にある
お姉さまである眞壁怜子先生とのコンビネーションや、スタッフとの連携はいかがですか?

姉は私と同じ循環器の専門医師ですが、中でも不整脈に精通しています。私は狭心症や心筋梗塞などを得意としており、お互いの強みを生かして患者データを共有してアドバイスをし合うことができ、助かっています。相談しやすく、たいへん心強いパートナーですね。当院ではスタッフの連携もスムーズにするため、職員専用のコミュニケーションツールを導入しています。私の考え方や必要な伝達事項はそこで共有できるため、私の医療理念がスタッフにも浸透し、患者さんへ伝わるのではないでしょうか。また、年に2回は、全体ミーティングを2時間ほどかけて行っています。そこでお互いに意見交換をしながら、医療知識やホスピタリティーの向上に役立てています。
ところで院長が医師を志されたきっかけは、ご両親の影響でしょうか。
実は両親から「医師になれ」と言われたことは一度もないのです。学生時代は物理が好きで、そうした道に進むのも良いなと思っていました。しかし、いざ実際に進路を決める際になると、数字で評価されるのではなく、人として必要とされる仕事をしたいという考えに至りました。医師や弁護士、学校の先生など、どうせやるなら誰がやっても同じではなく、誰がやるかによって結果が変わってくるような仕事に就きたいと思うようになったのです。そんな中で、医師の道を選択したのは、やはり両親の影響かもしれません。両親のおかげで医師という職業の存在が最も身近にありましたから。
最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。

例えば、心臓の病気は皆さんにとって身近なものであるとはいえず、突然重篤な状態になってしまう方や、病気になって初めて状態が悪いことを知るといった方も少なくありません。漠然と不安に感じていらっしゃる方も多いでしょう。しかし、高血圧症や動脈硬化といった皆さんがよく知る病気の延長線上に、命に関わる心疾患があります。生活習慣病を適切に管理することで、恐ろしい心疾患が予防できるように心を込めてサポートさせていただきたいと思います。当院は月曜から土曜まで、午前も午後もすべて診療しており、すべての時間帯で循環器を専門とする医師がいることも特徴。皆さんの求めに応じ、役に立てる医院でありたいと考えていますので、気がかりがあればお気軽にご相談ください。