久納 玄揮 院長の独自取材記事
くのう歯科医院
(羽島郡笠松町/笠松駅)
最終更新日:2024/02/21
笠松駅から徒歩10分、江戸時代に栄えた昔ながらの町並みに、和モダンな外観がひときわ目立つ「くのう歯科医院」。院内は間接照明がやわらかな光を放ち、落ち着いた空間だ。久納玄揮(くのう・げんき)先生は、補綴治療を専門に学び、2016年に父・久納玄裕(もとひろ)先生の後を継ぎ院長に就任。院内でかぶせ物や入れ歯を作製し、その過程を見てもらおうと歯科技工士がいる技工室はガラス張りに。歯科用CTやマイクロスコープ、噛み合わせ測定器など先進の機器もそろえ、唾液検査や口臭検査に基づいた客観的なデータを患者に示し丁寧な説明を心がける。「患者さんが納得されることが最も大事。それが最終的に患者さんの利益につながります」と久納院長。クリニックの特徴や診療内容について詳しく聞いた。
(再取材日2021年4月20日/情報更新日2024年2月15日)
安心を届けるために、ガラス張りの歯科技工室を設置
木を生かしたシックな外観が、町並みに溶け込んでいますね。
当院の前の道は鮎鮨街道といって、かつて将軍に鮎鮨を献上する際に使われていたんです。ロゴマークにも、私が釣り好きということもあって魚の絵を入れました。この地域はお年寄りが多いので、バリアフリー仕様にし、できるだけリラックスしていただけるように、クリニックは和モダンなデザインとしています。中庭にあるのはユズの木で、毎年100個ほど実がなるので、冬至には患者さんに差し上げているんですよ。もともと当院は、父が斜め向かいの土地に1978年に開業したのが始まりです。
歯科技工室がガラス張りになっていますが、なぜこのような形態にしたのですか?
私の専門は、かぶせ物、入れ歯などの補綴です。かぶせ物、入れ歯、そしてインプラント治療も、口の中に人工物を入れるわけですが、それが、どこで誰が作った物か知らないという方が大多数ではないでしょうか。そこで、当院で歯科技工士が作って、その工程を患者さんに見ていただき、安心し、満足していただきたいと考えたんです。現在は東南アジアや中国で作られた物もあり、それらは医療品ではなく雑貨物として、安全性を確認する検査もなしに日本に入ってきている可能性もあります。食物については、国産の物や添加物の入っていない物を選ぶ方もいる中で、自分の口の中に入れる物についても関心を持っていただきたいと思いました。
なるほど、患者さんの安心のためにギャラリーにされているのですね。
なかなか珍しい形態だと思います。皆さん、興味深そうに見ていかれますよ。歯科技工士のほうも、見られているので身ぎれいにしますし、より良い物を作ろうとモチベーションも上がります。相乗効果がありますね。また、待合室には、硬質レジン(プラスチック)や銀歯、セラミックなどのかぶせ物や詰め物、入れ歯の見本も複数置いていますので、治療の前に実際に材料を見て参考にしていただければと思います。
歯科技工士が常駐しているメリットは大きいのですか?
はい、歯科技工士が直接患者さんとお話しし、お口の中を見ることができるので、人工歯の色味も形も細かく調整できる環境が整っています。僕自身、とても信頼している優秀な技工士で、治療の最初の段階からかぶせ物や入れ歯はどこに入れれば噛み合わせが良くなるか相談しながら作製することで、完成した技工物を患者さんのお口に入れた段階で違和感がない仕上がりをめざします。また、インプラント治療でもコンピューター上でのプランニングから歯科技工士が参加します。治療が短期間で済み、なおかつその分患者さんの費用も抑えてご提供できるのも大きなメリットです。
今までの歯科に足りなかった客観的なデータを提供
治療後の状態維持にも注力されていると聞いています。
治療直後の状態をいつまでも維持してもらいたいのが私の願いです。しかし、そのためのアドバイスはできますが、実際に頑張っていただくのは患者さんです。ただやみくもに歯磨きをしていても残念ながら維持していくことは難しい。例えば肝機能や血糖値など人間ドックの結果は、数値で示されて自分がどの状態にあるのか、食生活で何に気をつければいいのかわかりますよね。近年は歯科領域でも検査で得られた客観的な数値をお知らせできる検査を提供できるようになりつつあります。最近言われる「見える化」のような患者さんにもわかりやすい検査を定期的に実施しています。
具体的にどのような検査を実施していますか?
歯磨きがおろそかなのに虫歯になりにくい人、あるいはまったく逆の人がいるかと思います。実は、人によって口内細菌の種類や割合が違うのです。日本人は虫歯になりやすい人、歯周病になりやすい人と大きく2つに分かれます。それらを探るためにまず特殊な顕微鏡を使った口腔内細菌検査を実施します。虫歯型か歯周病型かが判明したら、さらに詳しく調べるために、唾液検査や口臭検査を実施します。例えば私も講師を務め専門書を出している唾液検査の場合、磨けているかの指標となる細菌数、虫歯になりやすさを示す緩衝能と酸性度、歯肉の炎症度合いがわかるタンパク質と白血球、口臭の原因であるアンモニアが測定できます。それらの数値は蓄積データから得られた平均値と比較でき、各項目の段階もわかりやすく表で示されます。
ほかにも客観的なデータを得られる検査がありますか?
レーザー光反射を解析して、虫歯の箇所をエックス線画像や見た目だけでなく診断する虫歯測定検査があります。削る虫歯なのか、経過観察でいけるのか、客観的な数値を患者さんにお伝えできます。経過観察ならば、歯磨きのモチベーションも上がりますし、数値を下げるという目標もできますよね。また、感覚でしか捉えられなかった噛み合わせも、初診時と治療後で噛む力の変化や、噛み癖の是正など数値化された客観データを提供できます。これら先進の機器や検査の導入で得られたわかりやすいデータで、患者さんはご理解が進み、私も適切な治療方針を立てられますし、スタッフも自信を持って歯磨き指導もできるなど、三者が同じ方向を向いて歯の健康維持に役立つものと捉えています。
噛み合わせを考えた治療を実践。予防にも注力
診療で先生が心がけていることは何ですか?
患者さんが治してほしいとおっしゃったところを治すのは当然ですが、私はその歯だけでなく、噛み合わせを考えて、反対側の歯、その上、あるいは下の歯、前後の歯、そして顎と口内全体を診ています。そこで初めて1本治すということになるのです。ほかの部位に問題があるときはそれもお話しするなど、ご自身の現状を知っていただくために説明はしっかり行うようにしています。それらを踏まえて、患者さんが納得されてから治療を進めることを心がけていますね。どの治療にも言えることですが、納得されて受けた治療なら、お口を大事にしようと思うし、メンテナンスもされるし、最終的には患者さんの利益になるので、それが一番良いと思っています。
患者さんはたくさん来られているのでしょうね。
はい、ありがたいことです。感染症拡大の昨年も患者さんは減りませんでした。お話ししたように、地域の方々を大事に説明もしっかり行っていきたいので、手広くやろうとは考えていないのですが、患者さんの紹介で、他県から来られる方もいらっしゃいます。スポーツをされている人が食いしばりの相談で来られることもありますね。ちなみに当院では、地域貢献として地元高校ボクシング部選手のマウスガードも製作しているんですよ。このほか、私は近隣の保育園の嘱託歯科医師でもあるので、平日の夕方や週末はお子さんが多くて大変なことになっていますが、スタッフの保育士が対応してくれています。
今後の展望についてお聞かせください。
当院の最終目標は、患者さんに健康な歯で豊かな生活を送っていただくこと。そのためには私もスタッフも皆、勉強を続け、その方に最良の治療を提供していきたいです。専門の補綴もですが、予防歯科にもより力を入れたいと考えています。特にお子さんは2歳半ぐらいまでの予防が大事であることから、妊婦さんや、奥さんが妊娠されている男性、お孫さんが生まれる方々にもその重要性をお話ししています。予防やメンテナンスは歯科衛生士が担当しており、信頼して任せていますので、おしゃべりがてら気楽に来ていただければと思います。入れ歯やかぶせ物は、人工物なのでメンテナンスをしないと長くは持ちません。大事なのは治療したその後。長く良い状態を保たせるにはメンテナンスが必要です。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万円~、矯正歯科(部分矯正)/20万~40万円、セラミックのかぶせ物(1歯)/9万~12万円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。