全国のドクター9,186人の想いを取材
クリニック・病院 158,624件の情報を掲載(2024年4月26日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 名古屋市中区
  4. 伏見駅
  5. 会議所歯科診療所
  6. 加藤 恭之 院長

加藤 恭之 院長の独自取材記事

会議所歯科診療所

(名古屋市中区/伏見駅)

最終更新日:2024/04/08

加藤恭之院長 会議所歯科診療所 main

「会議所歯科診療所」は、白川公園沿いに立つ商工会議所ビル6階にある。オフィスビルが立ち並ぶこのエリアで、ビルができた50年前から親子2代にわたってビル内外の働く人々の歯を守ってきた歴史ある歯科医院だ。診察室は窓が大きくとられ、外の景色がよく見える。「先代の頃から、歯を削らない、抜かない、患者さんとよく話し合うという基本理念は変わっていません」と話す院長の加藤恭之先生は、予防歯科に重点を置き、歯からシニアの健康寿命を延ばしたいと考えている。通っているヨガ教室では仙人と呼ばれて親しまれているそうで、ヨガ初心者であってもどこか達人のような風情を醸しているのだろう。そんな人柄にも触れながら、信念である予防歯科や中高年の矯正について詳しく聞いた。

(取材日2017年6月2日)

親子2代、予防に重点を置いた診療方針は今も変わらず

今年で開院50年目だそうですね。まずは、診療所の歴史を教えてください。

加藤恭之院長 会議所歯科診療所1

1967年に名古屋商工会議所のビルが完成したときに、私の父が開院しました。私は、大学病院歯科口腔外科に入局後、大学院での研究生活を続けながら、30歳頃から父のもとで働くようになりました。2012年に私が引き継ぎ、院長となるまでの長い間、父のもとで患者さんへの対応を学び、診療方針について意見を交わすことができました。父はこのビル内の会社の検診も一手に引き受けていて、予防の重要性は常に感じていたようでした。父と私の共通の思いは、歯を削る、抜くということだけが歯医者の仕事ではなく、歯を守るのが一番の仕事だということ。父の代から基本理念として持ち続けていることです。

予防歯科に重点を置くようになったきっかけはありますか?

20年以上前に山形県酒田市の日吉歯科診療所で熊谷先生のセミナーを受けたことがきっかけでした。熊谷先生は日本で早くから歯科医院での定期的なメンテナンスを勧めた歯科医師。昔は、検診で虫歯が見つかったら歯科医院に行って歯を削らなくてはいけないというのが一連の流れだったので、「こういう歯科医療があるんだ」と驚き、その考え方に共感しました。今でこそ、予防歯科は一般的に知られるようになりましたが、昭和の時代は予防と言えば検診がせいぜいで、まだ個人で虫歯を予防するという発想はありませんでした。また、諸外国に住む私の知人などから予防についての先進的な話を度々聞いていたことも、メンテナンスに興味を持つきっかけとなりましたね。

先生が興味を持った諸外国での歯の予防というのは、どんな内容ですか?

加藤恭之院長 会議所歯科診療所2

30年ぐらい前に日系ブラジル人からこんな訴えがありました。歯石を取ってほしいと思って日本の歯医者に行ったら、どこも悪くないと言って帰されたそうです。「日本では歯のメンテナンスをしてもらえない」と嘆いていたのを聞いて、これではいけないと思いました。さらに、北欧で生まれ育った友人の話も興味深かったですね。例えば、フィンランドのある学校では、口腔テストでその人の虫歯リスクを測り、その一人ひとりのリスクに応じた量のキシリトールガムを食後に配っているそうです。日本の学校で、もしそういった予防をすると考えると、不公平感を与えないよう平均をとって一律にし、「一回何グラムの量を生徒に与えているから安心ですよ」というようになるんじゃないでしょうか。文化的な違いもあり、北欧と同じシステムを日本の学校でするのは難しいと思うので、やはり個人のメンテナンスは歯科医院が請け負うべきだと感じましたね。

歯の予防で患者の健康寿命を延ばしていきたい

オフィス街に立つオフィスビル内の診療所ですが、患者さんも会社員の方が多いのですか?

加藤恭之院長 会議所歯科診療所3

そうですね、患者さんのほとんどが中高年男性です。ですから、先ほどの予防の話ですと、子どもの永久歯を守るというよりは、歯周病予防に力を入れています。歯周病検査をしてその人に合った予防をしていますが、これは、今はどこの歯科医院でもやっていることだと思います。ただ、私が意識したいのは、一人ひとり生活習慣や社会的な立場も違うので、それぞれの患者さんに対応した治療です。例えば、定年退職された後も東海三県から当院に通ってくださる患者さんが多いのですが、そんな方々には、「少しこまめに通ってくださいね」とお伝えします。それは、医療上のエビデンス(科学的根拠)というよりは、月に一回、名古屋へ足を運んでもらうことがその年齢の方の健康につながるという私の思いです。もちろん、メンテナンスをして歯の健康を保つことで体の健康を維持していただきたいということもあります。

ベースにあるのは、歯を予防し、そして健康につなげるということなんですね。

そうですね。開院以来、ずっと通い続けてくださる患者さんには、気心が知れているというのもあるのですが、「生きている間は元気に何でも噛めて、何でもしゃべれるように、奥さんと口げんかで負けないようにしてくださいよ(笑)」と言うんです。平均寿命が延びた今、歯の健康寿命を延ばすことが歯科医師の仕事だと思います。80歳になっても自分の歯を20本保とうという厚生労働省の呼びかけ「8020運動」は、まさしく私の思いと同じです。 

先生ご自身は、健康のために何かしていることはありますか?

加藤恭之院長 会議所歯科診療所4

私は子どもの頃から本が大好きで、どちらかというとインドア派なのですが、健康のためにやっていることとすれば、散歩やヨガです。ヨガ教室では、男性が私一人で、仲間内の女性の方々から「仙人」というあだ名で呼ばれていまして、自分ではどうしてそう言われたのかよくわかりませんが、そのことを知人に話したら、ピッタリだと言われてしまいました(笑)。私はいたってまじめに取り組んでいたんですが、女性の中でただ一人、平然と集中してやっていたので、そんな雰囲気からあだ名をつけられたのかもしれませんね。

予防の延長線上にある矯正治療。シニアにこそ勧めたい

先生が院長となられてから力を入れているのはどんなことですか?

加藤恭之院長 会議所歯科診療所5

予防を突き詰めていくと、矯正も大事だということに行きつきました。歯並びがきれいであればメンテナンスもしやすいんですね。そう思ったきっかけは、ある本で読んだ障害児を持つお母さんの話でした。「この子は歯並びが悪くて、今は私が毎日、仕上げ磨きをしています。でも、いずれ私がいなくなってこの子が障害児から障害者になったときのために、今のうちに自分できれいに歯を磨けるようにしておきたいんです」と言われたそうです。この言葉を聞いたときに、矯正の本当の意義を見つけたような気がしました。見た目だけでなく、一生、自分の歯で食べるための矯正。そして、それは予防歯科の延長にあるものなんですね。当院では、最高齢67歳の方を筆頭にたくさんのシニアの方が予防のための矯正を受けられています。

シニアの患者さんも多いということですが、何か違いはありますか?

当院では、矯正に透明なマウスピース型の装置も取り入れているのですが、これがシニアに適しているというのを使ってみて実感しました。通常のワイヤーの装置は歯磨きがしづらいので、シニアの方は磨き残しが多いと歯周病のリスクになります。マウスピース型なら歯磨きの際に取り外しできるので、歯周病予防の観点からもお勧めです。私は、口腔外科を専門としていましたが、できるだけ自分の歯を残してほしいという気持ちもあってインプラント手術はしていません。ご希望の方には、専門の歯科医師を紹介しています。今は、インプラントでなくても技術の進んだ義歯もたくさんありますし、手術をしたくないという方には、いろいろな選択肢を用意しています。患者さんの中には、グラグラの歯を大切にメンテナンスして維持している方もいらっしゃいますよ。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

加藤恭之院長 会議所歯科診療所6

今後も中高年の方の歯周病予防や矯正を広げていきたいですね。シニアの方の中には、「自分は年だからもういいよ」と言われる方もいらっしゃるのですが、「生きているうちはおいしいものを食べて、健康寿命を延ばしましょうよ」と励ましています。当院で、70歳のおじいちゃんがホワイトニングを希望されたのですが、どうしてしようと思い立ったのかを尋ねると、「自分は体があちこち悪いけど歯だけは自信がある。だからその部分を大切にしたい」と言われたのです。その方は8020運動で表彰されて、とても元気です。中高年やシニアの方には、この患者さんのように年齢を気にせずもっと健康で幸せになるための欲を持ってほしいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

ワイヤー矯正/44万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/44万円~、ホワイトニング/2万円

Access