藤田 和伸 院長の独自取材記事
アベ歯科クリニック
(名古屋市名東区/一社駅)
最終更新日:2024/08/30

一社駅すぐ目の前。チェア数10台、スタッフ30人以上が在籍する「アベ歯科クリニック」は、25年以上にわたり子どもから高齢者まで、地域の歯の健康をサポートする大規模歯科クリニックだ。コンセプトは「歯を削らずに、失わないように」。診療範囲は、一般歯科や小児歯科、審美歯科など幅広く、中でも2016年より院長を務める藤田和伸先生がこだわるのは予防歯科について。「生涯健康に暮らしていくためには、予防歯科の適切な知識が必要」と語り、明るくフランクな人柄の中に患者を思う熱意を感じ得ずにはいられない。また、プライベートでは2児の父としての顔を持ち、わが子の成長を笑顔で語る姿も印象的だ。「大人も子どもも歯科嫌いをなくしたい」と話す藤田院長に、同院の特徴や今後の展望など話を聞いた。
(取材日2024年8月1日)
メンテナンスを含めて「治療」と呼ぶ。そして予防へと
こちらのクリニックの特徴を教えてください。

できるだけ「歯を削らずに、失わないように」をコンセプトとしています。例えば、極力歯を削らないようにするために、虫歯治療は歯科用プラスチックのCRという素材をメインに使っています。即日治療が可能で1回の治療で終わることも望め、患者さんの負担が少なく済むからです。一昔前まで歯科業界では「5回虫歯を治療すると歯を抜くことになる」とよくいわれていました。このような負のサイクルを防ぎ、良いサイクルに導いてあげることを治療の基本としています。また2023年からは口腔トラブルに関係が深い7つの項目を5分で測定できる唾液検査を導入するなど、治療前には患者さんに治療内容についてしっかり説明するように努めています。なぜ治療しなければいけないのか、治療によってどのようなメリットが期待できるのか、それがどのような結果につながっていくかをお話しして、納得感を持ってもらった上で治療を進めるようにしています。
特に注力してお話しされていることはありますか?
そうですね、メンテナンスの重要性ではないでしょうか。お口のトラブルには治療が必要ですが「治療」は削ったりかぶせたりして終了するものではありません。削ったりかぶせたりするのは「修理」のようなもので、その修理の後の長期的なメンテナンスを含めたものが「治療」なんです。髪の毛や爪は切っても生えますし、傷も回復が望めますが、歯は一度失ったら、決して元には戻りません。そして、かぶせ物などの人工物も一生壊れないものはありません。「せっかく治療したのなら、メンテナンスをして大事にしましょう」とお伝えしています。生涯健康に暮らしていくためには、予防歯科についての適切な知識が必要ですからね。
予防歯科へのこだわりが強いのですね。

歯科医師になった当初、勤めていたクリニックでは噛み合わせやかぶせ物に力を入れていました。私も勉強させていただき、今も得意とする分野ですが、そもそも歯が悪くなる前の段階、つまり子どもの歯科医療を知りたいと思い、小児歯科を専門とするクリニックでも経験を積ませていただきました。しかし、当時の小児歯科は主に虫歯治療がメインで、治療後はフッ素でコーティングして終わり。当時の状況に疑問を感じ、予防歯科の重要性を再認識しました。子どもの患者さんはもちろん、予防の概念が日本の歯科医療に不足していた頃に子ども時代を過ごした大人にも、啓発活動をしっかりとしていきたいと思っています。
大人も子どもも「歯科嫌いをなくしたい」
ご注力されている治療はありますか?

「歯科嫌い」の方を少なくしたいと思っていますので、まずは小児歯科ですね。大人になって虫歯や歯周病などお口のトラブルを抱えていると、心疾患や生活習慣病など全身の健康にも悪影響があります。子どもの頃に「クリニックは怖い」と抱いてしまうと、その後の人生に影響が出ますので、当院では0~7歳までを対象に楽しみながら虫歯を予防し、知識をつける「歯ピカクラブ」というものを設置しています。「上手に歯磨きできた」など、課題をクリアしたらスタンプを押していきます。子どもさん本人のやる気や頑張る気持ちを掘り起こしたいという意図があり「クリニックは楽しいところ」というイメージを持ってくれるようになるのが理想ですね。また、MFT(口腔筋機能療法)にも力を入れています。舌の位置が適切でなかったり、鼻で呼吸ができていなかったりすると、将来の歯並びや噛み合わせにも影響するので、積極的に取り入れています。
では、すでに「歯科嫌い」になっている大人には、どのようなアプローチをされているのでしょうか?
痛みには精神面も大きく関わりますので、コミュニケーションに重点を置いています。当院では、「怖い」と訴える方に、いきなり治療に入ることはありません。その方の背景には、「怖かった」「つらかった」といった幼児期や児童期など過去の歯科での経験が原因になっているケースがほとんどです。まずはそこをしっかりとヒアリングし、その上で治療方法を提案しています。当院では、リラックスした状態になり痛みを感じにくくするための笑気麻酔の導入や、設備を整え歯科独特の音や振動を少なくするなどの工夫をしています。それらと治療内容を事前にお伝えすることで「何をされるのかわからないことからの恐怖」という精神的な負担を減らし、安心感を与えることができるように努めています。
歯科医師として喜びを感じる時はいつでしょうか。

「歯科嫌い」を減らしたいという思いで日々診療していますので、来院時に不安そうな顔をしていた患者さんが、笑顔で帰っていく姿を見られるとうれしいですね。「頑張った!」という気持ちを患者さんと共有できることが喜びですし、「今度も来るね」と言われたら歯科医師冥利に尽きます。当院の壁に飾っているアイロンビーズの作品は小学校の頃から10年以上通ってくれている患者さんが作ってくれたものです。この先もこのような関係性を患者さんと築いていきたいですね。
口元から全身の健康へ。生涯の健康増進を後押ししたい
日々の診療で大切にされていることは何でしょう。

そうですね、やはりコミュニケーションではないでしょうか。痛みへの配慮も含め、患者さんの求める治療を提供したいと思っています。そのためにも、患者さんのニーズを把握することが重要です。当院では、お一人30分は時間を取ってお話をして、その間は他の患者さんとのかけ持ちはしません。そして「なんとなく良さそうだから」といったフィーリングではなく、エビデンスやデータに基づいた治療にもこだわっています。自分が患者さんだったら受けたい治療を常に心がけています。
今後の展望をお聞かせください。
全身の姿勢から口腔機能に対応するためのアプローチを今後取り入れたいと思っています。小児に行っているMFT(口腔筋機能療法)では、口周りの筋肉だけではなく、猫背や反り腰、ストレートネックなど全身の姿勢も含めて評価しています。全身の姿勢は歯並びや噛み合わせと密接な関係があることがわかっているからです。そして、それは子どもに限ったことではありません。30代や40代くらいの大人も、全身の姿勢の崩れと口腔機能の関係性が懸念されています。そのような部分も口腔内を診察しながら、一緒に話をしていければと考えています。また、先日も講師をお招きして、院内で姿勢口腔教育セミナーを開催しスタッフ全員で受講しました。「全身の姿勢と咬合」をスタッフ全員の共通言語とし、お口の健康だけではなく全身の健康までを視野に入れた治療を提供できるクリニックへと、さらに成長していければと考えています。
最後に、読者や地域の方に向けてメッセージをお願いします。

当院は「楽しく来院できるクリニック」をめざしています。やはり日々の積み重ねがすべてにつながってくると思うので、お子さんからご高齢の方まで安心して通っていただけるよう、治療前のカウンセリングやリラックスできる空間など、工夫を凝らした診療を提供しています。歯科で嫌な思いをしたというお子さんや、歯科恐怖症などによって怖くて治療できないという成人患者さんも大勢診てきましたので、気軽にご相談ください。当院には親子2代にわたってなどご家族ぐるみで来院いただいたり、開院当初から通われたりしている方もいらっしゃいます。今は健康な方も10年後には加齢とともに何かしらのトラブルが発生するかもしれません。それぞれのライフステージに合わせ、私がこれまで得た知識やこれから学び続けることを患者さんに還元し、少しでも地域の皆さんの健康増進のお役に立てればうれしく思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはオフィスホワイトニング/3万800円~、ホームホワイトニング/2万4200円、マウスガード作製/8000円程度、かぶせ物/4万4000円〜11万円(※素材により金額が異なります。)、唾液検査/初診料 500円(カウンセリング時に希望された場合)、通常 1000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。