赤崎 絢 院長の独自取材記事
医療法人 歯科ハミール本院
(半田市/住吉町駅)
最終更新日:2025/10/15
1991年の開業以来、一般歯科、障害者歯科、訪問診療に取り組んできた「医療法人 歯科ハミール本院」。診療科目においても歯科、矯正歯科、小児歯科、口腔外科といった幅広いニーズに対応している。子連れ患者にも配慮し、院内に保育士常駐の託児室を設置するなど、細かな心配りが温かい。2024年8月に院長職を継承したのは、優しい笑顔が印象的な赤崎絢先生。「大先生」と慕う同院創業者・赤崎知彦先生とは義理の父娘にあたる関係だ。赤崎知彦先生の息子で、絢院長の夫でもある前院長の赤崎雄飛先生も、他所で歯科医院を開業しているが、患者とスタッフへの愛着から、同院を離れないと決めたという。雄飛前院長から受け継いだクリニックをさらに発展させるべく、常に努力を続ける絢院長に、診療への思いを語ってもらった。
(取材日2025年9月17日)
院長職を継承して1年、さらなる発展へ
どういった経緯で院長職を継承されたのでしょうか?

母校は愛知学院大学ですが、出身は大阪です。歯学部を卒業後は、市立東大阪医療センターと東大阪の歯科クリニックでそれぞれ2年間勤務し、6年前に当院へ移りました。知彦先生は夫の父にあたり、夫は別で歯科医院を開業しています。夫のクリニックを手伝う、という選択肢もありましたが、私はここのスタッフや患者さんにとても愛着があったので、「私はここを離れたくない」と思い、残ることを決めました。実は少し前まで産休で診療をお休みしていたのですが、産休明けの時、患者さんから「お帰りなさい」と温かく迎えてもらうことが何度かあって、とても幸せな気持ちになりました。患者さんにとっても当院が「第2のわが家」のような安心できる場所になれば良いな、と思っています。
歯科医師をめざしたきっかけについて教えてください。
実の父も歯科医院を開業していますが、当院とは違って父ひとりで診療を行う小規模なクリニックです。歯科医院は自宅に併設する立地でしたので、父の仕事ぶりを近くで見て育ちました。患者さんとの距離も近く、治療法について熱く議論しながら進めていくスタイル。何十年と通い続けてくださる患者さんも多く、地域の方に信頼されてきたのでしょうね。尊敬する父と同じ道に進みたいと思ったことが、歯科医師をめざしたきっかけです。一方、知彦先生も長いお付き合いの患者さんが多く、本当に優しくて、気遣いから話し方まで一人ひとりに寄り添うことを体現しています。治療法を限定することなく、幅広く患者さんに提示してご本人に委ねる姿勢も含め、まさにプロフェッショナルの域だと感じています。
クリニックの特徴についてお聞かせください。

一番の特徴は、患者さんの層が幅広いことです。知彦先生の代から、障害者に対する歯科医療に取り組んできました。割合としては、全体の10%を障害者の方が占めており、ニーズの高さを感じています。残りの90%は小さなお子さんから高齢者まで、年齢層はさまざま。半田市内だけでなく、名古屋や岐阜といった遠方から来院される方もいらっしゃいます。訪問歯科も行っており、エックス線検査を含め、歯を削ったり型を採ったりなど、院内と遜色ない治療がご自宅でできるよう努めています。治療の場合は歯科医師とスタッフの2人で訪問し、歯磨き指導やケアのお手伝いの場合は歯科衛生士単独で伺います。半田市全域、および周辺を該当地域としており、専用の車で訪問します。訪問歯科を担当している歯科医師は、患者さんのお話を聞くのが上手な、優しい先生です。
専門性の高い歯周病治療、歯列矯正を提供
絢先生が院長に就任されてから、診療面で変化はありましたか?

歯周病治療と歯列矯正の分野で、より専門性の高い診療を提供できるようになりました。歯周病の症状は、細菌数を減らしていくためにお口のクリーニングに力を入れるのが一般的ですが、当院では歯周組織再生療法にも対応しています。歯を支えている歯茎には骨があり、その骨に炎症が起こっているのが歯周病です。歯周病で減ってしまった骨は簡単には増えないので、進行した症例ではこの再生療法が有用です。歯周病は自覚症状に乏しいですので、病状が進んでいる方には、早めに治療の提案をすることを重視しています。歯列矯正は、ワイヤー矯正とマウスピース型装置を用いた矯正、どちらにも取り組んでいます。例えば、マウスピース型装置を用いた上で、歯茎にネジを打つ必要があるような難しい症例にも対応可能です。歯列矯正は私も担当していますが、非常勤で専門の医師も在籍しています。
専門性の高い診療には、スタッフの体制も重要ですね。
常勤の歯科医師が研修医合わせて7人、他に歯科衛生士、保育士と受付事務スタッフが在籍しています。私より若手の歯科医師もいますが、皆きちんと患者さんのお声に耳を傾け、難しい治療にはチームで取り組めるようしっかり相談もしてくれて、頼もしく感じています。歯科衛生士は患者さんの治療に対するモチベーションを上げることに熱心で、お一人お一人と真剣に向き合ってくれていますね。患者さんのお口の中を見て、「当院にある器具の中でどれを使おうか?」ではなく、「この患者さんには、この器具が良いと思うから、新しく購入しても良いですか?」と私に直接提案してくれることがよくあるんですね。患者さんの中には、「歯科医師には難しいけれど、歯科衛生士さんなら話せる」という方もいらっしゃいます。患者さんへのヒアリングも主体的に行ってくれて、心強いですね。
保育ルームがあるのですね。

2階には託児専用の部屋があり、保育士が2人常勤しています。対象は小学校入学前のお子さんです。診療スペースがある1階とはフロアも別で個室ですので、物音や泣き声が聞こえることもほとんどなく、お子さんを預けた患者さんにも治療に専念していただける環境です。スタッフのお子さんも預かっていますし、実は私の子どもも4歳、3歳、0歳とまだ小さいので、診療中は3人全員、保育ルームにいます。女性の院長として、スタッフが働きやすい環境を整備することの重要性を身を持って感じています。
患者の様子をしっかり観察し、臨機応変に対応する
診療で心がけていることはありますか?

痛みを伴う治療には麻酔を用いますので、患者さんが痛みを感じるのは、ほとんど麻酔を注入する時かと思います。表面麻酔の後に痛みを感じにくいよう、適切な時間配分で薬を注入することを意識しています。接遇面では、治療のメリット・デメリットを必ず最初にお伝えすることと、話しやすい環境づくりを重視しています。診察室に入って来られる様子を見て、話されることに耳を傾けるべきか、私からお話をしたほうが良いのか、という距離感を測るようにしています。あまりお話しされない方に対しては、あえて後ろや横からお声かけし、紙に文字や絵を書き、後で説明を見返してもらえるようにお渡ししています。治療中も、できるだけ横になっていたいのか、頻繁にうがいをしたいのかもその方によって異なります。適切な距離感と要望を感じ取ることで、リラックスして治療を受けていただけるよう配慮しています。
勤務医時代のご経験についてもお聞かせください。
市立東大阪医療センターでは口腔外科に在籍し、さまざまな症例を担当しました。顔面骨折であったり、重症の口腔がんの治療も行いましたし、救急医療も担うことができ、かなり鍛えられましたね。現在クリニックで行っている、歯周病の治療や手術、親知らずの抜歯、インプラント治療は、この頃の経験が礎になっています。口腔がんの早期発見ができているのも、市立東大阪医療センターでの経験によるところが大きいと思います。その後、一般歯科治療の精度をより高めたい、と考え門をたたいたヨリタ歯科クリニックは、一日に多くの患者さんがいらっしゃる大型の歯科医院です。そちらでは、私にとって後にメンターとなる、尊敬できる先輩方との出会いがありました。高い専門性を持っていらっしゃるだけでなく、とても勉強熱心な先生方なんです。今でも先輩方が出席される勉強会に私も同席させてもらったりして、お付き合いが続いています。
最後に、今後の展望をお願いします。

患者さんにとって満足度の高いクリニックをめざしています。治療が終われば行かなくなってしまうのではなく、たとえ痛みがなくても「ここなら安心できる」「スタッフに会いに行きたい」と思っていただけるような場所でありたいですね。先代院長が今までつくり上げてきたものを大切にしながら、さらに治療の内容を充足して、スタッフ皆で成長し続ける歯科医院でありたい、と思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/44万円~、ワイヤー矯正/77万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/27万5000円~

