榊原 淳平 院長の独自取材記事
榊原歯科
(豊田市/新豊田駅)
最終更新日:2024/08/09

愛知環状鉄道線・新豊田駅から車で5分、住宅街の中にある「榊原歯科」。1978年に開業の歴史あるクリニックで、2018年からは2代目の榊原淳平院長が診療を行っている。待合室に飾られた、砂漠と朝日をモチーフにした大きな壁画には、朝日町をはじめ地域の患者の役に立ちたいという願いが込められているそうだ。取材中もユーモアを交えて楽しく話を進める榊原院長。その明るい雰囲気で、緊張している患者もリラックスできるのではないだろうか。患者のニーズに応えるべく機器の導入も柔軟に行い、CO2レーザーを使用した外科手術にも対応。大学病院の口腔外科で研鑽を積み、現在は一般歯科治療やインプラント治療、難抜歯、入れ歯や小児矯正など幅広く対応している。歯科の現状や今後めざすところを聞いた。
(取材日2018年1月31日/情報更新日2024年7月10日)
半世紀近く、地域の歯科診療に取り組む
現在に至るまでの経緯をお聞かせください。

当院は1978年に父が開業しました。私がこの仕事に就いたのは、父が歯科医師だったので自然の流れでした。父は当時から私が通っていた学校の学校歯科医をしており、子どもながらに歯科医師として地域の人たちの役に立っている姿にただ漠然と「いいなあ」と思っていました。今振り返ると、これがずっと脳裏に残っていたんでしょうね。私も続き地域の人たちに歯科で役に立ちたいと思い歯科医師の道に進もうと決めました。私は、初めは大学病院に勤めながら当院の診察に携わっていましたが、2010年頃から常勤になり、2018年に院長に就任しました。
開業された頃と現在では患者層や主訴に変化がありますか?
父が開業した頃は今ほどの規模の住宅街ではなく、歯科医院も少なかったと聞いています。ですから遠くからも患者さんが来院していたようです。当時は子どもの虫歯がとても多く、学校が長期の休みになると、子どもたちがたくさん来て、待合室がにぎわっていたようですね。現在は、子どもから高齢者まで幅広い年齢の患者さんがいらしています。毎日診察していて感じるのは、患者さんの期待が以前よりも高度になってきたということ。痛い歯を治療すれば良いというのではなく、口の中全体を診てほしいとか、見た目も含めてより良いものを望まれるようになりました。そうした要望に十分に応えようとすると、材料や治療法によっては自由診療になってしまうことがあります。保険診療内で十分カバーできないときが悩みどころです。
初診の患者さんの治療の進め方を教えてください。

初診でいらした患者さんの場合、初めに口腔内の写真を撮ります。最低でも3枚は撮るようにしています。それをプリントアウトし、今の状態や治療の進め方などをそのプリントに書き込んで、患者さんにわかりやすく説明しています。口頭で説明しただけでは、家に帰った頃には忘れてしまっている患者さんもいらっしゃるかもしれません。一人で来院されたお子さんや、高齢の患者さんが家に帰って家族に説明したりするときも、プリントがあったほうがわかりやすいと思います。何より、患者さんと歯科医師が情報を共有することができることがメリットです。プリントにした資料は保管していますので、何年かたった後、自分の歯がどう変わっているのかもわかります。まさに百聞は一見に如かずですね。
町の歯科医師として、地域のニーズに応えたい
治療で心がけていることは何ですか?

歯科治療では、かぶせ物や詰め物の前処置が重要だと信じています。前処置がしっかりできていない場合は何年かたつと調子が悪くなるかもしれません。患者さんから評価が得られにくいところですが、歯の神経を抜くなどの前処置において、日本の歯科医師の献身的治療の質はとても高いと思いますよ。保険診療とか自由診療とか関係なく、自分が治療した患者さんの歯は、できれば10年以上の年月を良い状態で保ち続けてほしいと願い治療にあたっています。かぶせ物や詰め物の下は見えないので患者さんには伝わりにくいですが、その部分に誠実に取り組むことが歯科医師としての使命と自らを戒めております。
力を入れている分野について伺います。
一つの分野に力を入れるというより、一般的な保険歯科から保険外のCR充填、矯正、インプラント治療などまで、総合的な歯科治療をめざしています。当院を選んでくださった方に「あれもこれも私はやってません」ばかりでは寂しいので、常に「要望に対しての準備」を心がけています。例えば、以前は専門の先生に来てもらって提供していた矯正を、今はすべて自分で行っているのもその一環です。患者さんの要望に応えるためには、私自身が勉強して治療の責任を全うする必要があると思ったんです。しかし、「町の開業医」であることは常に念頭に置いています。高度な医療が必要な時は専門の病院を積極的に紹介します。やる、やらない、できる、できないの見極めも開業医には大切だと考えています。
診療を支えるスタッフの方々についても教えてください。

現在は、歯科医師の私と歯科衛生士が2人、歯科助手が1人、受付に1人、それから常勤の歯科技工士がいます。歯科技工士が院内にいてくれるので密な関係が築け、助かっています。院外に発注する場合、どうしても時間がかかりますし、細かいところまで伝わりづらいことがあります。高齢者の方で義歯が突然割れてしまったときも、当院では当日中に修理することができますので、常勤の歯科技工士の存在は、患者さんにとってもメリットが大きいです。歯科衛生士は常に研鑽しています。例えば個人個人で要望の異なるホワイトニングにおいても、患者さんの期待に応えるように努力を惜しまないのでありがたいです。
子どもの将来的な健康のために、今できることを
小児の口腔機能発達不全症に着目されているそうですが、これはどういったものですか?

食べる、話すなど、お口が本来持つ機能が十分に発達していない状態をいい、「口腔機能発達不全症」という疾患名がついています。クチャクチャ音を立てて食べる、よく食べこぼす、いつまでたっても飲み込めない、舌足らずなしゃべり方、口が半開きになっている、などの癖や習慣があれば、お口の機能発達に問題があるかもしれません。特に、お口がいつも半開きになってしまっている場合、これは口唇閉鎖力といって唇の力が大きく影響しているのですが、口呼吸をしている可能性が高いです。口呼吸が習慣化すると口内が乾燥して唾液が回りにくくなり、歯周病原菌の繁殖につながることが指摘されていますし、舌、唇、頬などの筋肉のバランスが悪かったり、発達が不全だったりすると、歯並びにも悪影響を及ぼします。口腔筋の健全な発達は、お子さんのお口の健康、体の健康の維持にも大きくつながるということをぜひ知っていただきたいですね。
小児における咬合育成とはなんでしょうか?
正しい舌や口元の動かし方を身につけるため、口腔筋のトレーニングを行います。特に口の閉じ方や舌のポジショニングが良くないと思われるお子さんに有用なのが「あいうべ体操」です。特別な用具も使わないので取り組みやすいと思います。こうしたトレーニングと併用してマウスピース型の補助器具を用いた咬合育成もお勧めです。咬合育成とはワイヤー装置を使った本格的な矯正を行う前の取り組みと捉えていただけると良いでしょう。小児期の口腔内環境を整えることを図り、健康的な歯並びや噛み合わせ、口腔機能を得るための基礎をつくります。最近は、お子さんの将来の健康を見据え、希望されるお母さん方が増えていますね。装置は着脱自在で、最初は学校から帰ってきてすぐに1〜2時間装着から始めます。あと夜は装置をつけたまま寝てもらいます。お子さんが小さいうちは決められた装着時間を守れないこともあるので、親御さんの協力とサポートが必要です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯科医院は歯の病気を治療する場であるのはもちろんですが、同時に、将来的な体の健康や、健全な爽やかな見た目の美しさも追求するところでもあると思います。だからこそ、お子さんの矯正やホワイトニングなどに興味を持たれる患者さんが増えているのでしょう。歯科医療は患者さんが思っている以上に幅広く貢献できます。当院は患者さんとのコミュニケーションを大切にしています。歯が痛い時はもちろん、お子さんの歯並びが気になる、歯の着色汚れに悩んでいるなどなんでもご相談ください。「爽やかな人生を送るためには爽やかな口元から!」を一緒に実現しましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは・インプラント治療/38万5000円 ~(症例により異なる)
・オフィスホワイトニング/ 2万7500円 ~(2回1セット)
・矯正治療/基本料金66万円~ その他診察料あり
・CR充填1箇所/3万3000円〜
・咬合誘導装置1個/3万3000円~