瀧端 正博 先生の独自取材記事
坂本内科胃腸科クリニック
(横浜市緑区/中山駅)
最終更新日:2025/05/15

JR横浜線とグリーンラインが乗り入れる中山駅。その北口に立つビルの4階に「坂本内科胃腸科クリニック」はある。ここは、1996年の開業以来、地域の信頼を集めてきたクリニックだ。そんな歴史あるクリニックが、2025年春に運営体制を一新。さらに利用しやすい場所へと生まれ変わった。新たに理事として運営に携わるのは、別の医療法人で4つのクリニックを運営する瀧端正博先生。これまでに培ったノウハウを生かしながら、自身が専門とする生活習慣病や甲状腺疾患への診療を軸に、地域医療への貢献をめざしている。「生活習慣病や慢性腎臓病、肥満症への専門性と、検査に基づく適切な診断・治療が強みです。健康診断で異常を指摘された方などは、ぜひ気軽にご相談いただきたいですね」と話す瀧端先生に、同院の診療方針について話を聞いた。
(取材日2025年4月22日)
専門性を持つ医療チームの新体制で週7日の総合診療を
こちらは、地域に根差した、歴史あるクリニックだそうですね。

ええ。消化器内科をご専門とされる坂本芳大先生が長く地域医療に貢献されてきたクリニックです。かねてより引退を検討されてきた坂本先生からご相談をいただき、2025年4月より私が運営を担うことになりました。新体制では、若い4人のドクターによる医療チームが、週7日、土日も含めて診療しています。これからも坂本先生が週に1度内視鏡検査を実施してくださいますので、長年通われてきた方にもご安心いただけると思います。
複数の先生が診療を担われるのですね。
総合診療を基本としながら、糖尿病内科、内分泌代謝内科、腎臓内科、呼吸器内科などの専門的な診療を展開しています。専門外のことであっても医師同士が互いに相談し合える体制を敷くことで、幅広い疾患・症状に対応できるのが強みです。また、当院には救急医療を専門とする医師も在勤しているため、急性期の症状にもしっかりと対応できます。こうした体制は、私が別法人で運営に携わっているクリニックの診療ノウハウを生かしたものです。なお、これまで消化器に限られていた専門性が大幅に広がるため、夏前にはクリニック名を「坂本内科クリニック」へ変更しようと考えています。
設備面で刷新された部分はありますか。

指先からのごく少量の採血により、血糖、HbA1c、LDL・HDL・中性脂肪などの脂質異常、CRPなどを測定できる血液迅速検査機器を導入しました。即日、5分程度で結果を得られるため、診断や治療に役立てることができます。特に糖尿病の治療ではデータの即時性は非常に重要です。データは独自開発したシステムにより1枚の確認書にまとめられ、治療に活用することに加え、患者さんにもお渡しします。後ほど参照したり、家族への説明に使ったりできる他、他院を受診される際や万が一救急医療を受ける際にも、ご自身の健康状態を伝える証明書のようにご利用いただけるでしょう。また、腹部超音波検査を充実させている他、従来からの内視鏡検査も継続して実施する体制です。
糖尿病や慢性腎臓病、肥満症などへの専門的な診療も
休診日がなく、受診しやすいのも魅力ですね。

体調不良は時機を見て起こるものではありませんから。これまでの体制では週4日半のみの対応でしたが、週7日に拡充されたことで、より受診しやすくなったのではないでしょうか。また、当院には薬剤師が常勤し、院内処方を実施しているのも特徴です。発熱や頭痛、腹痛といった急性期の症状を抱えながら、クリニックの後に院外の調剤薬局を訪れるのはつらいもの。1ヵ所で診察から薬剤処方まで一貫して受けられるのは、患者さんにとってはメリットの大きいものだと考えています。
糖尿病の専門的な診療について詳しく教えてください。
リアルタイムデータを詳細に分析しながら、一人ひとりの病態・合併症に合わせて、適切な薬を処方していきます。近年の糖尿病治療は進展が著しく、多様な薬剤を正しく選択し、組み合わせて使用することで、血糖のコントロールはもちろん、合併症の改善やインスリン注射離脱などもめざすことが可能です。幅広い選択肢の中から個々に合わせた治療を選択するためには、専門的かつアップデートされた知識が求められます。専門の医師の実力が試される部分ですが、時間をかけて構築してきたノウハウを共有し、実践しています。また、糖尿病などの生活習慣病と関わりの深い肥満症の治療にも注力しています。食事療法や運動指導だけでは改善が見られないケースに対し、内服薬の処方も可能です。近年、「肥満症は治療が行える病気である」と啓発されています。ご自身の努力のみでなんとかしなければという時代は過去のものなのです。
慢性腎臓病についても教えてください。

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の障害や腎機能の低下が長く続く病気です。糖尿病や高血圧症といった生活習慣病との関わりも指摘されています。初期では自覚できるような症状はほとんどありませんが、心血管疾患のリスクを高め、進行してしまうと透析が必要となるケースも。早期に発見し、投薬や生活習慣の改善などで適切に治療することが大切です。健康診断の尿検査で蛋白尿や血尿が見られたり、血液検査で腎機能を示すeGFRの検査値に異常があったりした場合には、速やかに専門の医師にご相談ください。
漠然とした健康不安も適切に判定し、方針を立てて対応
幅広い診療を統括するお立場として、めざされるゴールはどこにあるのでしょうか。

私が専門とする糖尿病もそうですが、生活習慣病、肥満症、慢性腎臓病などはすべて、患者さんの寿命を縮めてしまう疾患です。すぐに不便を感じることはなくとも、将来的に健康に生きられる時間が短くなってしまうのなら、それは不幸なこと。これらの病気をしっかりと治療することで、病気により短縮されてしまった寿命を取り戻すよう図るべきだと考えます。つまり、ゴールは健康に生きられる時間を延ばすこと。その実現のためには、専門性を持つ医師同士がチームを組んで、より多くの患者さんに向き合う仕組みづくりも重要と考えています。講演などの機会があるたびに、こうして複数のクリニックを運営する自身の経験を積極的に共有するようにしています。
体制変更後の受診状況と今後の展望を教えてください。
これまでは消化器の不調を抱えたご高齢の方が中心となって来院されていましたが、体制変更後は徐々に働き盛りや子育て中といった若い世代の方もいらっしゃるようになりました。駅からすぐという抜群の立地で、土日も診療していることから、急な体調不良に見舞われた場合にも、ご来院いただきやすいのではないでしょうか。専門性を持つドクターチームによる総合診療と糖尿病、生活習慣病、肥満症、慢性腎臓病などへの専門的な診療を軸に、今後はさらに診療を充実させていきたいと考えています。地域のニーズを捉えながら、それに的確に応える診療を提供していければと思います。
最後に、読者に向けてひと言メッセージをお願いします。

このエリアには糖尿病を専門的に診るクリニックは少なかったように感じます。また、慢性腎臓病についても、相談できるクリニックは限られています。健診などで検査値の異常を指摘されつつも、「どこに相談すれば良いのかわからない」などときちんとした治療を受けてこられなかった方も少なくないのではないでしょうか。そうした方には、ぜひ当院にご相談いただきたいと思っています。迅速検査により、病気の有無や治療の必要性を即日判定することが可能です。ぼんやりとした健康への不安に対しても、きちんと判定し、方針を立てて向き合っていきましょう。