精神科と心療内科の違い
カウンセリングの意義を理解し活用を
メンタルクリニック響
(横浜市青葉区/あざみ野駅)
最終更新日:2023/07/14


- 保険診療
心のトラブルやそれによる体の不調を医療機関に相談する際に、精神科と心療内科のどちらを受診すべきか迷うこともあるのでは。両科にはそれぞれ特徴があり、対象疾患や治療法などが異なるため、その違いを理解して使い分けることが大切だ。本格的なカウンセリングに強みを持つ「メンタルクリニック響」の木村聡美副院長は、同院の特徴として、薬だけに頼らずにカウンセリングによって“心の体力”を身につける根本的治療を重視していることを挙げる。「薬だけもらえればいいと考える方もいますが、薬は症状を緩和しますが心そのものを変化させることはできません。カウンセリングによってこれからの不安にも自分で対処できる心の力を習得することが大切です」と木村副院長。今回は精神科と心療内科の違いや、カウンセリングの重要性などを詳しく聞いた。
(取材日2023年6月30日)
目次
カウンセリングを通じて、今後の心の不調も自分で解決できる力を身につけるため、「根本的治療」を重視
- Q精神科と心療内科の違いを教えてください。
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A
▲どこに症状が出るかによって診療科目が変わると話す木村副院長
精神科は心が原因で心に症状が出ている患者さんに、心療内科は心が原因で体に症状が出ている患者さんに対応するという違いがあります。具体的には、精神科は心的外傷後ストレス障害(PTSD)、適応障害、パニック症(パニック障害)、摂食障害(過食症・拒食症)などの疾患や、「なぜか気持ちが沈んで涙が出てしまう」「不安感が強くなっている」といった心の症状をケアします。一方で心療内科は、心身症といって、ストレスによって起こる頭痛、腹痛、皮膚疾患の悪化や円形脱毛症などに薬で対処するという特徴があります。症状が軽ければ心療内科、重症化したら精神科とイメージする方もいるかもしれませんが、それは誤解です。
- Q精神科と診療内科、どのように使い分ければいいのでしょう。
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A
▲木の温もりが感じられ、落ち着いた雰囲気の院内
多忙やストレスによって頭痛や腹痛が出ている方など、体にだけ症状が出ている場合は心療内科が良いと思います。ただし、心に原因があるわけですから、日によって気持ちの浮き沈みがあると、体に出る症状も日々変わる可能性があります。心療内科でそれぞれの症状を緩和する薬をすべて処方してもらうと、薬の量が増えてしまう懸念もあります。精神科、特に当院の場合はカウンセリングによって心の原因を取り除く方法を重視します。例えば不安で眠れない場合には、不安を抑える薬や眠れるようになるお薬を処方するだけではなく、眠れない原因となっている心の問題を取り除く治療、つまり根本的治療をめざします。
- Qやはり、カウンセリングは重要なのでしょうか。
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A
▲リラックスできるよう温かな雰囲気のカウンセリングルーム
体に症状は出ていても原因が心にあると直視したくない、他人に相談して解決するイメージがわかない等の理由で、「カウンセリングは不要なので薬だけ欲しい」という方が多いのも実情です。しかし、薬で一時的に対処するのではなく、カウンセリングで考え方の癖や他人との関わり方などを学ぶことで「心の体力」を身につけておけば、その後も自分らしく生きることができると思います。将来同じ状況になったときに、繰り返さずに済むと期待できるのです。最近増えている10代の患者さんの中には「まだカウンセリングは早い」と考える方もいます。しかし今後の人生が長い分、早めのカウンセリングには効果が期待できると私は考えています。
- Qこちらでは1時間ほどかけて「予診」を行っているそうですね。
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A
▲患者の生活背景について丁寧にヒアリングしながら診療する
初対面のドクターに自分の気持ちや状況をすべて話すのは、緊張や時間の制限で難しいこともあると思います。事前にリラックスした状態でお話を伺うことで、抱えている悩みや今の症状、家族関係などをしっかりヒアリングできますし、今後の治療方針を伝えて安心していただくこともできます。私の薬剤師の資格を生かし、処方される可能性があるお薬について、あらかじめ説明することも可能です。精神科で処方されたお薬に抵抗があって、結局飲まなかったという方も少なくありません。当院では副作用が出た場合の対処法や効果が見込めるまでの日数などを説明して、安心してお薬を飲んでいただけるように努めています。
- Qこちらのクリニックの特徴を聞かせてください。
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A
▲小さな不調を見逃さずにクリニックを受診しよう
当院では各分野の専門家が連携してチーム医療を行っています。メンタルクリニックの中には投薬治療がメインで、カウンセリングは別の場所で受けるところもありますが、医療機関でしっかりカウンセリングが受けられるのが当院の強みだと思います。予診に十分に時間をかけ、さらに診察で院長にしっかり判断してもらうという2段階制を設けているのも特徴です。また、患者さんが普段通りの社会生活に戻れるように、あえて予約時間をしっかり守っていただくようにお願いしています。他のクリニックで良くならなかったという患者さんにも、「ここが患者さんにとって最後のクリニックであってほしい」という気持ちで向き合っているからです。