大人の矯正より、慎重さが必要
専門家のもとで始める小児矯正
イノウエ矯正&歯科
(箕面市/石橋阪大前駅)
最終更新日:2024/10/01


- 保険診療
- 自由診療
小児矯正と大人の矯正では、「子どものほうが簡単」と思っていないだろうか。「取りあえず前歯のガタガタだけ整えれば何とかなる」で済まないのが小児矯正だという。「だからこそ早い時期から専門家に相談してほしい」と話すのが「イノウエ矯正&歯科」の井上裕子(やすこ)院長。1990年の開院から、患者である子どもだけでなく、子どもを見守る親の気持ちもこまやかにサポートしながら、小児矯正の難症例に立ち向かってきた。来院患者は相当数に上り、そこから得たデータを研究し、論文にまとめるほか、本の執筆にも精を出す。「子どもが大好きなんです。子どもたちや保護者の方々に育ててもらったので、恩返しをし続けたい」と話す井上院長。小児矯正の現在や診療の流れ、特徴について話を聞いた。
(取材日2024年8月30日)
目次
初診時から、思春期成長期での変化も視野に予測を立てる豊富な経験と診断力、患者への愛情で小児矯正を完遂
- Q子どもの矯正治療について、先生のお考えを教えてください。
-
A
▲正しい知識を多くの人に持ってもらいたいと情報を発信する同院
大人より子どもの矯正のほうが簡単と捉えられがちですが、警鐘を鳴らしたいですね。子どもの矯正は成長発育が絡むので、やり直しができないからです。建築に例えると、歯並びの「ガタガタ」は内装工事のようなもので簡単に介入できますが、基礎の土台や柱がゆがんだままだと後々取り返しがつかないのと同じです。当院では子どもの患者さんも、大人と同じ精密検査を行って、顎骨の大きさや形態、鼻咽喉疾患、口唇・舌そして姿勢などの問題点がないかを見極め、その結果をもとにそれぞれの治療戦略を立て、矯正装置を選択していきます。正確な診断に基づく成長発育を考慮した治療戦略の立案が、子どもの矯正治療には特に重要です。
- Q乳幼児期から歯科に通うことが必要なのですね。
-
A
▲小さな子どもを持つ親と、子どもへ向けて院長が執筆した著書
多くの難症例を手がけるうちに、「学校健診などで問題に気づいてあげることが大切」と考え、“子どもの不正咬合”という歯科医向けの本を、さらに「乳幼児期の適切なアドバイスで予防できる不正咬合があるのでは?」と考え、“歯並びの良い子に育てよう”という本も上梓しました。お口ポカンや間違った飲み込み方などが原因での不正咬合が増えつつあると感じますし、姿勢の悪さや筋力の未発達との関係も気になります。虫歯予防の絵本には、「おかげで急に歯磨きをしてくれるようになった」というお声もいただきました。当院でも虫歯のチェックと一緒に、保険で、口腔機能の発達のチェックもできますので、乳幼児の頃からぜひお連れください。
- Q専門家のもとで治療を行うメリットを教えてください。
-
A
▲大人と同レベルの精密検査を行い分析結果に基づく治療計画を説明
経験を積んだ専門家は、初診時の検査結果から、治療の進行過程を推測することができます。反対咬合(受け口)の子どもの場合、思春期成長期に下顎も大きく成長することがあるため、本当の治療結果がわかるには10年程度かかります。矯正治療だけでは完了できず、外科的矯正治療が必要になる場合もあるのです。当院にはこれまで手がけた患者さんの膨大なデータがあるので、データをもとに研究し論文にもまとめました。これらの経験と実績に基づいて矯正治療を行えること、さらに、これらを引き継いでくれる若手も育っていることが、当院の強みだと思っています。外科的矯正治療の可能性のあるお子さんが、他院から紹介されることもしばしばです。
- Qこちらでの矯正治療の特徴はありますか?
-
A
▲定期的に口腔内を診て、悪い兆候は素早く見つけ対応する
目先だけでなく成人される時を見据えて、大きく二期に分けて治療します。18歳の時点において、より良い成績でより負担少なく治療を終えるにはどうすべきか、症例に合わせて戦略を練っていることが特徴です。1期治療だけで終わる場合も考えられますが、それでも18歳までは様子を診せていただきます。早く終わると下顎が伸びたり、最後に生えてくる12歳臼歯が正しく萌出できないなど、問題が生じることもあるからです。歯を動かすために矯正装置をつける期間を短くすれば、あとは観察期間なので、患者さんの負担も少ないです。思春期成長期に難症例へと変化しても、当院では保険適応の外科的矯正治療で対応できますのでご安心ください。
- Q親御さんと一緒に治療を進める上で、工夫されていることは?
-
A
▲子どもも理解して治療を進められるよう、わかりやすく説明
1期治療は対象年齢が低いので、お子さんの性格に合わせて装置を選択しています。すぐに壊してしまったり、規則正しく装着するのが難しかったりというお子さんには固定式、装置をつけたままの生活に違和感が強いお子さんには取外し式がいいでしょう。また、親御さんの負担もできるだけ少なくなるようにしています。特に、反抗期の子どもがどういうものなのか、自分の二人の子どもだけでなく、何千人という子どもたちの成長過程を見てきた経験から、一緒に対処法を考えます。子どもの頃の矯正治療の成功体験によって、自分の歯に自信を持つだけでなく、自己肯定感を増すこともできます。お子さんの将来に貢献できることが私の喜びです。
自由診療費用の目安
自由診療とは初診相談料/2200円、開始時精密検査料/6万6000円~、診断料/6600円~、小児矯正(1期)/22万円~、第二期治療開始前精密検査料/6600円、第二期治療開始前診断料/3300円、小児矯正(2期)/33万円~※治療計画により1期と2期のバランスが変わります。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。