介護でできる口腔ケアの実践
歯科と連携しフレイルの予防へ
木村歯科医院
(京都市中京区/二条駅)
最終更新日:2026/07/17
- 保険診療
介護の現場では、利用者や家族から「食事中によくむせるようになった」「熱が続くが原因がわからない」といった相談がある。そのような変化は、口腔トラブルや嚥下機能の低下を示すサインになっていることがある一方で、変化に気づいても「どこへ相談したらいいのか」と迷うケースも少なくない。京都市中京区の「木村歯科医院」では、外来診療と訪問歯科診療の両軸で地域の口腔ケアを担い、歯科医師3人・歯科衛生士10人・言語聴覚士5人がチームを組み、口腔ケアから摂食・嚥下リハビリテーションまでを一貫してサポートしている。言語聴覚士が歯科医師とともに訪問できる体制は、嚥下機能へのアプローチが必要な患者を抱える人たちにとって心強いだろう。日常で実践できる口腔ケアのポイントについて、木村健司副院長に話を聞いた。
(取材日2026年6月29日)
目次
介護の中で日々のケアに歯科・言語聴覚士の専門的サポートを組み合わせ、患者の口腔と健康を守る
- Q訪問歯科診療はどのような状態の方が対象になりますか?
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A
▲介護施設や自宅など、療養場所を問わず診療を提供
歯科医院に通いたくても通えない方、通いづらい方であれば、どなたでも対象となります。「要介護認定を受けていないと利用できない」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、要支援の段階からでも対応することが可能です。また、介護施設に入居されている方とご自宅でお過ごしの方とで、診療内容や対応に違いはありません。初めてご依頼いただく際に事前に必要なものは、患者さんの基本情報がわかる書類等があれば十分です。薬の情報や既往歴などは予約の段階でこちらから確認しますので、特別な準備を心配される必要はありません。まずはお気軽にお問い合わせください。
- Q日常の口腔ケアで特に気をつけるべき点は何ですか?
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A
▲口腔内や食事中の変化に気づくことが早期対応の第一歩
まず大切なのは、いつもと違う変化に気づくことです。口の中を観察し、歯が折れたり欠けたりしていないか、普段と様子が異なる点がないかを確認してください。次に、食事の場面での変化に注目しましょう。「よくむせるようになった」「食べこぼしが増えた」「原因不明の発熱が続く」といったサインは、口腔内の状態や嚥下機能の低下を示している可能性があります。特に発熱は誤嚥性肺炎のサインである可能性が高く、見逃さないようにしていただくことが重要です。これらの変化に気づいた際は、自己判断で対応しようとせず、できるだけ早く歯科医師へご相談ください。早期に専門家の目を入れることが、患者さんの健康を守ることにつながります。
- Q嚥下機能を保つために介護の現場でできることはありますか?
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A
▲口腔体操や適切な食事姿勢が誤嚥予防につながる
「あいうべ体操」などの口腔体操に取り組むことをお勧めしています。リハビリとレクリエーションを兼ねたこれらの体操は動画サイトでも多数公開されており、介護施設等では積極的に取り入れているところも増えています。食事の場面では、いかにむせさせない姿勢を保つかが重要です。座れる方は足をしっかり床につけること、寝たきりの方はベッドの角度を調整することが基本となりますが、適した方法は患者さんによって異なります。「よくむせる」「発熱が続く」といったサインが見られたら、誤嚥性肺炎のリスクが高まっているかもしれません。早めに専門家へご相談ください。
- Qスムーズな診療のために介護者がしておくべき準備はありますか?
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A
▲日頃の小さな変化の共有が、より良いケアにつながる
実は、特別な準備は必要ありません。食後すぐのタイミングや診療環境についても特に制限はなく、ご自宅の場合、診療スペースが確保できていればそれで十分です。介護施設や在宅を問わず、どのような状況にも柔軟に対応できますので、いつも通り患者さんのケアをしていただければ大丈夫です。一点お願いしたいのは、患者さんの日頃の様子の変化を共有していただくことです。食事中の様子、口腔内の気になる変化、体調の変化など、普段接している皆さんだからこそ気づけることがあります。その情報が、より質の高いケアに直接つながります。
- Q介護の中に歯科が介入することでどんなメリットがありますか?
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A
▲歯科医師と言語聴覚士が連携し、嚥下評価やリハビリを実施
大きく2つあります。1つは誤嚥性肺炎の予防、もう1つはフレイルの進行が緩やかになるよう図ることです。口腔環境を整え、食べる機能を維持することは、患者さんの全身の健康を守ることに直結しています。当院では言語聴覚士が歯科医師と一緒に訪問し、嚥下評価やリハビリも担っています。言語聴覚士がいることで、飲み込みづらい・食べづらいといった方へのアプローチが可能になり、急なトラブルへの対応も迅速に行えます。また、現場で気づいた変化を共有していただくことで、より精度の高いケアが実現できます。「まず歯医者に話を聞いてみよう」という一歩が、患者さんの口腔と全身の健康を守る大きな力になります。

