冨井 真左信 院長、冨井 明子 先生の独自取材記事
トミイ歯科・矯正歯科
(京都市右京区/西院駅)
最終更新日:2021/10/12
西大路四条の交差点から南へすぐ、輝く歯のような白い外壁が目印の「トミイ歯科・矯正歯科」。先代から同院を引き継ぎ、もうすぐ四半世紀になる冨井真左信院長と冨井明子先生が夫婦で力を合わせて歯科診療を提供している。幅広い領域に対応し、中でも入れ歯やインプラントが得意だという冨井院長と、歯列矯正が専門である明子先生。「歯科診療は確かな技術があって当たり前、勉強して当たり前」とほほ笑む2人は、「大事にしたいのは、口が持つ機能や噛み合わせの重要性を患者さんにお伝えして、ご縁を大事にしながら10年後を見据えた治療をすることです」と口をそろえる。そこで、口と全身の健康との関係や、大事にしているという「人との縁」について、2人の思いを聞いた。
(取材日2020年3月3日)
かかりつけ歯科医院として幅広い世代の口腔を守る
こちらは50年以上の歴史がある歯科医院だそうですね。
【明子先生】当院は1966年に私の父が開業しました。その以前から、実家が隣で眼科をしていることもあり、古くから通い続けてくださる方は多いですね。一方当時は、当院の目の前に市電の駅があったり、阪急電鉄の駅前でもあるので、通勤通学の途中で受診される方も多かったです。2階で診療をしていて、患者さんが1階までずらっと並んで待っていたのを覚えています。患者さんが求める医療に応える必要性を実感しながら育ちました。
【冨井院長】私も妻も大阪歯科大学で勤務・研修していましたが、妻の父が亡くなり、1996年に私が院長を引き継ぎました。先代から通ってくださっている方、ご近所の方はもちろん、大阪で勤務していた時代から診ている方、遠方から通ってくださっている方、3世代の家族ぐるみで通っていただいているケースも増え、皆さんの人生に寄り添った、かかりつけ歯科医院としてお付き合いできているのはとてもうれしいです。
最近、2階をリニューアルされたと伺いました。
【明子先生】これまでも、1階は一般診療やエックス線などの検査、2階では矯正や予防処置を行ってきましたが、最近はさらにきれいにしたいと思われる方や健康意識の高い患者さんが増えており、お口の健康から生涯健康でいたいと矯正を希望される方が多く来られます。私たちの、「生涯健康は健口から」という想いがうれしいかたちとして現れてきました。患者さんやご家族の方に正確な情報をお伝えし、本当にご自身の健康と向きあっていただくことが何よりも大切だと考えています。そこで2階をリニューアルし、カウンセリング用のスペースを増やしました。それから数年前にはなりますが、エネルギーにあふれる歯科医院にしたくて、海外でもご活躍されている知人の画家の方にお願いし、待合室などの壁に絵を描いてもらいました。上を向いて咲き誇る花々や前だけを見て飛ぶトンボの姿に、日々パワーをもらっています。
どのような患者さんが受診していますか。
【冨井院長】現在はお子さんから80~90代まで幅広い年代の方が、虫歯の治療や入れ歯、歯列矯正、ホワイトニングなど、さまざまな診療を求めて来院されます。当院は歯科衛生士の人数も多いので、一般診療、歯列矯正、そして歯科衛生士が中心になって行う予防という一連の対応を整え、人生の縦軸を考えた長期スパンで患者さんをサポートしています。妻は主に歯列矯正を、私は一般的な歯科診療に加えて入れ歯やインプラント治療も得意なので、さまざまな手段を用いながら最終的には「1口腔1単位」での治療を行い「生涯の健康は健口から」をめざしています。
正しい噛み合わせと口腔機能を育てるための取り組みを
「1口腔1単位」とは、具体的にはどういうことでしょうか。
【冨井院長】痛みがある虫歯を1本だけ診て終わり、という治療ではなく、口やその周囲を1つのまとまりとしてとらえ、総合的にケアしていくということです。口やその周囲は全身の健康と深く関わっているので、「1本」だけではなく「1口腔1単位」の健康を、長期にわたって保つことが大事だと考えています。
口と全身の健康との関わりについて教えてください。
【冨井院長】歯が悪いと食事が食べにくく栄養を取り込む能力が低くなる、という関連もありますが、人間ならではの問題があります。地球上の生物は常に重力を受けていますが、2足歩行をする人間は体の最も高い位置に重い頭部があるので、4足歩行の動物に比べてバランスを取るのが難しいのです。重心を保つにはぐらつく頭を固定するために、歯をぐっと噛みしめ、口の周りの筋肉や靭帯に力を込めなければなりません。しかし歯が痛かったり奥歯がないと、正しい位置からずれて噛み合わせるので、頭全体が傾いてしまうのです。すると全身のバランスが崩れ、それを補うために足や腰が逆方向へ傾き、かがんだような姿勢になってしまうと考えられるのです。正しい姿勢が保てなくなると神経や内臓が圧迫されて、全身の健康にも影響が及びます。ですから患者さんには、両方の奥歯で噛む大事さを日々お伝えし、噛み合わせを守るための診療を行っているのです。
明子先生は、歯列矯正の観点からはどのようにお考えですか。
【明子先生】主人は噛み合わせに注目していますが、私はそれに加えて口腔機能の向上を重視しています。というのも、口は顔のパーツの1つで、口の周囲はすべて筋肉、舌も筋肉なんですよ。つまり歯は、頬や舌といったやわらかい筋肉に挟まれているので、周囲の筋肉がバランスを保ち安定していないと、せっかく歯列矯正をしてもいずれは崩れてしまう。だから、特に今から口腔機能を身につけるお子さんでは、機能を高めるための取り組みに注力しています。
人との縁を大切に、長く信頼される歯科医院をめざして
院内のあちこちでスタッフが活躍されていますね。
【冨井院長】歯科診療では新しい情報が次々に発信され、若いスタッフはそれに取り組むパワーがある。一方でキャリアのあるスタッフは、基本の大切さを実感していますので、情報を吟味する目をもっています。その両方の良いところを認め合っているところが素晴らしいですし、一社会人としても信頼できるスタッフばかりなので、今の明るい雰囲気や診療レベルがあると心強く思っていますよ。
【明子先生】当院は9人の歯科衛生士をはじめ、大勢のスタッフがいます。年齢も20代から60代で、長く勤務するスタッフも多く、皆仲良く支え合っています。私たちは患者さんに「当院のファンになってもらいたい」と思っているのですが、そのためにはスタッフがまず当院のことを好きであってほしいのです。だから各自が歯科の正しい知識を持ち、自分に自信を持ち、お互いを信頼し尊敬し合えるように、教育や雰囲気づくりにも力を入れています。
プライベートで楽しんでいることはありますか。
【明子先生】私は食べることが大好きで、料理も好きなんです。趣味と好奇心で始めた薬膳ですが、インストラクターの資格を取りました。さらに中医学も勉強中です。本来自分の持つ生きる力を最大限に生かすという予防の考えに基づく理論は、学んでいてとても楽しいです。食べることは生きる喜びにつながります。私はみんなに笑顔で幸せな気持ちでいてほしいので、簡単な料理でも愛情をこめて作るようにしています。
【冨井院長】実は私も料理が好きで、休日は買い出しから全部やりますよ。妻は院でも家庭でも明るく前向きで、家には友人が集まる機会も多いのです。会話や食事をずっと楽しむためにも、口腔の健康は大事ですね。それから、私が大学時代にヨット部だったこともあり、夫婦の共通の趣味は海と自然を楽しむことですね。夏から秋にかけては舞鶴で釣りやマリンスポーツを楽しんでいます。
最後に読者へメッセージをお願いします。
【冨井院長】当院でできることにはきちんと対応し、必要に応じて適切な紹介先へつなぐなど、患者さんが安心して受診できる歯科医院でありたいと思っています。「来て良かった」「安心して任せられる」と感じてもらえる診療を重ね、患者さんを長く支え続けたいですね。
【明子先生】主人は口数は私ほど多くはないですが(笑)、押さえるべきところはきちんと押さえてくれますので、私も信頼して診療にあたることができます。患者さんとの関係も同じで、人と人ですから、相手に寄り添うことを大切にする。どんなに良い治療ができても、相手を思いやる気持ちがなければ、患者さんの満足にはつながりませんよね。当院と関わってくださるすべての人とのご縁を大事にしながら、自分の言動に責任をもって診療していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/76万円~、ホワイトニング/1万5000円~、インプラント治療/38万円~