齋藤 清人 院長の独自取材記事
仲町台さいとう整形外科
(横浜市都筑区/仲町台駅)
最終更新日:2024/09/02

仲町台駅よりせせらぎ公園方面へ歩くこと約2分。タイルで舗装されたきれいな歩道を抜けてすぐの場所にあるのが「仲町台さいとう整形外科」だ。明るく広々とした待合室やリハビリテーションルームが印象的な同院。院長を務める齋藤清人先生は、大学病院で長年、骨粗しょう症をはじめとする整形外科疾患の研究に取り組んできたベテラン医師で、その豊富な知識と経験を生かした専門性の高い診療を提供している。「患者さんご自身が治そうという強い意思を持ち、積極的に治療に取り組んでいただくことが重要です」と語る齋藤院長に、同院の特徴や患者への思いなどについて話を聞いた。
(2024年6月25日)
診療を通じ、病気や痛みの根本的な解決をめざす
まずは御院についてご紹介ください。

大切にしているのは、痛みやトラブルを表面的に解決するのではなく、根本的な問題を発見して、それに対処する方法を患者さんと一緒に考えていくというポリシーです。赤ちゃんから高齢者までのさまざまな方々にご利用いただいており、少年少女だとケガ、高齢者では膝や腰の痛み、骨粗しょう症の患者さんが多いですね。エックス線撮影装置や心電計などの一般的な検査装置に加えて、より精密に骨密度を測ることができるDEXA法の検査装置や、動脈硬化を測定する脈波伝播速度測定器も備えています。リハビリテーションにも力を入れており、理学療法士が常勤と非常勤を合わせて10人在籍していることも強みです。常時3〜4人体制で、一人ひとりに合わせてこまやかにトレーニングやストレッチの指導を行っています。
診療方針について詳しくお聞かせください。
先ほどもお話ししたとおり、根本的な問題を発見して、それに対処するということです。例えば、腰が痛いという訴えに痛み止めを処方して終わりというのは違います。痛みの原因を探して適切な筋力トレーニングやストレッチをご紹介することで、日常生活におけるお悩みを取り除くお手伝いをしたいと考えているのです。加齢に伴う体の変化にストップをかけることは難しいです。けれど日常生活を維持して、寝たきりにならないための方法を患者さんと一緒に考えて、実行していきたいというスタンスです。
膝や腰に関するお悩みをお持ちの患者さんに、お伝えしたいことがあるそうですね。

ええ。健康のためにとウォーキングに励み、「自分は毎日何千歩も歩いているから大丈夫」だと思われている人は少なくないでしょう。けれど整形外科医からすると、逆にそれが膝や腰を悪化させる要因になるということも、知っていただきたいんです。例えば、歩きすぎることで、膝痛や変形性膝関節症、腰痛や脊柱管狭窄症などを招くケースがあります。歩くことだけが運動ではないので、足腰に負担がかかりにくい水泳や自転車こぎを取り入れてみるのはいかがでしょうか。ただし自転車は転倒の恐れがありますから、自宅でできるサイクルトレーナーを使うのも一手です。あとは、重い物を持たないこと、太らないようにすることを意識していただければと思います。足腰への負担を軽減するために、杖の使用もお勧めです。いずれにせよ、予防と早期の対処が肝心ですから、膝や腰に痛みや違和感を感じる方はお早めにご相談ください。
骨粗しょう症の治療とこまやかなアドバイスに力を注ぐ
力を入れていることは何ですか?

私の専門が骨粗しょう症ですので、その診断と治療に力を入れています。特に高齢の女性の多くがなる病気ですし、骨粗しょう症の人が転んでしまうと寝たきりになってしまう確率が高いんです。それにストップをかけるには、一人ひとりがそれなりの努力をしないといけません。十数年前に出た新しい骨粗しょう症の薬は、海外の報告を見ると有用なものであると考えられますが、日本では骨折が増え続けています。それはなぜかというと、世界では高齢女性の4割が病院に行って検査を受けているのに、日本では1割に満たないというデータがあるんです。さらに、1年後に治療を続けている人も、世界では4割なのに日本では1割。つまり16対1の割合で治療が継続できていない。それで骨折が減らないとされているのです。
骨粗しょう症に関して、何かアドバイスはありますか?
65歳を過ぎたら、検査を受けて自分の骨がどうなっているのかを知り、その結果によって医師と相談して適切な対処をすることをお勧めします。治療が必要な場合、当院ではポイントをまとめたプリントをお渡しし、カレンダーによるチェックも取り入れています。これは、薬をちゃんと飲み、日光浴をして、牛乳を飲んで納豆を食べ、体操ができたらカレンダーに記入してもらい、時々見せてもらうことで継続をサポートするという取り組みです。体操については、体を痛めないように正しく行う必要がありますから、理学療法士による安全に配慮した筋力トレーニング方法の指導も行っています。これらがストレスになるという人もいますし、やるやらないの判断は最終的には自己責任です。しかし、改善を促すさまざまな取り組みを提示し、それを行う意義を伝えるのは私たちの義務です。ここまでしっかりと行っている医院は少ないのではないかと自負しています。
動脈硬化を測る脈波伝播速度測定器を導入されているそうですね。

ええ。少し歩くと足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなり、少し休むと歩けるようになる間欠性跛行(かんけつせいはこう)は、動脈硬化によって足の血管が詰まってしまう閉塞性動脈硬化症と脊柱管狭窄症の両方で起こりますので、その鑑別に使っています。そしてもう一つの使用目的は、骨質のチェックです。動脈のコラーゲンと骨のコラーゲンはほぼ共通で、動脈硬化が生じている人は骨のコラーゲンの劣化をも起こしていて、そういう人は骨密度が低くなくても骨質が劣化しており、骨折しやすいことがわかっているんです。つまり骨折予防には、骨密度と骨質の両方が大切で、骨質の劣化がわかれば、より適した薬を処方することができます。この骨質の劣化については、今から30年以上も前、私が大学で研究をしていた頃から着目しており、研究を重ねていました。それを後輩たちが引き継いで、今では体系化され、臨床にも生かせるようになったというわけです。
足の悩みにも対応可能な外来で専門的にアドバイス
足の悩みにも対応可能な外来を手がけられているそうですね。

遠藤亜沙子先生は、聖マリアンナ医科大学で足の外科や股関節外科も学んできました。その知識と経験を生かして月曜・火曜・金曜の午前中に、外来診療を行っています。火曜は私と2人体制で、それ以外は亜沙子先生が担当して、主に外反母趾や踵の痛み、足裏のたこなどの相談に応じ、手術以外の保存療法を軸に治療を行います。加えて足の使い方や靴の選び方、履き方についても指導をさせていただきます。靴の正しい履き方は、学校で習うことはないですし、実は知らないという人も多いのではないでしょうか。受診を希望する人は、ぜひ仕事中に履く靴など、普段履いている靴を持参してほしいです。それを実際に見させていただいた上でアドバイスを差し上げます。
足や靴に悩む人にとって、とても心強い取り組みですね。
当院では、外反母趾や扁平足などの場合は、痛みの軽減を図るために、必要に応じてインソールの処方も行っています。足形を測定した上で、ご希望の靴に合わせて作るオーダーメイドタイプのインソールです。一般的に、整形外科で作るインソールは分厚い物が多く、結局はインソールの入る靴がなくて使用しないままになっているという声を聞くこともあります。けれど当院が処方するインソールは、普段使いしやすい薄型タイプです。足の痛みや違和感にお悩みの方は、お力になれることがあると思いますので、ぜひ受診をご検討ください。
最後にメッセージをお願いします。

患者さんの中には、「病院に来れば病気や痛みを治してもらえる。自分は仕事で忙しいから医師に治してほしい」という考えをお持ちの方もいらっしゃることでしょう。でも私は、病気や痛みの原因は患者さんの中にあるのですから、それを見つけて自分でも治そうという気持ちがないと良くならないと考えています。その考えがうまく伝わらず、時々「先生は厳しい」と言われることもありますが、私は熱心なだけなのです。現在の状況や病気について患者さんにきちんとご理解いただいて、ご自身のためにできることをしっかり指導させていただきたいと考えています。私は絶対に諦めませんから、一緒に頑張って問題を解決していきましょう。