小林 格 院長、小林 雅子 副院長、小林 紘 先生、松嶋 茉莉 先生の独自取材記事
小林クリニック
(横浜市都筑区/センター北駅)
最終更新日:2025/05/14

地域の患者のためになる診療をモットーに、1995年から診療を続けてきた「小林クリニック」は、内科と外科の一般的な症状や生活習慣病の管理に加え、消化器外科、呼吸器内科、神経内科など専門分野の診療もできるのが特長だ。小林格院長は「外来だけでなく在宅で専門性を生かした診療ができるのも強み。私と妻、息子と娘という4人の医師が一つのチームとなって診療にあたっています」と話す。認知症やパーキンソン病など高齢者に多い病気を診る神経内科は小林雅子副院長と松嶋茉莉先生の2人が担当。生活習慣病と深く関わる睡眠時無呼吸症候群は呼吸器内科の小林紘先生が対応する。地域の医療ニーズに広く深く応える「小林クリニック」の4人の医師に話を聞いた。
(取材日2024年10月23日)
消化器、呼吸器、神経内科にも対応可能なクリニック
こちらは一般的な症状の他、専門的な診療も対応可能と伺いました。

【格院長】当院には常勤医師3人と非常勤医師1人が在籍し、全員が一般的な内科・外科の症状に対応できる上、私は消化器外科、妻の雅子副院長と娘の茉莉先生が神経内科、息子の紘先生は非常勤ですが呼吸器内科と緩和ケアが専門。それぞれの専門性を生かした診療も行えるのが特徴です。
【雅子副院長】胃や食道など上部消化管の内視鏡検査は院長の担当ですが、検査時に痛みをなるべく感じないよう留意することもあって、希望される方も多いです。そうした内視鏡検査を含む健康診断で病気の早期発見に努め、地域のかかりつけ医院として生活習慣病の診療にも注力しています。
【茉莉先生】生活習慣病以外には、神経内科の医師が2人いる当院では認知症や神経難病の診療も重視しています。加えて、副院長と私、兄の紘先生は患者さんのご自宅に伺う訪問診療も担当しています。
親子で診療されているとチームワークも良さそうですね。
【雅子副院長】いえいえ、茉莉先生からはよく指摘を受けていますね(笑)。私は行動が早いタイプですが、茉莉先生は慎重に一つ一つ積み重ねていくタイプ。そうやって補完しながら患者さんをしっかり診ていけるのは複数の医師がいるおかげだと思います。
【格院長】電子カルテや院内専用のSNSで患者さんの診療について情報共有ができますし、気になるときは診療時間後に話し合うこともしょっちゅうです。さらに月に1度は4人が集まるミーティングで大事な情報を共有し、当院の方向性についてディスカッションするなど、一つのチームとして当院の診療や運営に携わっています。
他の職種や地域との連携はいかがでしょうか?

【雅子副院長】院内でのチームワークに加え、特に訪問診療では患者さんのご家族や地域の介護施設との連携はとても大切です。当院は受付スタッフや訪問専門の看護師による連携室を設置し、ケアマネジャーの方から毎日連絡を受けています。連携室を窓口に在宅の患者さんの様子やこれから訪問診療を依頼したい利用者さんの情報などを院内で共有し、必要ならすぐに対応しています。
【紘先生】私は病院勤務での診療と当院の訪問診療に携わっているため、どの程度なら在宅医療に移行して大丈夫か、どうなったら病院に送るべきかの見極めやすいのが強みだと思います。特に当院ではご家族の負担にも配慮しながら在宅の受け入れを行っています。
認知症の早期発見や訪問診療で地域医療に広く貢献
認知症の検査や診療はどのように行うのですか?

【茉莉先生】私は勤めていた病院で認知症に携わった経験をもとに、当院で「横浜市もの忘れ検診」を担当しています。早期発見・早期対応をめざして50歳から64歳の方が対象となる検診で、この検診に対応している医療機関は横浜市内でも少ないと思います。当院のホームページなどで知ったという患者さんも非常に多く、関心の高さに驚いています。
【雅子副院長】検診結果により、そのまま経過観察のケースや認知症の専門医療機関にご紹介するケースがあり、ご紹介先も「レビー小体型認知症ならこの病院」など専門性と患者さんの希望を考慮して選んでいます。高齢の方は認知症があることを想定し、早期発見につながるよう普段の診療でも留意しています。
こちらの訪問診療の特長を教えてください。
【雅子副院長】私は平日ならほぼ毎日、茉莉先生と紘先生は週1〜3日のペースで訪問診療を行っています。訪問の際は医師、訪問専門の看護師、介護スタッフ、ドライバーの4人が基本で、必要なときは看護師のみなどの場合もありますね。高齢の患者さんを最期までご自宅で診ていくには、がんや脳血管障害だけでなく、糖尿病、心臓病、腎臓病などの進行を抑え、ケアすることも重要ですから、必要な知識を常にアップデートするよう心がけています。
【紘先生】がん末期で在宅療養中の患者さんには痛みを緩和するための薬をよく使いますが、それは私の専門性を生かせる分野です。適切な緩和ケアにより、最期までご自宅で過ごせる方は増えていると思います。
【茉莉先生】当院はパーキンソン病などの神経難病の患者さんでも訪問診療が可能なので、そこを見込んでご紹介いただくことも増えています。
呼吸器内科は外来や在宅でどんな症状を診ていますか?

【紘先生】外来では咳やたん、息苦しいといった症状の他、喫煙などが原因で息切れや呼吸不全が起きる慢性閉塞性肺疾患(COPD)、日中に眠気や集中力低下に悩まされる睡眠時無呼吸症候群(SAS)なども呼吸器内科で診ています。特にSASは糖尿病や高血圧、心臓病なども悪化させるため、患者さんの生活習慣全体を診ていくことが大事になります。その点、当院は消化器外科や神経内科を専門とする医師がいて、呼吸器内科も含め「生活習慣病+専門性」の視点で患者さんを診ていけるのは強みではないでしょうか。在宅では人工呼吸器をつけた患者さんへの対応などに専門性が生かせると思います。
本当に患者のためになる診療とクリニック運営をめざす
院長と副院長がクリニック運営で心がけていることを教えてください。

【格院長】私は訪問診療には出ないので、自身が担当する診療以外に院内全体の動きを見ていく役割も担っていると考えています。みんなは新しいことにも意欲的ですが、「それが本当に患者さんのためになるのか」という視点から見直した上で、新たな取り組みにGOサインを出すか、再考してもらうかの判断をしています。
【雅子副院長】地域に根差した医療機関として、通常の診療に加え、災害などの緊急時に在宅の患者さんとどのように連絡を取るかなどの体制づくりも重視しています。企業でいう事業継続計画(BCP)で、4人で定期的に行うミーティングで何度も検討を重ね、ようやくマニュアルをまとめることができました。
【格院長】当院なりのBCPにより、災害時でも患者さんへの対応に差が出ないようにしたいと考えています。
茉莉先生と紘先生がこちらで感じたことをお聞かせください。
【茉莉先生】大学病院で専門的な診療から入るのとは違い、当院の診療ではまず患者さん全体を診るように心がけています。病気の診断はもちろんですが、「患者さんの生活スタイルや考え方によってこの症状が出ている」といった関係性を見つけ、より適切な治療につながればと考えています。もともと神経内科を選んだのも、患者さんとじっくり向き合いたい気持ちがあったからで、当院での診療は自分に合っていると感じています。
【紘先生】私は晩年の祖父が病気で痛みや苦しさが続いた記憶が強く、そうした患者さんを何とかしたいとの思いから緩和ケアや訪問診療をめざしました。当院では週2日の診療で外来と在宅に1日ずつ充てています。外来では生活習慣病のマネジメントを大切にしながら、当院の診療に必要な技能も習得したいと考えています。
地域の皆さんにメッセージをお願いします。

【格院長】それぞれの専門分野を生かしながら、地域の方々の健康を総合的にサポートしていく役割を、これからも果たしていきたいと思います。
【雅子副院長】これまでどおり、外来診療、訪問診療合わせて地域医療に貢献していきたいと思います。患者さんの健康管理や病気の予防に力を入れ、1年間の検査計画を立てて様子を見ていくなど、充実させていきたいですね。
【茉莉先生】「ちょっとしゃべりに来たよ」という気持ちで構いません。気軽に来院してください。
【紘先生】将来は私たちで父と母の後を継いでいきますから、これからも安心して当院に頼っていただければと思います。