品川 勝美 院長の独自取材記事
ひかり歯科医院
(今治市/伊予富田駅)
最終更新日:2026/04/15
愛媛の伝統工芸「桜井漆器」で知られる今治市桜井地区。住宅街の一角にある「ひかり歯科医院」は、2025年に院内を増設・リニューアルを行った。1992年の開業以来、品川勝美院長が大切にしてきたのは「治す前に、予防を広める」という姿勢。改装の狙いは、治療のために通う場所から、メンテナンスで健康を守り続ける場所へ、患者が意識を自然に切り替えられる環境づくりにある。メンテナンス専用の待機スペースや個室性を高めた診療環境を整え、口腔内を見える化して納得を促す説明も強化。将来的には歯科医師を志す息子の帰郷も視野に、診療の受け皿を広げる意味合いもある。今回は、品川勝美院長にリニューアルへの思いやメンテナンスの重要性について取材した。
(取材日2025年12月21日)
空間から通院の習慣を支えるため、増設に踏みきる
増設・リニューアルで一番大事にしたことは?

一番の狙いは、患者さんに「歯科医院は治療のために通う場所」の印象だけで終わらせず、「予防のために継続して通う場所」という意識を強めてもらうことでした。治療は痛みの軽減につながったら途切れがちですが、メンテナンスは免許の更新のように一回で終わりません。だからこそ、増設部分を「メンテナンス」の空間として位置づけました。落ち着いた環境で自由診療の説明や相談もしやすくなりますし、プライバシー面の安心感にもつながります。「空間」から通院の習慣を支える、そんな増設をめざしました。日常のルーティンとして通院を組み込めた時に、治療の回数や費用、痛みの負担を大きく減らせますから、その入り口をつくるのが今回のリニューアルだと思っています。
メンテナンスの待合を分けたのは、どうしてですか?
メンテナンスは目に見えにくい価値だからこそ、空間の安心感で背中を押したい。その意図が待合の分離にはあります。さらに、メンテナンスは「何も問題ありませんでした」で終わることも多い分、来院の動機が弱くなりがちです。だからこそ、歯科医院側が患者さんに「定期的に通う価値」を感じていただく体験を設計する必要があります。小さなことですが、こうした積み重ねが中断を減らし、結果として重い治療を回避することにつながると考えています。スタッフにとっても動線が整理され、衛生面の管理や準備がしやすくなりました。患者さんの安心と、提供する医療の質を同時に底上げするための場づくりです。
地域のかかりつけ医として、今後の展望を聞かせてください。

地元の方が多い一方で、島しょ部から橋を渡って通ってくださる方もいます。長く通っていただくほど、予防の価値が生きてきますから、地域のかかりつけ医としての役割はこれからも変わりません。また、高齢化を見据えて訪問診療にも早くから取り組み、水曜午後を休診にしてご自宅や施設へ伺う体制を続けています。子どもは最初の体験がその後の受診に大きく影響するため、いきなり治療に入らず器具に慣れる練習から始めることもあります。増設・リニューアルは派手な変化を見せるためではなく、「通い続けられる安心」を更新するためのもの。地域の暮らしの中に、無理なくメンテナンスが入っていく状態をつくりたいと思っています。
見える化で「続くメンテナンス」の仕組みをつくる
メンテナンスの頻度はどう決めていますか?

メンテナンスの理想頻度は一律ではなく、患者さんの状態で変えています。当院では目安として、3ヵ月に1回、4ヵ月に1回、半年に1回といった区切りを設け、歯周病の重症度やリスク、セルフケアの状況に応じて決めています。メンテナンスで問題がない状態を維持できれば、結果的に歯科医療に費やす時間は少なく済みます。逆に痛みが出てから来院すると、状態が進んでいることも多く、治療計画が長くなりがちです。ですから頻度は一人ひとりに合わせるものだと考えています。短い間隔でチェックが必要な方には理由を説明し、落ち着いている方には間隔を延ばす。無理なく続けられるラインを一緒に探すことが、結果として長続きにつながると思っています。
メンテナンスで毎回チェックする内容は?
メンテナンスでは「今、安定しているか」「進行していないか」を毎回確認します。特に歯周病は、痛みが少ないまま進むこともあり、感知しにくい病気です。来院ごとに歯周ポケットなどの検査を行い、前回のデータと比べて変化がないかを見ます。進んでいなければ現在のセルフケアが有用だという証拠になりますし、患者さんのモチベーションにもつながります。逆に数値が悪化していれば、磨き残しの傾向や生活習慣を一緒に振り返り、必要に応じてブラッシング指導や処置を追加します。加えて、虫歯や詰め物・かぶせ物、噛み合わせの変化なども一緒にチェックし、必要があれば治療へ早めにつなぎます。メンテナンスは「何も起きないための診療」なので、見えない変化を拾い上げる視点を大事にしています。
「見える説明」を続けている理由を教えてください。

説明の質が、そのまま予防の入り口になると思っているからです。口頭だけでは伝わりにくいことも、画像なら一目で理解できます。虫歯の穴、歯茎の腫れ、磨き残しの部位など、現状を画面で見ながら説明すると、患者さんの納得感がまったく違うでしょう。治療後も同じように撮影し、「ここをこう治療しました」と確認できれば、安心にもつながります。スマートフォンで画面を撮って帰っていただいても構いません。家族と共有したり、自宅での歯磨きの意識が高まったりといったきっかけとしていただけたらと思います。患者さんが「治療をされた」と感じるか、「治療をしてもらった」と感じるかで、通院の継続は大きく変わります。
噛み合わせから未来の不調を防ぐ
噛み合わせの治療について、先生のお考えをお聞かせいただけますか?

噛み合わせの不調は口の中だけでは収まらず、歯ぎしり・食いしばりを招き、筋肉の緊張から肩凝りや頭痛へと広がることがあります。本来軽い歯ぎしりはストレス解消にもなりますが、噛み合わせのズレなどがあると悪循環になることもあります。そのため当院では、メンテナンスと併せて噛み合わせを評価し、必要に応じて早期に整えることを重視しています。単に「どこで噛んでいるか」だけでなく、その位置が本当に正しいのかを見極め、矯正では始める前に顎の位置を解析します。見た目だけでなく、噛む力や顎の動きまで含めて機能として整えることが重要だからです。噛み合わせと体の関係はまだ十分知られていません。だからこそ、私たちが丁寧に伝え、必要な方へ適切なケアを届けていきたいと考えています。
子どもの矯正、受診のサインはありますか?
矯正は「何歳が正解」と一概にはいえず、成長に合わせて必要なタイミングで行うことが大切です。乳歯の時期と永久歯が生えそろう時期では目的が異なり、途中で不正が現れることもあるため、成長の節目ごとにチェックするのが理想です。見た目だけでなく「うまく噛めない」「食べ物を落とす」「噛むのが遅い」といったサインも要注意。噛み合わせを整えることで、苦手な物が食べられるようになることも望めて、ひいては好き嫌いがなくなることにもつながります。定期検診で噛み合わせや顎の位置の違和感を早期に確認できますので、学校検診の指摘があった時や少しでも気になった時は相談してほしいと思います。正しい成長へ導く矯正は、見た目の改善が見込めるだけでなく「将来の負担を減らす予防」も望めるでしょう。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

口の中は「食べる・話す」だけでなく、全身の健康とも関係しています。歯茎が腫れて出血する状態は、感染症のきっかけになる場合もあるため、口腔内を清潔に保つことが大切です。歯科医院では歯だけを見ているのではありません。健康づくりの一端を担う場所と考えています。当院では、定期的なメンテナンスと噛み合わせの診療を通して、地域の健康を支えることをめざしています。特に冬場は感染症が気になる季節ですが、日々の歯磨きやプロのケアは、健康維持のための取り組みの一つとして役立ちます。メンテナンスで状態を確認し、変化があれば早めに対応することで、結果として治療の負担軽減も望めます。歯並びや噛み合わせも、気になることがあれば早めに相談することで、より適した方法を検討しやすくなります。歯科医院を「痛くなってから行く場所」ではなく、「健康を保つために相談できる場所」として、気軽にご利用いただければ幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/10万円~、小児矯正/10万円~、インプラント治療:1歯/30万円~

