予防歯科の実現を支えるのは
患者に長く寄り添う歯科衛生士
浪越歯科医院
(三豊市/詫間駅)
最終更新日:2023/05/30


- 保険診療
予防歯科意識の浸透に伴い、歯科衛生士の活躍の場はぐんと広がった。事実、近年は歯科疾患の予防・管理を通じて健全な口腔環境を維持すべく、大きな役割を担う歯科衛生士が増えている。そんな中、こうした体制を25年以上も前から築いてきたのが、香川県三豊市にある「浪越歯科医院」だ。院長の浪越建男先生は早くから歯科衛生士の教育に力を注ぎ、その成長を見守り続けてきた。「当診療所は彼女たちなしでは成り立ちません」と語る院長の想いに応えるように、浪越歯科医院ではベテランぞろいの歯科衛生士たちが診療を根底から支えている。今回は院長とともに、診療所内で中枢を担う歯科衛生士の松尾円さん、矢野美和子さん、真鍋美幸さんの3人にインタビュー。患者に寄り添い続けてきた、彼女たちならではの言葉を語ってもらった。
(取材日2023年4月4日)
目次
歯科衛生士は心ある姿勢で患者と向き合い、長く地道な努力を続けるプロフェッショナル
- Q歯科衛生士中心の診療体制をつくろうと思ったのはなぜですか?
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A
▲歯科衛生士について語る浪越院長
【浪越院長】開業当初は、いかに良い治療をするかにこだわっていました。ですが、治療をすればするほど歯が減っていく患者さんを目の当たりにしたことで、次第に予防を重視しようと思うようになったんです。そのために欠かせないのが、優秀な歯科衛生士の存在でした。ただ私自身も、初めから予防歯科における歯科衛生士の重要性を理解していたわけではありません。勉強会に参加する中で、先進的に予防処置に取り組む歯科衛生士と出会い、その技術力に驚かされたことが大きな転機となりました。以降は、むし歯の予防・歯周処置・メインテナンスを軸とした、歯科衛生士中心の診療体制へ。開業から3年目のことで、スタッフは戸惑ったと思います。
- Q当時のことを振り返っていかがですか?
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A
▲主任の松尾さんは、最も長い勤務歴を誇る
【松尾さん】最初は不安のほうが大きかったです。その頃からフリーランスの歯科衛生士による院内勉強会が始まって、がむしゃらに勉強するようになったんですが、自分の力不足を痛感することも多くて。「私たちには無理です」と、院長に伝えたこともありました。何度やっても、思うようにスケーラーを動かせない。歯石を除去することができない。それでも諦めずに努力できたのは、院長が「予防処置を通じて地域に貢献したい」「そのためには皆の力が必要だ」と根気強く伝えてくれたからです。その期待に応えたい一心で、私はこの仕事を続けることができました。勤務歴は今年で28年目になりますが、他のスタッフも10年、20年選手ばかりです。
- Q長く患者を診ることで、どんなメリットがあるのでしょう?
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A
▲矢野さんは患者を親子で担当することもある
【矢野さん】私は勤務歴27年目ですが、長く勤めていると、予防処置をする上で役立つことが多いなと感じます。というのも、親子2代で担当している患者さんなどは生活背景を把握しやすいので、食事やブラッシングのアドバイスもしやすいんです。どんな疾患もセルフケアが重要ですから、担当歯科衛生士は患者さんと丁寧なコミュニケーションを取りながら、セルフケアのモチベーションを高められるようにお話ししています。また長期的な口腔環境の変化を追うことで、自分の行った処置の振り返りができるのもありがたいところですね。大変なこともありますが、「あなたがいなくなったら、もう来ない」なんて言われたら絶対に辞められません(笑)。
- Q高い知識・技術を求められる中で、どのようにスキルアップを?
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A
▲幅広い業務によってスキルアップを続ける真鍋さん
【真鍋さん】フリーランスの歯科衛生士による勉強会に加え、スタッフ同士で週に1回、論文や専門誌を読みながら情報交換をする場を設けています。むし歯の予防や歯周処置はもちろん、全身疾患の知識やその他の治療についても幅広く学んでいますよ。セミナーでの症例発表や、専門誌の原稿執筆を担当することもあります。臨床の合間に、こうした業務に取り組むのは簡単なことではないものの、先輩である私たちの背中を見せることで、若手スタッフが何かを感じ取ってくれたらいいなと思っています。大変なこともありますが、何より患者さんのためになると実感できるだけにやりがいは大きいですし、貴重な機会を与えていただいているのを感じます。
- Qこちらの診療所は、院外活動も盛んだと伺いました。
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A
▲子どもたちのむし歯予防にも積極的に取り組んできた
【松尾さん】地域での歯科保健活動に力を入れています。その象徴が30年近く続く、町内の子どもたちへの集団的フッ化物洗口です。加えて月に1回は小学校へ出向き、歯科衛生士がブラッシング指導を行っています。小学校では口腔内写真を添えた「お口の健康ノート」にコメントを書いていくんですが、親御さんにとっては、これがお子さんの成長を知る良い機会になっているようです。子どもが大きくなると、お口の中を把握することが難しくなりますから。こうした活動の積み重ねもあってか、地域の子どもたちのむし歯は年々減少傾向にあります。「予防処置を通じて地域に貢献したい」という院長の願いは、確実に実現に向かっていると思いますよ。
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