通院時と変わらない治療を実現
自宅で受ける訪問歯科診療
こがはしもと歯科医院
(京都市伏見区/長岡京駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
一人で通院することが難しい患者の自宅に、歯科衛生士らが訪問し、診察や治療を行う「訪問歯科診療」。往診のように緊急的な一回きりのサポートだけでなく、継続的な口腔ケアにも対応しており、むし歯や歯周病の治療から入れ歯の修理や新規作製、「食べる」機能を取り戻させる摂食機能療法まで幅広く対応。咀嚼機能が及ぼす認知症や誤飲性肺炎の予防効果にも着目し、口腔ケアがすべての人に必要だと訴えるのは「こがはしもと歯科医院」院長の橋本昌美先生。開業当初から19年間も訪問歯科診療に携わり、現在はそのノウハウを後進に提供している。「訪問の際には雑談もたっぷりして、お口を動かしてもらえるように心がけています」と話す橋本先生に、訪問歯科診療の受診方法や内容、その必要性について話を聞いた。
(取材日2020年7月1日)
目次
むし歯治療から定期的なメンテナンス、摂食機能療法といった専門性を要する治療まで対応
- Qどのような人が訪問歯科診療の対象となるのですか?
-
A
自力での通院が困難なすべての方が対象になります。お一人でクリニックまでお越しになれないことが前提ですので、ご高齢の方だけでなく、交通事故や脳梗塞などで寝たきりになられた方、生まれながら身体に障がいのある小さなお子さんなど、年齢やその理由もバラバラです。また、保険診療内での治療では、離島などの例外を除き、ご自宅からクリニックまでの直線距離が16Km以内という規定があります。クリニックを探される際は、ある程度ご自宅に近い歯科医院が良いでしょう。
- Q訪問歯科診療を受ける際の流れを教えてください。
-
A
まずは患者さんが通院されていた、かかりつけの歯科医院にご相談ください。その患者さんのお口の状態をよく理解されているので、治療もスムーズでしょう。もし、その先生が訪問歯科診療をされていない場合であっても、心配いりません。歯科医師には地域のネットワークがありますので、近くで訪問診療をされているデンタルクリニックを案内してくれます。また、入院中であれば病院、訪問介護を受けている場合はケアマネジャー、介護施設などに入所されている場合は施設に相談すれば、同じように紹介してもらえますし、地域の歯科医師会や役所でも窓口を設けていますので、必要を感じたら早めに検討しておくといいですね。
- Q具体的にどのような治療が受けられるのでしょうか?
-
A
最近は、歯科機器や器具などの進歩で、クリニックに通院していた頃とほとんど変わらない治療を受けることができます。エックス線写真の撮影や歯を削る、詰めるといったこともできますし、むし歯や入れ歯の治療から、お口の中のクリーニング、また食べる機能を回復するための摂食機能療法などにも対応しています。小さなお子さんの場合は、生え替わる乳歯を誤って飲み込む前に抜歯するといったケアも必要になってきます。定期的なチェックは欠かすことができません。つい体の病気やケガのことばかりに気を取られがちですが、お口のメンテナンスはいつでもどなたにも、必要不可欠なものなのです。
- Q摂食機能療法について教えてください。
-
A
摂食機能療法とは、脳梗塞などの後遺症により失った「食べる」機能を再び取り戻す訓練や、今までまったく食べたことのない子どもに対して、食べてから飲み込むという一連の動作を指導するものになります。顔やお口の中のマッサージ、舌の筋力アップなど、それぞれの患者さんに応じたメニューを作り、およそ週1回のペースで歯科衛生士やそのご家族と連携しながらトレーニングを行います。お口からの栄養摂取を最終目標とするのではなく、ご本人の満足感やお口の機能向上がもたらす全身的な健康維持をめざし取り組んでいます。例えば、咀嚼機能が向上することで、将来的な認知症予防や誤嚥性肺炎予防にもつながるといわれているんですよ。
- Q診療にかかる時間や費用はどれくらいですか?
-
A
一回の治療は30分前後、むし歯や入れ歯の治療後は、週1回ペースでのメンテナンスが理想です。費用は通常の検査治療費に加えて、訪問診療費などがかかりますが、すべてが保険の対象となるため、自己負担額はかなり低いものです。ただし、クリニックによっては別途交通費や駐車料金が必要な場合もありますから、それぞれのクリニックにご確認ください。むし歯は放っておいても治るものではありませんし、合わない入れ歯では食事も満足に取れません。栄養不足から全身の虚弱につながり、お口だけでなく全身の健康を損なう可能性もあります。まずはお気軽にご相談ください。