槙村 隆宏 院長の独自取材記事
まきむらデンタルクリニック
(京都市左京区/松ヶ崎駅)
最終更新日:2022/09/01

松ヶ崎駅から歩いて4分の「まきむらデンタルクリニック」。2階のクリニックへと続く階段を上っていくと、歯科医院というよりは自宅に招かれたような温かな気分になってくる。院長の槙村隆宏先生は、さまざまな臨床経験を積んできた歯科医師だ。一般歯科診療をはじめ、小児歯科、歯列矯正やホワイトニング、歯周病予防など、患者の幅広いニーズに対応している。槙村院長が最も重視しているのは、患者とのカウンセリング。治療方針や治療内容のメリット・デメリット、見た目やコスト面までこと細かに伝えるという。また、ただ選択肢を提示するだけでなく、患者自身が口腔内のことについて考え、学べるよう、理解しやすい言葉を使うなど工夫もしているそうだ。今回はたっぷりと歯科診療に対する情熱を語ってもらった。
(取材日2019年1月9日)
「予防」は定期検診だけでなく本人への意識づけが大切
歯科医師になったきっかけを教えてください。

私が通っていた学校は進学校で、クラスメイトには医師や歯科医師をめざしている人が多くいたんです。たくさんの血を見るような医師の仕事は怖そうだし、じゃあ、歯科医師になろうと思ったのがきっかけなんですよ。大学を卒業して滋賀医科大学の歯科口腔外科医局に入って間もない時のこと、難しい症例の患者さんを担当させてもらうことになりました。しかし経験の浅い私は、治療を始めたくてもどこから始めたらいいのかもわからず、悩んでいたんです。すると先輩に「この患者さんが自分の親だと思っていたら、わからないで済ませることができるのか? もっと真剣に向き合うだろう」と言われ、ハッとしました。それから今でも、常に患者さんを身近な人だと思って考えることが、私の心がけの1つになっています。
こちらのクリニックで注力されていることは何でしょうか?
歯周病などの予防です。今でこそ医学は予防をメインとしていますが、当院ではその考え方が広がりを見せていなかった15年以上前から取り組んできました。開業当初は専門性の高い矯正治療をメインにしていたのですが、ある時、予防を中心に行っているクリニックを見学に行ったんです。そうしたら虫歯治療が少ないことに驚き、患者さんに「予防」という概念を持ってもらうことは非常に大事なのだと感じました。それから当院も方向転換し、予防に注力してきました。例えば、長期歯周病治療中の患者さんを対象として、ジェット水流を歯に吹きつけて汚れを落とすクリーニング専用機器など、先進の機器の導入も積極的に行っています。
当時の患者さんに「予防」の概念を持ってもらうには、ご苦労もあったのでは?

ええ。何度も説明を繰り返しました。例えば「多くの方の場合、歯磨きできている所は10回磨いたら10回ともきれい。磨き残しのある所は10回とも汚れているものなんです。だから、定期的にメンテナンスに来てください」「高齢化に伴って人生が長くなるんですよ、将来のために目を向けてください」などとお話ししてきました。今では多くの患者さんが理解してくれて、「死ぬまでよろしくお願いします」なんて言われることもあるほどなんですよ(笑)。今までの取り組みの成果が実を結び、何よりも患者さんとの信頼関係ができたことがうれしいですね。
じっくり相談し、納得してもらえる治療を提供していく
スタッフとの連携も重要視されているそうですね。

もちろんです。スタッフの支えがあったから、20年近くたくさんの患者さんの健康を支えてこられたと思っています。クリニックにおいてチーム医療は必要不可欠ですね。例えば、当院ではカルテとは別に、病歴や家族関係、私が診察中に交わした会話まで、スタッフがメモ書きを残してくれるんです。患者さんとのコミュニケーションにも一役買っていますが、生活背景や持病を知ることで治療に結びつくことも多い。また「ズキズキ痛む」「痛いが我慢できる」など痛みに対する訴えも必ず書いてあります。治癒の経過速度は人によって異なりますから、大いに参考になります。皆、主体的に取り組むベテランぞろいですので、私からスタッフに細かく指示出しをすることはありません。それぞれのスタッフとの会話を楽しみに来てくれる患者さんも多いんですよ。
ところで、こちらの場所で開業されたのには、きっかけがあったのですか?
自宅が近いので、歯科医師としての知識と経験を地元に還元できればという思いから、ここに開業したんです。また医療人として「自分の患者さんに何かあればすぐ対応できるように」という気持ちで常にいることも一つですね。いつでも駆けつけられるといった面でも、地元以外での開業は考えていませんでした。クリニックの中で最も気に入っている場所は、待合室なんです。以前は春になると窓から向かいの桜並木が見渡せたんですよ。普段は見上げることが多い桜ですが、同じ目線だと迫力があって、また美しさが際立ちます。歯科はどうしても「痛い」「怖い」といったイメージがつきまといますから、来院してくれた患者さんにリラックスした時間も提供できればと思っています。
患者さんと接する時に気をつけていることはございますか?

治療における数多くの選択肢を提示し、メリット・デメリットをしっかりとお話しした上で、納得していただける治療に努めています。カウンセリングは当初から慎重に行ってきましたが、特にこの地域は周辺大学に通う留学生など外国籍の患者さんが多い地域なんです。「治療をするかしないかは、話を聞いてから自分で決めたい」などしっかりとした考え方を持つ人が多いため、プランが決まるまで口すら開けてもらえないこともありました。ご自身の治療に主体的になることは良いことです。仕上がりの見た目や、痛みの程度、時間、コストなど、自然とどなたにも入念にカウンセリングさせていただくようになりました。「今までにないくらい丁寧に対応していただけた」と喜びの声をいただくことも多いですね。実は、わが家もホストファミリーをしているんです。英語対応も可能ですので、どなたでも安心してお越しいただきたいですね。
病気に対する新しい情報発信も行い、健康を支えていく
最近増えてきたと感じる病気や症状はございますか?

食いしばりとお口の中の乾燥ですね。例えば、食いしばりはパソコンやスマートフォンの画面を見ている時に大抵の方はしているんですよ。そして、顎関節症や歯ぎしりによる歯の割れや欠け、知覚過敏の大半は、食いしばりが原因の1つだとわかってきました。しかし、癖となっている習慣を変えるのは難しいですよね。まずは意識を向けていただくようにお話ししています。また、お口の乾燥は高血圧のお薬の副作用によるところも考えられます。利尿作用で血圧を下げることを図るので、体内の水分量と同時に唾液も減ってしまうからです。患者さんには内科の先生に相談して薬を変えてもらうか、水分を多く飲むようにお願いしています。患者さんの年齢も上がり、複数の病気を抱えている方も増えました。また長寿社会となり、新しい病気も増えてきています。常にアンテナを張って多くの知識を得ながら、一人ひとりに寄り添った治療を心がけていきたいと考えています。
ご趣味はございますか?
水泳です。中学校、高校の頃には全国大会に出ていたほど、のめり込んでいたのですが、仕事を始めてからは遠ざかっていたんです。30歳を過ぎた時に腰を悪くしまして、それから体力づくりも兼ねて、また水泳を始めることにしたんですよ。今は90人くらい所属メンバーのいるチームで活動しています。全国大会の試合にも出るようになって、3年前にはジャパンマスターズで2位になりました。おかげで、ぎっくり腰は再発していませんね(笑)。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

当院は通いやすさを追求した歯科医院をめざしています。例えば、ほかのクリニックの先生の意見を聞きたいという患者さんがいらっしゃれば尊重して、ご紹介状をお書きしています。なぜなら、歯科診療における治療方法はたくさんあることを知ってほしいと思っているからです。いろんな治療方法を知って、比べて、知識を得て、将来に生かしてほしいですね。また、平日は19時まで、土曜も18時まで診療しているほか、長期的な歯周病管理のためにクリーニング機器を導入したり、定期メンテナンスの際には口腔乾燥計でのチェックなど、患者さんの負担が少ないように配慮しながら幅広く診療を提供しています。微力ではありますが、皆さんの未来を一緒につくっていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは・歯列矯正:一期治療/44万円~、フルブラケット/88万円~
・ホワイトニング/2万2000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。