山林 一公 院長の独自取材記事
山林歯科医院
(東大阪市/瓢箪山駅)
最終更新日:2023/01/06
瓢箪山駅から徒歩5分の場所に1998年に開業した「山林歯科医院」はある。院長の山林一公(やまばやし・かずとも)先生は大阪歯科大学を1992年に卒業後、海外留学や麻酔について学び、博士号を取得するなど、広く深く知識を身につけてきた。当院ではその知識と経験を生かし、一般歯科をはじめ小児歯科や審美歯科、インプラント治療、根管治療など幅広く診療を行う。さらに矯正専門の歯科医師や管理栄養士などの専門家が集結し、チームで治療にあたっている。来院する患者は地元住民はもちろん、遠方から通院する患者も多いという。高齢者への包括的な歯科医療の提供に特に力を入れ、「地域医療を支えていきたい」と語る山林先生に、歯科医師としての思いなどを聞いた。
(取材日2022年10月19日)
高齢者の健康を維持・管理するために包括的なケアを
一般歯科から専門的な治療まで幅広い診療をされていますね。
私は噛み合わせやインプラント治療について、専門的に学んできました。また大学院では麻酔の勉強を通して全身管理を学びました。姿勢が噛み合わせにも影響すると考えていますので、矯正治療中の患者さんには食べる時の姿勢を指導することもあります。インプラント治療はスウェーデンやアメリカで学びました。帰国後に担当した患者さんのことが印象に残っているのですが、その方は肝臓がんで余命半年と宣告をされていたんですね。でも「死ぬまでしっかり噛んで食べたい」という思いをお持ちだったので、インプラント治療の提案をしました。すべての方にインプラントが可能ではないのですが、今後もご希望を伺いながらその方に合わせた歯科医療を提案、提供していきたいと思っています。
高齢者の総合的なサポートに力を入れられていると伺いました。
当院は1998年に開業し、20年以上が経過しました。開業時からずっと通っていただいている患者さんには、80代や90代になられた方も多いです。「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」として、高齢の患者さんが健康的に暮らせるように一人ひとりに合わせた定期的な口腔ケアを行い、健康の維持や管理をしています。また高齢になるとどうしても通院が難しくなってしまいます。通院ができないから治療は終了するのではなく、在宅でケアをできればと思い訪問診療にも力を入れています。
訪問診療のニーズは高いのでしょうか。
そうですね。当院では火曜日と金曜日の週に2回、訪問診療専門の歯科医師が個人宅や施設に伺っています。歯科医師による口腔内の治療の他、歯科衛生士が各種トレーニングの指導も行います。例えば胃ろうになられた患者さんで、ご本人はまだ食べたいという思いをお持ちだった場合、摂食嚥下のトレーニング指導をします。もちろん、それによって改善につながる場合と、そうでない場合があると思います。でも改善はできなかったけれど、歯科医師や歯科衛生性と話をすることで気持ちが楽になられる方もいらっしゃると思うんです。ご家族や周りの方にもこういう場合はこのようにしてあげればいいですよ、とアドバイスなどをすることもあります。
治療をするだけではないのですね。
口腔内全体を診ることが大事だと思っています。歯科医師が虫歯や歯周病などを治療して、その後のフォローを歯科衛生士が行います。歯科衛生士は歯石の除去や口腔内を清潔に保つための指導、さらに舌の機能のトレーニングを行います。きちんと噛んで飲み込むという機能が落ちてしまった原因や、その方の状態に応じたトレーニングを通して飲み込みの改善を図っています。
管理栄養士による指導で患者の健康をサポート
先生はケアマネジャーの資格をお持ちなのですよね。
訪問診療は介護関係者の方などと連携が必要になります。ケアプランに沿って患者さんの対応をするのですが、歯科としてその中でどういうふうにしていけば、よりバランスが取れて患者さんのためになるのか、ということを相対的に考えることが必要だと思ったので取得をしました。また今後は、訪問診療においても栄養管理の指導が必要になると思っています。例えば治療をして症状の改善につながり、食べられるようになったけれど、栄養バランスを考えずに食事をしてしまい糖尿病を患ってしまっては意味がありません。当院では2人の管理栄養士が在籍しているので、そういった面も含めて包括的に患者さんを支えていくことができると思っています。
管理栄養士から直接栄養の指導を受けられるのは心強いですね。
食べることは生活全般に関わることでもありますし、生きることにもつながります。当院では患者さんから食事内容を伺い、例えば野菜の摂取量が少ない方には簡単に摂取できるようスムージーにして補う方法をアドバイスするなど、一人ひとりに合わせた栄養指導を行いますので喜んでいただけていると思います。毎月口腔内のチェックにいらっしゃる患者さんに栄養指導をしているのですが、日々の食事を意識するきっかけになっていただければうれしいですね。
他にも管理栄養士さんが取り組まれていることはありますか。
もっと多くの方に食事の大切さをお伝えするため、管理栄養士が監修したレシピを毎月作成したり、栄養と歯をリンクさせたチラシを作成したりしています。われわれ歯科医師や歯科衛生士は口腔内の治療・ケアなどはできますが、その後の指導というのは専門外です。低下している機能に応じた食事のアドバイスをするためには、管理栄養士の介入が必要です。現在当院には歯科医師が5人、歯科衛生士が6人、管理栄養士が2人、受付助手が2人在籍しています。患者さん一人ひとりに応じた治療計画を立てるため、それぞれの専門的な観点から意見を出し合うようにしています。そのため日々のコミュニケーションだけでなく、定期的なミーティングも大切にしています。ポジションごとのミーティングは週に1回、全治的なミーティングは月に1回行い、課題の解決につなげています。
オーダーメイドの治療を生涯を通じて提供していく
今後の展望を伺えますか。
当院は、高齢化が進む地域医療を支えていくことをめざしています。私は人生で10年ごとにテーマを決め、ステップアップできるようにしているのですが、50代の今は「患者さんの人生を見据えて、それぞれの置かれている状況に合わせた治療を行う」をテーマに設定しています。世の中の技術の進歩に合わせて自身も新しい技術を得たり、経験値を上げていくことで自分が行えることも増えていきます。また機器も時代に合わせてデジタル機器を導入するようにしています。最近ではCAD/CAM装置を新しく入れ替えました。この装置であれば午前中に診察をして、午後にはかぶせ物をはめて帰ることもできます。患者さんにとっても時間は大切だと思いますし、こうやって時代の変化に合わせて新しい機械やシステムなど便利な部分は取り入れつつ、やはり人間の歯科医師にしかできない患者さんとのコミュニケーションは大切にしていきたいと思っています。
患者さんへの対応で心がけていることを教えてください。
スタッフみんなで心がけているのは、患者さんへの声かけです。緊張をほぐすためと、患者さんが言いにくいことに素早く気づけるようするためです。例えば「トイレを我慢してないか」「費用を気にしてないか」などと、気軽な感じで声をかけています。患者さんも私たち歯科医師には遠慮して言い出しにくいことでもスタッフには言えることもあると思います。患者さんのためになることは、積極的に行ってくれるスタッフたちなのでとてもうれしく思っています。
最後に読者へメッセージをお願いします。
口腔内の機能は年齢を重ねていくに従い、どうしても衰えていきます。当院では一般歯科からインプラント治療、矯正治療に加えて管理栄養士による栄養指導も行い、患者さんの生活基盤を落とさないような診療体制を整えています。5年後、10年後、20年後も生活水準を保っていただくために、患者さんの年齢やライフステージに応じたオーダーメイドの治療をしていますので、一生を通じてお付き合いをしていければと思っています。高齢化とIT化の中で、人間でないとできないことをどれだけきちんとしているか。それが歯科医院の価値になっていくと思っています。歯科医院はたくさんあるので、自分にとってベストのかかりつけ医を見つけることは難しいかもしれません。でも一生の財産になると思いますで、ぜひご自身で見極めて探していただきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは【審美歯科】ジルコニア(3年保証)/クラウン 88万円~・インレー 6万6000円~、その他メニューについてはHPを参照
【インプラント治療】33万円~ ※詳細は問い合わせを
【歯列矯正】限局矯正(誘導矯正)/33万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/89万1000円~、その他矯正治療についてはHPを参照
※上記価格は一部メニューのみ
※上記はすべて税込価格
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。