津田 玄一郎 院長の独自取材記事
津田眼科クリニック
(川崎市宮前区/宮前平駅)
最終更新日:2024/08/21

宮前平駅南口からすぐ、駅前を走る尻手黒川通りに沿ったビル1階にある「津田眼科クリニック」は、シックなブラウンの外壁に映えるホワイトの英字ロゴが目印。津田玄一郎院長は、地域医療に貢献したいという思いから宮前平の他にも、多摩区、麻生区にも眼科医院を展開し連携。「主役は患者さま」を診療スタンスに、患者のことを第一に考え、通院する人が心地良く感じられる医院をめざしている。全面バリアフリーの院内には、色彩豊かな絵画で飾られた待合室やオープンカウンターの受付があり、心地良く過ごせる空間だ。穏やかで優しいまなざしの津田先生に、同院の診療内容や眼科医師をめざしたきっかけなどを語ってもらった。
(取材日2024年7月10日)
分院とも連携し、川崎市西部の眼科ニーズに広く対応
開業から23年を迎えるそうですね。

眼科の医師として地域のお役に立てればと開業してから、あと数年で四半世紀となります。おかげさまで多くの方にご来院いただき、麻生区に「津田眼科」、多摩区に「宿河原津田眼科クリニック」も開院。それぞれ眼科医である妻と長女に運営を任せ、3院で連携しながら川崎市西部エリアの幅広い眼科ニーズに対応しています。妻とは家庭内で日常的にコミュニケーションを取っていますし、長女とも週に2〜3回は会う機会があるので、十分な対話が可能です。白内障などの日帰り手術は手術室を持つ宿河原のクリニックをご案内しますが、術前検査や術後のフォローアップは当院で受けることが可能な体制です。分院間の移動には送迎車を運行するなど、患者さまの利便性にも配慮しています。
どのような患者さんが多くいらしていますか。
お子さんから高齢者まで幅広いです。コンタクトレンズの処方を希望される方も初診からお受けしていますので、若い世代も多く来院していただいています。学校検診の時期には気がかりなことが見つかった子どもたちの受診が増えますが、通常はご高齢の方が多い印象でしょうか。近年では、白内障に加えて、緑内障での受診も増えています。40歳を超えると20人に1人が罹患するといわれる緑内障は、近視があるとさらに罹患率が高まります。自覚症状がないまま進行してしまうので、積極的に眼底検査を受けていただきたいですね。当院では、コンタクトレンズの処方などで来院された場合でも、リスクがあると判断した方には緑内障撮影を行っています。
緑内障とは具体的にどのような病気でしょうか?

緑内障は、視神経が傷んで視野が狭くなる病気で、年齢が上がるにつれて罹患する方が増えます。以前は治療が難しいとされていましたが、薬の開発が進んだ現在では点眼薬で症状のコントロールを図ることもできます。とはいえ、失明原因の首位であることには変わりなく、早めの発見と治療が重要です。ただし、緑内障の自覚症状は気づきにくく、「視界の外側が見づらくなってきたな」と自覚した頃には、すでに視野の4分の1から3分の1が欠けている可能性があります。特に片目だけ緑内障の場合、正常なもう片眼が視野をカバーするのでさらに気づきにくくなります。緑内障のスクリーニング検査は、コンピューターで視神経の状態を解析する検査で5分程度で判断可能です。その検査で異常が認められた場合のみ視野検査など精密検査を行います。
「患者が主役」のスタンスで、サービス改善に取り組む
高齢者に最も多いという白内障はどんな病気ですか?

白内障はほとんどが加齢によって起こる病気です。また、紫外線による影響も大きいので、農業や漁業関係の方やスポーツ選手など、屋外で仕事をする人は発症しやすい傾向にあります。初期症状はまぶしく感じたり、目がかすんだりなど。進行すると視力が落ちて、次第に見えなくなり、最終的には手術での治療になります。手術は10〜15分ほどで終わり、技術が進歩して手術方法も確立しているので、一般的には入院をしなくても問題ありません。手術をするタイミングは、病気の進行具合を見るのはもちろんですが、まずは「生活においてどれだけ不自由を感じているか?」を考えます。たとえ視力が悪くなっていても、日常生活で不自由を感じていないなら、あえて手術は勧めません。逆によく見えていても仕事や運転で不自由を感じられる方には手術を勧めます。そのため、患者さまの要望を聞き出すコミュニケーションを大切にしています。
先生の診療スタンスについてお聞かせください。
「患者さまが主役」というスタンスを大切にしています。医療は人と接する仕事で、サービス業と同じと言っても言い過ぎではありません。医療スタッフが患者さまに接するのと、ホテルマンが宿泊客に接するのとでは、その心構えや対応に大きな差はないと私は思っています。もちろん、対応の仕方はマニュアルどおりであってはなりません。家族に対するように接してくださいとスタッフには伝えています。当院の受付カウンターには診察券入れを置いていません。それは、患者さまから直接手渡しで診察券を受け取るため。ちょっとした会話を交わすことで、そこにコミュニケーションが生まれます。他にも、携帯電話やパソコンから受付順番を取得できるシステムを導入することで、待ち時間の短縮を図るなど、医療面だけではなくサービスの向上もめざしています。近年では現金を持ち歩かない方も増えたので、キャッシュレス決済にも対応することにしました。
院外でも医療活動をされているとお聞きしました。

目の愛護デーである10月10日前後の期間は、目に関する無料相談を市民まつりの会場やデパートで行っています。もともとは妻と2人で新百合ヶ丘で始めた活動ですが、地域の人々からの評判が良く、今では地域の眼科医会全体で行っています。眼科に行くほどではない気がかりを抱えた方や、セカンドオピニオンを求める方などに、気軽にご相談いただければと続けているのですが、受診のきっかけとなる場合もあるようです。さらに、老人介護施設へ月に1度出向き、病院に通えない人への眼科検診も行っています。
酷使しがちな目を守るために、家族で声をかけ合って
先生が眼科の医師をめざしたきっかけは何ですか?

眼科医師だった父の影響が大きいと思います。私は小さい頃から活発な子どもで、演劇に興味を持ち、将来は劇団員になりたいと真剣に考えたこともあったんです。でも、気持ちのどこかに患者さまに優しく接する父の仕事をすてきだなと感じる心があったんでしょうね。高校3年生の進路を考える時期に、医師をめざしたいという気持ちがごく自然に湧いてきて、医学部に進学することを決めました。眼科に進もうと考えたのは、父の専門が眼科だったこともありましたが、人間の体の中で目ほど美しい部分は他にないと感じ、どうやってこんな美しいものが作られるのだろうと、純粋に思ったからです。目はカメラのレンズのような役割をする角膜と水晶体、絞りの機能を果たす虹彩(こうさい)、それらをとてもきれいな涙液が覆っています。外界からの情報の8割は目から得られるものであり、その大事な機能を果たす、美しく不思議な目のことを専門に学びたいと思いました。
休日の気分転換に楽しんでいらっしゃることは?
自分の健康が患者さまのためでもあるとの思いから、週に2〜3回はジムに通い、ウォーキングや水泳に取り組んでいます。以前はマラソン大会に出場したり、3000m級の山に登ったりとアクティブに過ごしていましたが、年をとると無理は危ないと妻に止められてしまいました。実は今度これまで未踏の高尾山に一緒に登ろうと話しており、今後は低山に楽しみを見つけるのも良いかななどと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。

子どもから大人まで、スマホやパソコン、タブレットなどの画面を見る時間が増えている昨今、ドライアイに悩む方も増えているようです。近年では治療薬の選択肢も広がり、中高年から増える結膜弛緩症が原因となっている場合には、たるんだ結膜を切除する手術で改善をめざせることも。毎日二診制を取り、できる限り待ち時間を軽減できるよう努めています。目に違和感や異常を感じたら、ぜひご相談いただきたいと思います。また、大切な目を守るためには、使い方も重要。近くの物を見る際には、明るい場所で30cm程度離し、正面から見ることを心がけてください。姿勢を正すことも大切です。これらを実践するだけで、小児の近視も進行を予防することにつながります。ぜひご家族で声をかけ合って取り組んでみてください。