北川 尚 院長の独自取材記事
北川歯科クリニック
(新宿区/新宿御苑前駅)
最終更新日:2025/12/29
新宿御苑前駅からすぐのビル2階に位置する「北川歯科クリニック」は、虫歯・歯周病の治療をはじめ、メンテナンス、インプラント治療、審美面に配慮した治療など、歯科全般的に幅広く対応。近隣住民はもちろん、周辺のオフィスで働くビジネスパーソンも通っている。北川尚(きたがわ・たかし)院長は歯科麻酔の専門家で、一般的な局所麻酔法だけでなく笑気吸入鎮静法などを用い、痛みの少ない治療をめざしている。「患者さんに診療を理解していただけるよう、簡単かつ詳しい説明を心がけています」と穏やかにほほ笑む北川院長に、同院での取り組みなどについて教えてもらった。
(取材日2025年11月25日)
歯科麻酔の専門家として痛みの少ない治療を追究
初めに、先生の経歴についてお聞かせください。

大学卒業後、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の歯科麻酔科に入局し、臨床研修医として義歯や補綴、口腔外科など歯科診療全般を勉強しました。その後、全身管理を学ぶため、同大学大学院で歯科麻酔学を専攻しました。歯科麻酔を専門にしたのは、大学卒業時に「高齢者が増加することを前提に義歯を自分の専門分野にしたい」と先輩に相談した際に「高齢者を対象とした歯科診療をするなら、全身管理ができなければいけない」とアドバイスをもらったからです。大学院では歯科麻酔や全身管理に加えて、心筋梗塞などの循環器疾患や、脳性まひ・てんかんといった精神神経疾患についての知識も深めました。大学院修了後は東京医科歯科大学(現・東京科学大学)に勤務、その後心身に障害のあるお子さんや成人の方を対象とする療養施設の歯科に勤務し、全身麻酔下での歯科治療を数多く経験しました。当院を開業したのは1999年です。
歯科麻酔科での経験は、日常診療でどのように生かされていますか?
歯科治療は、歯を削る処置や神経の治療など「小さな手術」の積み重ねです。そのため「できるだけ痛みを抑えること」「患者さんの不安を軽減すること」を常に意識して診療を行っています。局所麻酔では、細い注射針を使用し、電動麻酔器で麻酔薬をゆっくり注入したり、表面麻酔を併用したりと、注射時の刺激を減らすための工夫を重ねています。それでも恐怖心が強い方や、過去の治療経験から歯科に苦手意識がある方、嘔吐反射が強く治療器具を口に入れること自体がつらい方には、静脈内鎮静法や笑気吸入鎮静法を選択肢として提案し、心身の負担が和らぐよう努めています。また、高血圧症・心臓病・糖尿病などの全身疾患をお持ちの患者さんでは、治療中の血圧や体調の変化への配慮が欠かせません。全身状態を把握しながら無理のない治療計画を立て、安全な診療をめざす点に、歯科麻酔の専門性が生かされていると感じています。
クリニックの特徴を教えてください。

虫歯や歯周病の治療から義歯、インプラント治療、審美歯科、治療後のメンテナンスまで、歯科診療全般に対応しています。一方で、私が特に大切にしているのは「説明」です。治療の方法やメリットだけでなく、起こり得るリスクや限界についてもきちんと説明し、患者さんに理解・納得していただいた上で治療を進めるようにしています。近年は、痛みが出てから来院するのではなく、良い状態を維持するために定期的に通院する管理型の歯科医療への意識も高まってきており、その点でも説明の重要性は増していると感じています。
歯ぎしりから審美的な悩みまで、多様な選択肢を用意
食いしばりや歯ぎしりの診療にも対応されているそうですね。

食いしばりや歯ぎしりは、強い力が無意識のうちにかかるため、歯が欠けたり、ひびが入ったり、割れてしまう原因になります。基本的な対応としては、日中に「噛みしめている」と気づいたときに歯を離すよう心がけてもらうなど生活習慣の見直しを行ったり、就寝時にマウスピースを装着したりします。最近では、朝起きたときに顎が疲れる、歯がしみる、顎の関節が痛む、肩凝りや頭痛があるといった症状から、食いしばりに気づく方もいますが、自覚していないケースも少なくありません。診察では、歯の摩耗の状態や顎の筋肉の張り具合などを確認し、原因を見極めた上で対応を考えています。歯が割れてしまったり、補綴物が繰り返し壊れたりするほど食いしばりの力が非常に強い場合は、マウスピースなどの保存的な方法では十分ではないこともあります。症状の程度や生活への影響、既往歴などを確認しながら、必要性を慎重に判断した上でご対応しています。
審美歯科やインプラント治療などについてもお聞かせください。

審美面では、詰め物やかぶせ物にセラミックを使用し、天然の歯に近い仕上がりをめざす治療法や、針金を使わない審美性に配慮した義歯にも対応しています。義歯に抵抗がある方にはインプラント治療という選択肢もありますが、事前に検査を行い、年齢・全身疾患・生活背景などを踏まえて適応を慎重に判断しています。また、歯の色に悩む方には、ホワイトニングやエアフローを用いて本来の白さを引き出すための治療を行っています。治療の選択肢を幅広く用意し、患者さんのニーズに応えていきたいと考えています。
健康のために口腔機能チェックと定期メンテナンスを
月1回のクリーニングが保険診療で受けられるようになったと伺いました。

現在は、口腔機能管理体制強化という診療報酬上の制度により、条件を満たすことで保険診療で月1回のメンテナンスが可能になりました。これまでは3ヵ月に1回程度が一般的でしたが、月1回通っていただくことで、汚れがたまる前にケアができるだけでなく、口腔内や全身状態の変化にも早く気づきやすくなります。特に高齢の方や持病のある方では、1ヵ月の間に体調や服薬内容が変わることも珍しくありません。歯だけでなく、そうした背景も含めて確認できる点が、この制度の大きな意味だと感じています。この体制を整えるには、検査や管理の仕組みづくりに加えて、スタッフ教育などの準備も必要になるため、実践している歯科医院は決して多くはありません。ただ、削って治療する歯科医療から、全身の健康を見据えて管理していく歯科医療へと移行する流れは、今後さらに重要になっていくと考えています。
摂食嚥下を含む口腔機能のチェックについて教えてください。
噛む力や飲み込みの様子といった口腔機能のチェックにも力を入れています。いかに早く口腔機能の低下に気づけるかはとても大切です。診察では、舌の動きや汚れのつき方、唾液の量に加え、食事や水を飲んだ際にむせていないかといった点にも目を向けています。50歳を過ぎて食べづらさを感じるようになった方や、以前よりむせやすくなったと感じる方は、一度チェックを受けてみても良いかもしれません。これらの確認やケアを中心となって行う歯科衛生士らスタッフは、患者さんに対し、できるだけわかりやすくお伝えすることを心がけています。状態に応じて口腔周囲のケアなどを取り入れることもありますが、無理なく続けられる形で口腔機能を整えていくことが重要です。また口腔内の状態は、全身の健康や治療の経過にも影響するため、人工関節の手術前や糖尿病等の全身疾患をお持ちの方など、医科との連携が必要となるケースも増えてきました。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

歯科医療は、口の中だけを診ていれば良い時代ではなくなってきています。全身の健康と口腔内の状態は密接に関係していますし、良い状態を維持することが結果的に大きな治療を防ぐことにつながります。これからは、治療精度の維持と向上に努めながら、定期的なメンテナンスや口腔機能のチェックに、さらに力を入れていきたいと考えています。毎日のブラッシングに加えて定期的に歯科医院でチェックを受けることで、異常を早期に発見し、軽い段階で対応することができます。何か症状が出てからではなく「悪くならないために通う」という意識を、ぜひ持っていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは静脈麻酔を使用した治療(治療内容により異なる)/5万600円~、ノンメタルデンチャー(1本)/10万3950円~、セラミックインレー/5万7750円~、セラミッククラウン/13万8600円~、インプラント治療/38万5000円~、エアフロー/7700円、ホームホワイトニング(片顎)/3万4650円~、ホームホワイトニング(上下)5万7750円~

