「目で見る」治療をスタンダードに
⻭科用マイクロスコープ治療
小西歯科医院
(高松市/大町駅)
最終更新日:2024/07/03


- 保険診療
暗くて狭い口腔内の、さらに暗くて狭い場所へと治療の手を伸ばす……。歯科医師にとって、歯科治療は限られた視界との戦いだ。「目で見ながら治療をする」という、一見当たり前のようにも思える行為が、実は決して簡単ではないという事実をどれだけの人が知っているだろうか。「見えない状態がデフォルトの歯科治療において、目で見て治療することを可能にする道具、それが歯科用マイクロスコープです」と、「小⻄⻭科医院」の小西弘晃先生は語る。同院では、治療やその前後のさまざまな局面で、⻭科用マイクロスコープを登場させている。視野が明るく拡大されることで、ようやく見えてくる世界がある。今回の記事では、小西先生に⻭科用マイクロスコープを使用するメリットや、⻭科用マイクロスコープ治療の流れなどをたっぷりと解説してもらった。
(取材日2024年4月8日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯科用マイクロスコープとは、何でしょうか?
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A
マイクロスコープには医療用と歯科用とがありますが、その機能や操作性に大きな違いはありません。肉眼の20〜30倍まで視野を拡大し、微細な操作性を持って精密な治療を可能にする顕微鏡、それが歯科用マイクロスコープです。当院では、カメラやカメラレンズなどの製造で知られる老舗メーカーのモデルを導入しています。レンズの性能が優れていると、視界も明るくなるように思いますね。歯科用マイクロスコープは光軸(照明軸)と視軸(観察軸)が一致しますから、歯科医師の手の影によって、視界が遮られることもありません。深くて暗くて狭い場所まで、常に明るい状態で観察できれば、細かなヒビや汚れや病変も発見しやすくなります。
- Q歯科用マイクロスコープを使用するのは、どんな時ですか?
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A
歯科用マイクロスコープといえば、根管治療。歯の神経の治療だと言われます。神経が通った管、根管はその複雑な形状から感染源を見落とされることが多く、再治療を防ぐためには、極めて繊細な処置が求められるからです。私が学生だった頃は、「根管治療は指先の感覚に集中する」「心の目で見る」と教わったものでした。手探りの治療なんて、嫌だと思いませんか? 私は、歯科用マイクロスコープは精密な治療に不可欠なもの、使用することが当たり前のものだと考えて、歯石の取り残しを見る際にも、歯を削って形を整える際にも、かぶせ物の適合状態を確認する際にも、さらには歯磨き指導をする際にも、歯科用マイクロスコープを活用しています。
- Q歯科用マイクロスコープを使用するメリットとは?
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A
肉眼レベルでは確認できなかった部分が、明るい状態で視界に入ることで、治療の精度を高められます。そして、治療で歯を削る量や、治療回数の削減も実現できるようになります。歯を削る量が少なくなれば、それだけ歯の寿命延伸につなげられますし、治療回数が減れば、患者さんのご負担も減らせるでしょう。さらには、コンサルテーションというメリットも外せません。歯科用マイクロスコープによって撮影された映像をモニターで共有しながら、「今日はここまで削りました」「中はこうなっていました」「だから、歯を抜かなければいけません」などとご説明できれば、患者さんの治療に対する理解度、納得感は大きく高められると考えています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1クリニックとのマッチングを図る問診・カウンセリング
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予約を経て来院すると、問診票の記入を依頼される。これは「何をどうしたいのか」をクリニックに伝えるためのもの。予約時にも簡単に来院理由を尋ねられるが、改めて気になるポイントを書き出しながら、患者も自分の持つ悩みを見つめ直す。続くカウンセリングの時間は、30分〜1時間程度。問診票をもとに女性スタッフが優しく質問を重ね、患者の求める治療、ニーズがクリニックとマッチングするかどうかを確かめる。
- 2病変のマッピングに役立てる精密な検査
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デジタルレントゲンや歯科用CTを用いて、口腔状態を調べていく。同院では頭部を全方位から撮影する、上位モデルの歯科用CTを導入。患者は着座し、リラックスした状態で検査が受けられる。歯科用CTの3次元的な断面図であれば、神経の穴、つまりは神経の管(根管)の数や形状も可視化できるため、病変のマッピングが可能になる。歯科用CT検査から導き出される立体画像は、いわば歯科医師にとってのカーナビゲーションだ。
- 3シミュレーションを交えた治療計画説明
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検査結果を踏まえて、どこに虫歯があるのか、今はどのような状態なのか、これからどんな治療を行う必要があるのかを、歯科医師が丁寧に説明する。虫歯の進行度によっては、かぶせ物をはじめとした補綴物の装着も検討しなければならない。歯列矯正などで、噛み合わせを整えることを提案される場合もある。治療計画を説明する際は、コンピュータ上で治療のシミュレーションを行うため、患者も具体的なイメージを持ちやすい。
- 4丁寧に時間をかけて行う歯科用マイクロスコープ治療
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歯科用マイクロスコープを通した、明るい拡大視野下で治療を進める。同院では、さまざま局面で歯科用マイクロスコープを活用。丁寧に時間をかけつつ患者の負担を抑えるため、治療時間は1回45分〜1時間程度に設定。歯科医師はフェザータッチ、スリーピングハンドを心がけ、まるで羽のような手つきで患者の口元に触れる。思わず眠ってしまいそうになるベッド型の診療チェアは、歯科用マイクロスコープとの相性が考慮されている。
- 5病気の原因と向き合う定期メンテナンス
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治療後は2、3ヵ月に1回の受診を推奨。口腔ケアと合わせて、治療に至った病気の原因を患者に説明する。どれだけ丁寧で精密な治療が施されたとしても、病気の原因が解決していなければ、症状は再び繰り返されるからだ。患者は歯科医師任せにするのではなく、自らが主体となって、病気の原因と向き合う努力をしなければならない。取り除ける原因は取り除き、取り除けないものに関しては歯科医師らが一緒に対応策を考えていく。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/42万3500円〜、歯列矯正/55万円〜
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。