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横浜新都市脳神経外科 院長 森本 将史 先生

こちらの記事の監修医師
横浜新都市脳神経外科
院長 森本 将史 先生

かすいたいきのうていかしょう下垂体機能低下症

概要

下垂体は頭蓋骨の中にある内分泌器官で、さまざまなホルモンを分泌し、人間の体をコントロールしている。下垂体機能低下症は、下垂体が分泌するホルモンのうち1種類、あるいは複数のホルモンの分泌量が減少することにより引き起こされる。下垂体から分泌される8つのホルモンのうち、「副腎皮質刺激ホルモン」「甲状腺刺激ホルモン」「成長ホルモン」「黄体化ホルモン」「卵胞刺激ホルモン」「プロラクチン」の6つのホルモンが関連して起こり、どのホルモンの分泌量が減少するかにより症状が異なってくる。

原因

下垂体機能低下症の原因としては下垂体腫瘍が最も多く、他に特定の炎症性疾患や下垂体への血流の減少などが挙げられる。下垂体腫瘍自体は良性であることが多いが、正常の下垂体を圧迫することで下垂体機能低下症を引き起こす。また、下垂体腺腫の手術や放射線照射のほか、外傷などが原因で下垂体の機能が低下する場合もある。そして、下垂体だけでなく、頭蓋咽頭腫やラトケ嚢胞といった下垂体の周囲に発生した病気も、ホルモンの分泌量を減少させる原因となる。原因がはっきりしない場合には、何らかの免疫異常が関係している可能性もあると考えられている。多くは遺伝とは無関係だが、血縁者に同じ病気の人がいる場合、下垂体に関係した遺伝子の異常が影響している可能性も考えられる。

症状

大きな下垂体腫瘍が原因の場合は、視野、視力に障害が出る。その他、分泌量が減少している下垂体ホルモンの種類によって症状は多岐にわたる。最も深刻なのは副腎皮質刺激ホルモンの分泌低下で、副腎不全に陥る。食欲不振、体重の減少、重度の倦怠感といった症状が現れ、命に関わる場合もある。また、甲状腺刺激ホルモンが不足すると冷え性、体重増加、皮膚の乾燥などが起こる。そして、成長ホルモンの分泌が低下すると子どもの成長状態が悪くなるほか、大人では体脂肪の増加や筋力低下などの症状が出る。黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンは、性腺機能の発達や性欲に関わるホルモンで、減少すると女性では無月経や不妊、男性では性欲低下や勃起障害が起こる。プロラクチンは母乳の産生に関わるホルモンで、減少すると母乳の量が減ったり、出なくなったりする。

検査・診断

血液検査で各種ホルモンの血液濃度を測定し、どのホルモンの分泌量が減少しているのかを確認する。ほかに尿中のホルモンを測定するため尿検査を行う場合や、複数の負荷試験が必要な場合もある。また、下垂体機能低下症の原因を特定するためにCTやMRIの画像検査を行う。下垂体腺腫などの腫瘍が見られる場合には、腫瘍の広がり具合も確認される。さらに、下垂体以外にも病変が広がっている可能性を考え、心電図検査による不整脈の評価、胸部エックス線によるリンパ節の腫れの評価、眼底検査によるぶどう膜炎の検査など、多岐にわたる検査が行われる。

治療

主に不足しているホルモンを合成ホルモンで補充する。副腎皮質刺激ホルモンが低下していれば副腎皮質ホルモンを補充、甲状腺刺激ホルモンの分泌が低下していれば甲状腺ホルモンを内服する。この2つは年齢、性別を問わず生命活動に必須のホルモンである。また、成長ホルモンは、身長の伸びだけでなく筋肉や脂肪などにも影響を及ぼすため、不足している場合は成長ホルモンを補充する治療が行われる。黄体化ホルモンや卵胞刺激ホルモンの低下については、性ホルモンの内服、あるいは注射による補充を行う。このようなホルモン補充療法により、日常生活に支障がない程度に回復することが多い。下垂体腺腫の場合には、手術が行われる。腫瘍の大きさにもよるが、多くの場合、手術は鼻を通して行われる。症状に応じて放射線や化学療法が選択されることもある。

横浜新都市脳神経外科 院長 森本 将史 先生

こちらの記事の監修医師

横浜新都市脳神経外科

院長 森本 将史 先生

1993年京都大学医学部卒業。2002年同大学院医学研究科修了。同医学部附属病院、国立循環器病研究センター、Center for Transgene Technology and Gene Therapyでの勤務を経て、2010年に横浜新都市脳神経外科病院の脳神経外科部長に就任。2011年から現職。専門分野は脳動脈瘤、バイパスなどの血行再建手術、血管内手術などの脳血管障害、脳腫瘍。