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こちらの記事の監修医師
茨城県民生活協同組合 友愛記念病院
救急科部長 近藤 司 先生

しゃっくり(きつぎゃく) しゃっくり(吃逆)

概要

胸部と腹部を仕切る横隔膜が急速な収縮を起こすと同時に声帯が閉鎖することで、空気の流入(吸気)が阻止される現象です。自分の意思とは関係なく発生する反射運動で、反射には喉の筋肉を動かし、喉・扁桃・舌からの情報を脳に伝える舌咽神経が関係しており、ここに刺激が与えられると延髄にある吃逆中枢を介してしゃっくりが起こります。吸気と同時に声帯が閉鎖するため「ヒクッ」という音が出ることが多く、英語のhiccupなど外国語でしゃっくりを意味する単語には、よくこの音が使われます。医学用語では吃逆(きつぎゃく)と呼ばれています。2日以内に停止するものを急性吃逆と呼び、多くの人が経験しますが、中には2日以上続く慢性吃逆や1ヵ月以上続く難治性吃逆が発生することもあります。これらは呼吸困難や嘔吐、不眠などの苦しい合併症状を伴うことがあるだけでなく、脳や呼吸器、消化器など何らかの基礎疾患が原因となっている可能性が高いため、原因究明および治療が大切です。

原因

短時間発生する急性のしゃっくりは基礎疾患がないことがほとんどで、食べ過ぎ・飲み過ぎや炭酸飲料などによる刺激によって発生する場合が多く見られます。慢性や難治性のしゃっくりの場合、延髄の呼吸中枢付近の障害や脳の疾患、咽頭や消化器、呼吸器などの炎症や腫瘍など、多種の疾患が原因となり得ます。また、アルコール摂取やある種の薬剤摂取によっても誘発されることがあります。

症状

急性のしゃっくりの場合、しゃっくり以外の症状が起きることはまれですが、慢性や難治性の場合は長時間続くしゃっくりによって不眠や悪心嘔吐、食欲不振などが起きたり、会話、とりわけ電話での会話が困難となって社会生活に支障を来したりすることがあります。原因疾患があるケースでは、しゃっくりに加え、その疾患の症状が加わることもあるため、原因究明に役立ちます。

検査・診断

基本的に2日以内で停止する急性のしゃっくりに対して医師の診察は不要です。しゃっくりが2日以上続く場合や、他の症状が加わったりした場合は診察・検査を受け、原因を特定していく必要があります。具体的には現病歴や既往歴、手術歴、家族歴、飲酒や喫煙の有無などの生活習慣を確認した上で消化器症状(胸焼けや嘔吐など)、神経症状(しびれやまひなど)、呼吸器症状(咳など)の有無をチェックします。必要に応じて血液検査、画像検査、生理学的検査などを行い、しゃっくりを引き起こしている原因を見つけ出していきます。

治療

急性の場合は、特に治療を行わなくても自然に収まることがほとんどです。症状を緩和するため、息こらえや飲水といった民間療法が行われることもあり、ある程度は有用とされています。一方、難治性の場合は、反射運動を起こしている原因を探り、それに対してアプローチする必要があります。延髄に脳腫瘍があり、摘出手術を受けたところ、それまで2年間続いていたしゃっくりが改善されたという例もあります。原因疾患に対する治療においては、手術療法や薬物療法だけでなく、生活習慣の見直しも欠かせません。時には、食生活を変えるだけで改善に向かうこともあるので、医師と相談しながら無理なく生活を整えていくことが大切といえるでしょう。なお、難治性のしゃっくりに対し、神経ブロック注射や手術を行ったという報告がありますが、効果に比べて高いリスクを伴うため、適応は慎重に判断するべきでしょう。

予防/治療後の注意

短時間のしゃっくりは突発的に起こることがほとんどのため、明確な予防方法はありません。「たくさん食べたり、アルコールを飲んだりするとしゃっくりが出る」など、自身の傾向を自覚している場合は、食事や生活習慣を見直すと良いでしょう。また、慢性や難治性の場合は、原因を見つけて治療し、生活習慣の見直しを図ることも忘れないようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

茨城県民生活協同組合 友愛記念病院

救急科部長 近藤 司 先生

1990年筑波大学医学群卒業後、筑波大学麻酔科へ入局。土浦協同病院救命救急センター、聖路加国際病院救命救急センター、藤田保健衛生大学(現:藤田医科大学)救急総合内科などでの勤務を経て、2017年4月より現職。専門は麻酔科学、救急医学、集中治療医学。日本麻酔科学会麻酔科専門医、日本救急医学会救急科専門医。医学博士:吃逆の反射弓に関する研究(東邦大学)。 近藤医師の外来は2004年から開設しており、全国から紹介患者が訪れている。近藤医師の外来を受診する際は紹介状と予約が必須。