全国のドクター9,301人の想いを取材
クリニック・病院 161,131件の情報を掲載(2020年10月26日現在)

  1. TOP
  2. 症状から探す
  3. 不整脈があるの原因と考えられる病気一覧
  4. ブルガダ症候群
  1. TOP
  2. 血液・血管の病気一覧
  3. ブルガダ症候群
031

こちらの記事の監修医師
東京医科大学八王子医療センター
副院長/循環器内科科長/教授 田中 信大 先生

ぶるがだしょうこうぐんブルガダ症候群

概要

ブルガダ兄弟によって報告された、発作が起こると心室細動(心臓が細かく震え、規則的な拍動を失うことで、全身に血液を送れなくなる状態)になる疾患。東洋人の男性に多く、心室細動の発作が起きると、意識を失う、睡眠中なら呼吸がおかしい、などの症状が見られるが、一過性であれば自然に回復することもある。しかし、心室細動が止まらなかった場合は、死に至ることも。これまでに心肺停止などが起こった場合はハイリスクな「症候性ブルガダ症候群」として扱われるが、ほとんどの場合は自覚のない「無症候性ブルガダ症候群」で、定期検診の心電図検査などで特徴的な波形が見つかることが多い。

原因

心筋(心臓のほとんどを構成する筋肉)の細胞には、イオンチャネルというイオンの通り道があり、ナトリウムならナトリウムのみ、カルシウムならカルシウムのみを選択してタイミング良く開閉することで、心臓を規則正しく収縮させ、心臓が体の隅々へと血液を送り出すポンプの役割を果たせるようになっている。ブルガダ症候群の患者には、この開きにくく閉じにくい性質を持ったイオンチャネルの遺伝子変異があると報告されており、特にSCN5A(ナトリウムを選択的に通すイオンチャネル)の異常が20%程度見られ、さらに突然死した血縁者がいるケースが多いことから、ブルガダ症候群には遺伝子の先天的な異常が関わっていると考えられている。また、30~50歳代のアジア人男性に多いともいわれており、男女比が9:1であるため、男性ホルモンとの関連性も指摘されている。

症状

心筋梗塞や心不全といったはっきりとした原因がないにも関わらず、心臓が細かく震えてけいれんし、全く動くことができなくなる心室細動という不整脈がいきなり起こる。心室細動が起こると心臓がポンプの役目を果たせず、全身に血液を送ることができなくなるため、意識を失ったり、けいれんを起こしたり、呼吸がおかしくなったりという症状が現れる。夜、寝ているときに発作が起こることが多いのも特徴で、一過性であれば自然に元通りの脈拍に戻るが、心室細動が止まらなかった場合は、突然死に至ることもある。これまで「ぽっくり病」と呼ばれていた「普通に生活を送っていた元気な人が朝起きて来ないので、家族が見に行くとすでに死亡していた」というケースのうちかなりの割合が、ブルガダ症候群だったのではないかと考えられている。

検査・診断

心電図に加えて、坂道を登る・急ぎ足で歩くといった行動中に現れる動悸・息切れ・胸痛などを再現したときの心電図の変化をチェックする運動負荷心電図、通常の心電図では記録できない小さな信号を記録する加算平均心電図、超音波を使って心臓の血液の流れなどを観察する心エコーといった検査が用いられることが多い。必要に応じて、24時間にわたって心電計を付け、入浴や食事などの日常生活の中での心電図の変化と、不整脈が起こっていないかをチェックする。これらの検査で異常があれば、入院した上で薬剤負荷検査などの精密検査を行う。また、発症には遺伝子が関わっているとも考えられているため、血縁者に突然死をした人がいるかどうかの聞き取りも重要だ。

治療

対症療法として、不整脈の発作が起きた場合は、AED(自動体外式除細動器)で電気ショックを与えて、心臓のリズムを正常な状態に戻して、全身に血液を送り出すポンプとしての機能を復活させる。また、有効とされる薬剤はあるものの、致死性の不整脈の発作を完全に予防できるとは限らないため、突然死を予防する目的で、今までに心停止や心室細動を起こしたことがある患者や、将来心室細動が起こるリスクが高い患者に対しては、致死性の不整脈を感知すると電気ショックを発生させて心臓のリズムを正常に戻す小型のペースメーカー「ICD(植え込み型除細動器)」を、鎖骨の下に植え込む手術を行うこともある。ICDを植え込むことで不整脈による突然死はほぼ防げるが、定期的な外来通院と数年ごとの電池交換が必要。さらに、発作の回数を減らすための補助的な治療として、内服薬の服用や生活習慣の指導も併せて行うことが多い。

予防/治療後の注意

ICDを植え込んだ直後は、自動車の運転は原則禁止となり、電磁波の影響を受けない日常生活を送る必要がある。また、飲酒後・食後に不整脈の発作が起こりやすくなる場合があるため、禁酒や腹八分目を心がけることも重要だ。熱が出ると発作が起きやすくなるという報告もあり、早めに解熱剤を飲むことも推奨される。さらに、抗うつ薬やナトリウムチャネル遮断薬といわれる薬は、ブルガダ症候群を悪化させるという指摘もあるため注意が必要。

031

こちらの記事の監修医師

東京医科大学八王子医療センター

副院長/循環器内科科長/教授 田中 信大 先生

1989年東京医科大学医学部卒業。東京医科大学病院、神戸市立中央市民病院などを経て2007年オランダ・カタリーナ病院に留学。 帰国後は東京医科大学病院へ。2015年八王子医療センターに赴任。2016年より循環器内科教授、2017年副院長に就任。日本循環器学会循環器専門医。