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こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター 大森病院
瓜田 純久 病院長

ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきんかんせんしょう(おーいちごなな)腸管出血性大腸菌感染症(O‐157)

概要

毒力の大変強い「ベロ毒素」という毒素を産生する大腸菌による感染症。特に、乳幼児や小児、高齢者に感染してしまうと、抵抗力が弱いため、腎機能や神経学的障害などの後遺症を引き起こす可能性の極めて高い溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を併発してしまうこともある。腸管出血性大腸菌(O-157など)に汚染された食べ物などの摂取が原因で、井戸水やサラダ、生レバー・ユッケなどの生肉から感染することが多い。また、食中毒が多発する夏季は、感染する確率が高くなるが、気温の低い季節でも感染しているので注意は必要である。特に夏場は、小児が発症するケースが多い。

原因

主に、菌が口から入ることが原因で腸管出血性大腸菌(O-157など)に感染する。感染する経路は主に2パターンあり、菌に汚染された食品を口にしてしまった場合と、すでに腸管出血性大腸菌(O-157など)に感染している患者からの二次感染だ。食品から感染する場合は、牛肉及びその加工品、サラダ、白菜漬け、井戸水等から感染したケースが過去に見られている。特に生肉(レバーやユッケ)からの感染例は多い。生肉だけでなく、牛たたき、ローストビーフなど生に近い状態で口にする食品も原因となっている。患者からの二次感染の場合、その患者が調理をすることで食べ物自体に菌が付着してしまうほか、タオルを共有したり、お風呂などを介して感染する可能性も十分にあり得る。少数の細菌数で感染が成立しやすいため、家族の1人が感染してしまうと要注意である。

症状

数日間(一般的に3〜8日間と言われている)の潜伏期間の後、激しい腹痛を伴いながら、水溶性の下痢や血便を生じる。血便は、水っぽい下痢の後に出ることが多い。潜伏期間は無症状であることが多いため、その間に他者にうつしてしまう可能性もある。発症すると、最初は腹痛と下痢が起こる。発症して3日目ぐらいからは、腹痛に激しさが増し、出血する。これは、ベロ毒素によって大腸の粘膜が傷つけられて起こる症状である。さらに重症化してしまうと、溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こしてしまい、腎臓障害や神経障害を誘発してしまう場合がある。

検査・診断

医療機関でまず行うのは、便の細菌検査である。便にO-157がいるかどうかを調べるためだ。ベロ毒素の検出、病原体の種類の確認も行う。下痢が長引いたり、血便が出ていたりする場合には、溶血性尿毒症症候群が起こっている可能性もあるため、尿検査や血液検査で腎機能、血尿の有無もチェックする。便を用いてO-157抗原またはベロ毒素の検出するための便中抗原検査を行う。さらに培養検査でO-157を発見し、ベロ毒素をつくっていることが判明ると、O157感染症であると診断する。血液検査では、赤血球や白血球、血小板の数を調べる。さらに、腎臓や肝臓の機能が低下していないかどうかも検査する。

治療

腸管出血性大腸菌(O-157など)に感染してしまった可能性がある場合は、必ず医師の診断を受ける。対症療法としては、整腸剤を使用し、水分補給、安静を心がけることが主である。これは、一般的な下痢の症状の際の対処と同じ治療法である。細菌自体ではなく毒素が問題なので、抗菌薬を使用しても効果が見込めない。また、下痢止めの薬や痛み止めを使用したくなってしまうが、これらの薬は、毒素が体外に排出されにくくなるため、自分だけの判断での服用は避けるべきだ。溶血性尿毒症症候群を合併した場合は、血液透析や血漿(けっしょう)交換療法(血液を血球と血漿成分に分離した後、病気の原因物質を含む血漿を廃棄し、それと同じ量の健常な血漿を入れて置き換える治療法)などの積極的な治療が必要となる。症状によっては抗菌薬が処方されるケースもある。

予防/治療後の注意

食品を十分加熱すること、調理後の食品は食べきること、調理時に手指をよく洗うことで予防が可能。特に生野菜などはよく洗うようにする。牛肉などの食肉は十分に加熱することが大切である。中心部を75℃で1分以上の加熱が目安だ。ほとんどの菌は加熱によって死滅するため、肉や魚はもちろんのこと、野菜も加熱することで安心して食べることができる。家族に発症した患者がいる場合は、下痢などで汚れてしまった下着等の取り扱いに十分注意することで、二次感染を防ぐことができる。ほかにも、浄水器を使用するなど、体内に取り込むものには十分注意する。

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こちらの記事の監修医師

東邦大学医療センター 大森病院

瓜田 純久 病院長

1985年、東邦大学医学部卒業。関東労災病院消化器科を経て、地元青森県で瓜田医院を開業。東邦大学医療センター大森病院総合診療・救急医学講座教授、院長補佐、副院長などを経て2018年より現職。専攻は内科学、総合診療医学、機能性消化器疾患、内視鏡医学、超音波医学、栄養代謝など。