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こちらの記事の監修医師
脳神経内科部長 大野 英樹 先生

いっかせいぜんけんぼう(てぃーじーえー)一過性全健忘(TGA)

概要

一過性全健忘とは頭の外傷を原因とせずに、一時的に新たな記憶ができなくなる状態をいう。自分や家族の名前、職業、年齢などは覚えているが、今自分がどこにいて何をしているのかがわからなくなることが主な症状。発症している間は、自分がしていることを記憶することもできない。そのため、周囲に自分が何をしているのかをしつこく尋ね続けたことで一過性全健忘が発覚することも。通常24時間以内に症状から回復するが、回復後も発症中のことは思い出せないことがほとんど。再発することは少ないが、脳梗塞やてんかんなど他の重大な病気が隠れていることもあるので注意が必要。中年以降の男性が発症するケースが多い。

原因

一過性全健忘は海馬という大脳側頭葉にある記憶や学習能力に関わる脳器官の機能が一時的にショートしたことで発症すると考えられているが、詳しいメカニズムはわかっていない。アルコールの過剰摂取や特定の薬・鎮静薬の服用、違法薬物の使用、精神的・肉体的なストレス、急な感情の高まり、性交渉などをきっかけに一過性全健忘を発症することがある。脳細胞の異常な活動のために、けいれんや失神などの発作を来す神経疾患「てんかん」や、血液量が少なくなったり血管が詰まったりすることで十分な血液が流れなくなってしまう「脳虚血」、頭の一部がずきんずきんと激しく痛む「片頭痛」、血液内の酸素量が少ない状態になる「低酸素症」などの病気によって引き起こされることも。

症状

何の前触れもなく、直近数時間の出来事についての記憶を喪失することが主な症状。自分や家族の名前などはわかるが、今日何をどのようにしていたか、今自分はここで何をしているのかなどがわからなくなる。発症中はその時自分がしていることや状況などを記憶することもできない。そのため、周囲の人から状況をいくら説明されても理解できず、同じ質問を何度も繰り返してしまう。また、自分の置かれている状況がわからなくなるため、不安が増して興奮状態に陥ることがある。記憶がなくなること以外では脳機能障害は見られず、しびれやまひなどが出ることはない。ほとんどの場合、症状は24時間以内に消失する。

検査・診断

症状から診断基準に基づいて診断される。問診ではてんかんや生活習慣病などの持病や、脳梗塞の病歴、手足のしびれなどほかの脳機能障害の有無などを確認。また、発作中は患者本人の記憶がほとんどないので、家族や友人、同僚など周囲からの聞き取りも行う。合わせて脳梗塞やてんかんなどほかの疾患による症状でないことを確認するため、頭部CTやMRI検査、脳波(脳が出している特殊な電気信号)検査、脳血流検査などを実施。頭部CTやMRI検査は虚血や脳梗塞がないかを確認するために、脳波検査はてんかん発作と区別するために行うことが多い。

治療

24時間以内に自然回復することが見込まれるため、通常は特に治療を行わない。入院するかどうかは状況により判断する。ただし、脳梗塞(脳の一部に十分な血液が流れなくなってしまうこと)またはてんかんによって一過性全健忘が起こっている場合は、治療が必要。

予防/治療後の注意

感情の高まりや強い緊張などで発症することがあるので、強いストレスをためないことが重要。また、過剰なアルコール摂取を控え、スポーツをする際はストレッチやウォーミングアップするように気をつける。再発することは比較的少なく、これがきっかけで完全な健忘症や認知症になることはまれだ。だが、てんかんや脳血管障害など他の疾患が隠れていないかを確認するために、一度専門家のもとで検査を受けることが望ましい。

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こちらの記事の監修医師

東京都済生会向島病院

脳神経内科部長 大野 英樹 先生

脳神経内科を専門分野とし、脳卒中診療のスペシャリストであるとともに、末梢神経疾患にも精通。日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医。