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習志野第一病院 三橋 繁 院長

こちらの記事の監修医師
習志野第一病院
三橋 繁 院長

だいたいこっとうえし大腿骨頭壊死

概要

大腿骨は脚の付け根から膝までの太ももの骨で、付け根の部分は股関節、対側では膝関節を形作っている。股関節部分から膝に向かって骨頭、頚部、転子部、転子下、と部位が分かれている。大腿骨頭壊死とはこのうちの骨頭の血流が途絶えて壊死した状態である。壊死した部分は生きた骨の持つ修復能力がないため、壊死の範囲が大きかったり部位が悪かったりするとしばらくして形がつぶれてしまい、強い痛みを出すことがある。このように症状が出た状態を大腿骨頭壊死症という。大腿骨頭壊死を生じる原因がはっきりしたタイプを二次性(続発性)大腿骨頭壊死と呼び、はっきりしないタイプを特発性大腿骨頭壊死と呼ぶ。特発性大腿骨頭壊死症は難病指定されている。

原因

大腿骨頚部骨折などの大腿骨頭への血流が変化してしまう外傷、放射線治療、減圧症(潜水の後に血管内に気泡が生じる病気)などがある。そのほかに特発性大腿骨頭壊死があり、多量長期間の飲酒、副腎皮質ステロイドの大量使用、狭義の特発性(原因がわからない)の3つがあると考えられている。

症状

大腿骨頭壊死部分がつぶれてしまうとつぶれた骨頭周囲に出血や浮腫が生じて強い痛みが生じる。立ち上がり動作や歩行時に体重をかけたときに痛みが出たり、安静時にも痛みが続いたりすることがある。この痛みはつぶれた部分に対する血流がある側の骨からの修復で徐々に軽減することが多いが、血流のない部分の修復は生じないので、いずれ同様の強い痛みを生じ、これを繰り返しながら股関節の変形や障害が進んでしまうことが多い。

検査・診断

大腿骨頭壊死症が進行してしまえば、エックス線検査で比較的容易に診断が可能であるが、初回の潰れがわずかに起こった状況などでは骨の反応も見えにくく、診断できないことがある。MRIでは壊死範囲や周囲の浮腫などの状況が把握でき、早期診断にも有効。放射線同位元素を注射して特殊なカメラで撮影する骨シンチグラフィーを行うこともある。

治療

骨頭に血流がなくなってしまった状態であるため、薬剤による改善は見込みにくく、治療は手術治療が中心となる。骨頭の体重を支える部分をずらすことで症状がなくなる可能性があれば、骨を切ってずらす手術(骨切り手術)が行われることがあるが、手術が難しかったり、回復に時間がかかったりすることがあるため、十分な相談のもとに行われる。高齢者や、体力の不安がある場合は人工関節などの治療が選択されることが多い。手術のタイミングを遅らせるための生活指導、例えば減量や股関節を安定させるための筋力トレーニング、杖や運動の制限などのアプローチは有効である。

習志野第一病院 三橋 繁 院長

こちらの記事の監修医師

習志野第一病院

三橋 繁 院長

1992年千葉大学医学部卒業後、同大学の整形外科に入局。2001年から米国Anderson Orthopedic Institute に研究員として留学し、人工関節手術の研鑽を積む。2016年から現職。東邦大学医学部の客員講師として難症例の治療にも携わる。日本整形外科学会整形外科専門医。