
こちらの記事の監修医師
医療法人社団哺育会 浅草病院
内科部長 古川 俊行 先生
しょっくショック
最終更新日:2022/01/06
概要
何らかの原因によって血圧が急激に低下し、さまざまな障害が起こる急性の症候群のこと。全身の臓器や組織に十分な血液が届かなくなってしまうため、臓器の機能障害や意識障害などが起こり、瀕死の状態に陥ることも。血圧が通常時より大幅に低下すること自体を「ショック」と呼ぶことも多いが、明確な基準があるわけではない。近年は、収縮期血圧90mmHg以下への低下を指標とするケースも多くなっている。また、大きく4つに分類され、「循環血液量減少性ショック」や「心原性ショック」、「心外閉塞・拘束性ショック」、「血液分布異常性ショック」がある。
原因
ショックを引き起こす原因はさまざま。「循環血液量減少性ショック」は、大量の出血や脱水、外傷、熱傷などにより、全身の血液や体液の量が減少してしまうことで起こる。また、「心原性ショック」は、心臓機能の障害によって心臓のポンプ機能が低下することが原因。例えば、急性心筋梗塞や弁膜症、不整脈、心筋症などの病気から引き起こされる。一方、心臓以外の臓器の障害により、心臓のポンプ機能が低下することで発生するのが「心外閉塞・拘束性ショック」。心タンポナーデや収縮性心膜炎、肺塞栓、緊張性気胸などの病気が原因となっている。そのほか、「血液分布異常性ショック」は、敗血症やアレルギー(アナフィラキシーショック)、感染症、骨髄損傷による自律神経機能の低下などによって血管が拡張してしまい、血管内容量が足りなくなることが原因。中でも、敗血症によるショックが最も多いといわれている。
症状
血圧が大幅に低下することにより、全身の臓器や組織に十分な血液が送られなくなってしまう。例えば、脳や腎臓への血液供給が不十分なことから、意識障害や尿量の減少が起こるなど、さまざまな障害が発生することに。典型的な症状としては、顔面や手足の蒼白、頻脈、冷や汗、虚脱、呼吸不全など。発症後、すぐに治療を行わないと、複数の臓器の機能が低下する多臓器不全が引き起こされ、命を落とす危険性もある。また、ショックの分類によって、症状が異なることも。具体的には、敗血症に伴う「血液分布異常性ショック」では顔面が紅潮したり、アナフィラキシーショックでは湿疹などの皮膚症状が現れたりする。
検査・診断
まずは、意識障害があるかどうかをチェック。続いて、血圧や心拍数、体温、尿量などを測定していく。とはいえ、健康状態や持病の有無、ショックを引き起こした原因などにより、診断方法は変わってくるのが特徴。例えば、基本的には、収縮期血圧が90mmHg以下の場合はショック状態にあると診断されることが多いが、健康なときでも収縮期血圧が90mmHg以下の人は該当しない。また、収縮期血圧が90mmHg以上であっても、普段は高血圧の人で通常の血圧より30mmHgの低下が見られる場合などは、ショックと診断されることも。そのため、顔面蒼白や冷や汗など、全身の状態なども確認した上で、総合的に判断していく。
治療
ショックは放置しておくと命を落とす危険性があるため、迅速に治療を進めなければいけない。ショックを引き起こした原因によって、治療方法は変わってくる。例えば、大量の血液や体液の喪失によるショックの場合、輸液や輸血をしていくことに。併せて、止血のための治療も迅速に進めていく。また、心臓のポンプ機能が低下している場合は、薬剤の投与や血圧を上昇させるための処置などを行う。そのほか、感染やアレルギーが原因の場合は、それらに対する治療も施していく。
予防/治療後の注意
ショックは死亡率が高い病気。例えば、心筋梗塞に伴う「心原性ショック」の死亡率は非常に高く、敗血症に伴う「血液分布異常性ショック」の死亡率も高いといわれている。発症した場合は、適切な治療を直ちに始めないといけない。

こちらの記事の監修医師
内科部長 古川 俊行 先生
1998年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、東京医科歯科大学第1内科に入局。東京医科歯科大学大学院、イタリアのラバーニャ病院失神・不整脈科、聖マリアンナ医科大学(准教授・失神センター長)などでの勤務を経て、2022年より現職。専門は失神・不整脈。
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