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東京都立小児総合医療センター 本田 雅敬 先生

こちらの記事の監修医師
東京都立小児総合医療センター
本田 雅敬 先生

あいじーえーけっかんえん(へのっほ・しぇーんらいんしはんびょう)IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)

概要

体のさまざまな部位に、内出血のような紫色の斑点「紫斑」ができること。初期症状として紫斑や点状出血が現れた後に、腎炎や腹痛、関節痛などの症状が出てくることも。10歳以下の子どもに多く、4~7歳頃が発症のピークといわれている。秋から冬に発症することが多く、上気道感染が先行することが多い。体にウイルスや細菌などの異物が侵入してきたときに生み出される抗体「IgA」が関係しているとされるが、はっきりとした原因はわかっていない。ほとんどの場合、特別な治療をしなくても、自然と治癒していく。とはいえ、まれに腎不全や腸重積などに陥ることもあるため、注意しなければいけない。以前はヘノッホ・シェーライン紫斑病あるいは血管性紫斑病などと言われていた。 

原因

詳しい原因はわかっていない。何らかの要因によって、IgAという抗体が全身の血管の壁に付着し、血管に炎症を引き起こすことが原因と考えられている。また、β-溶連菌やマイコプラズマ、水痘麻疹風疹、アデノウイルス感染、薬剤アレルギーなどが誘因となることもあるとされる。特に30〜50%はβ-溶連菌感染症後に起きる。 

症状

初期の症状として、盛り上がった紫斑や点状出血などが、脚のすねやおしり、足の甲、腕などに見られるケースがほとんど。同時に、膝関節や足関節などがズキズキと痛んでくる関節痛をはじめ、突然の激しい腹痛や嘔吐、下痢、血便などの消化器症状、腎臓病など、さまざまな症状が現れてくるのが特徴。人によって、どのような症状が出てくるかはわからない。場合によっては、紫斑や点状出血が顔や上肢などに広がったり、自覚症状がほとんどないまま症状が進行したりすることも。関節痛は半数から3分の1、腹痛は20〜30%、腎臓病は20〜50%に合併する。腸重積(腸が折りたたまれて重なり合い、閉塞してしまう病気)を併発し手術や処置が必要になることがあり注意を要する。初期症状から1ヶ月以内に腎臓病を発症することもあり、治ったと思っても注意する必要がある。腎臓病はタンパク尿によって血液のタンパクが減るネフローゼ症候群や、腎機能低下がある場合は末期腎不全になることもあり注意を要する。 

検査・診断

まず、IgA血管炎の特徴となる下肢に多く触知できる紫斑の有無を診断。他の紫斑の原因(血小板減少や凝固異常)を除外した上で、激しい腹痛や関節痛などの自覚症状や尿異常(タンパク尿や血尿)がないかを確認していく。通常紫斑に上記症状の一つがあれば診断するが、まれに似たような皮膚症状が現れる他の病気(過敏性血管炎、ANCA関連血管炎、クリオグロブリン血症性血管炎など)もあり、見分けをつけることも必要である。尿蛋白や尿潜血がないかなど、腎臓の異常を確かめるために、尿検査を行う。また、血液が混ざった便がでるなど、腸重積や血便などが疑われる場合には、便検査や腹部超音波(エコー)検査を併せて実施する。典型的でない場合は皮膚や腎臓の生検で診断することもある。紫斑が後で現れて腹痛の症状だけの場合は、虫垂炎などが間違えて疑われることもある。 

治療

IgA血管炎は予後良好な病気として知られており、ほとんどの場合は自然に治癒していく。そのため、何よりも安静にしていることが基本となる。なお、紫斑や点状出血などの皮膚の症状だけでなく、関節痛が強いときには鎮痛薬を使用し、腹痛が強いときは腸管を休め輸液などで様子を見るが、より強いときには副腎皮質ステロイドを使用する。腸重積があるときは整復術や手術を行う。腎症が重い場合はステロイドや免疫抑制薬を使用する。また、初期症状からしばらく経って腎炎などを発症することもあるため、定期的な診察や検査を行っていくことがポイント。腎臓病が重症化した場合は、腎臓専門医の元で早期に治療に取り組んでいくことが非常に重要となる。

予防/治療後の注意

完治した後でも、約3分の1に再発し、4ヶ月以内が多い。「新たな紫斑や点状出血が皮膚にできた」「前回と同じように、膝関節や足関節などの大きな関節がズキズキと痛む」など、何らかの異常が見つかった場合は、早めに受診することが大切になる。また再発と同時に腎臓病の発症や悪化もあるので注意する必要がある。その他、定期的に尿検査も行っていくこと。 

東京都立小児総合医療センター 本田 雅敬 先生

こちらの記事の監修医師

東京都立小児総合医療センター

本田 雅敬 先生

1976年慶応義塾大学医学部卒。専門は小児腎臓病、小児透析。1986年に小児PD研究会を設立、1997年には小児難治性腎疾患治療研究会を立ち上げる。2011年に東京都立小児総合医療センター副院長、2014年に東京都立小児総合医療センター院長に就任。現在は厚生労働省・文部科学省などで 小児施設から成人施設への移行医療、小児腎臓病の早期発見や治療に関する啓発などを行っている。