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昭和大学病院附属東病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 診療科長 山岸 昌一 先生

こちらの記事の監修医師
昭和大学病院附属東病院
糖尿病・代謝・内分泌内科 診療科長 山岸 昌一 先生

あじそんびょうアジソン病

概要

免疫反応などに関わるコルチゾールやアルドステロン、アンドロゲンといった副腎皮質ホルモンの分泌が、慢性的に生体の必要量以下に低下する慢性副腎皮質機能低下症。そのうち、特に副腎皮質自体の病変による原発性のものをアジソン病と呼ぶ。1955年にイギリスの内科医師トーマス・アジソンが発見したことからその名がつけられた。主な原因は、結核を代表とする感染症や、自己免疫疾患、がんの転移など。指定難病。ちなみに、続発性の副腎皮質機能低下は、さまざまなホルモンの働きをコントロールする下垂体の副腎皮質刺激ホルモンの分泌不全によって起こる。

原因

糖分をエネルギーに変えるために必要なホルモン「コルチゾール」、水分やナトリウム、カリウムの体内バランスを整えるホルモン「アルドステロン」、筋肉量や性欲に関与する性ホルモン「アンドロゲン」といった副腎皮質で産生されるホルモンが低下することで起こるアジソン病。このホルモンが正常に働かなくなる原因には、ウイルス・細菌による感染症、または自己免疫異常の関与が指摘されている。以前は結核感染によって発症するケースが多かったが、それは徐々に減少し、真菌性の感染症や後天性免疫不全症候群(AIDS)を原因とするケースが増えてきた。また、自己免疫異常を原因とする場合は、自分の副腎皮質を異物として認識し攻撃することでホルモンが正常に分泌されなくなって発症。自己免疫異常には、遺伝子の関与も指摘されている。そのほか、がん細胞の転移や副腎皮質の出血によって発症することも。

症状

症状の出方には個人差があるが、ホルモンが減少したことでまずは食欲不振、全身の倦怠感、体重減少といった症状が現れ、徐々に進行していくことが多い。初期や軽度の段階では、なんとなく元気がない、やる気が出ないといった程度の症状なので見過ごされることも。病気が進行すると、顔や肘、膝、爪床(爪の下にある皮膚)にできる黒い斑点や、乳首や口、陰嚢などにできる青い斑点などアジソン病に特徴的に見られる色素沈着が起こる。そのほか、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状、無気力感や不安感、うつなどの精神症状、筋力低下、起立性低血圧、筋肉痛、低血糖、脱毛などさまざまな症状が出現する。

検査・診断

副腎皮質ホルモンの低下や症状の原因を突き止めるために、血液検査や尿検査、CT・MRIなどを用いた画像検査、ホルモン値測定などを行う。血液検査では、血液中の副腎皮質ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの値を、尿検査では尿中に含まれる副腎皮質ホルモンの代謝産物の値を確認する。通常の採血のほか、副腎皮質ホルモンを増やすホルモンのACTHを注射した後に採血する方法がある。画像検査では、腹部CT検査やMRI検査で副腎の腫瘍の有無や、出血、石灰化などを調べる。そのほか、電解質異常を確認したり、副腎皮質に対する抗体検査を行ったりすることも。

治療

副腎皮質ホルモン(ステロイド)を症状に合わせて内服や注射、点滴によって補充することが主な治療となる。重症化して急性副腎不全などを起こしている場合には、ステロイドの量を増やすほか、水分や糖分、塩分などの補充も行う。アジソン病になると副腎機能が回復することはほとんどないので、一生薬を飲み続けてホルモンをコントロールする必要がある。治療が軌道に乗り、症状が落ち着いた後も、薬を急に中断したり、発熱などのストレスにさらされたりすると、急性副腎不全(副腎から出るステロイドホルモンの分泌が急激に低下した状態。副腎クリーゼともいう)を起こして重篤な状態に陥るリスクがある。口頭で自分の情報を伝えられないほど症状が急激に悪化した場合に備えて、アジソン病や常用している薬などについて記載したカードを持ち歩くなど、リスク管理をすることも大切。

予防/治療後の注意

副腎皮質の機能は回復することはないが、ホルモン補充療法など適切な治療を続ければ、予後は比較的良好で問題なく日常生活を送れるようになる。ただし、ホルモン補充薬の服用を止めたとたんに症状がぶり返したり、ショック死をしたりすることもあるため、治療を自己判断で中断しないことが大切。また、発熱やストレス、疲労によって悪化することも。日ごろから生活を整えてストレスをためないようにし、体調が優れないときはすぐに担当医に相談を。

昭和大学病院附属東病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 診療科長 山岸 昌一 先生

こちらの記事の監修医師

昭和大学病院附属東病院

糖尿病・代謝・内分泌内科 診療科長 山岸 昌一 先生

1989年金沢大学医学部卒業。1993年 金沢大学大学院医学研究科博士課程修了。久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学講座教授を経て2019年より現職。長年、糖尿病をはじめとする代謝内分泌疾患の管理、治療に携わる。