板家 隆 院長、板家 智 副院長、板家 朗 先生の独自取材記事
いたや小児歯科大人歯科医院
(北九州市小倉北区/城野駅)
最終更新日:2025/10/30
1985年小倉北区で開業し、長年子ども専門の歯科医院として親しまれてきた「板家小児歯科医院」。虫歯予防に加えて、障害や病気などの事情から特別なケアが必要な子どもの診療にも力を注ぎ、地域の子どもたちが安心して歯科治療を受けられるように環境を整えてきた。ともに日本歯科専門医機構認定小児歯科専門医である板家隆(いたや・たかし)院長と長男の板家智(いたや・さとし)副院長に加え、次男の板家朗(いたや・あきら)先生、女性歯科医師2人が加わり、常勤歯科医師が5人という体制に。クリニック名も「いたや小児歯科大人歯科医院」へ刷新し、子どもから大人まで診療できるクリニックに生まれ変わった。旧クリニックの斜め向かいに移転した新クリニックで、隆院長、智副院長、朗先生に、今後の展望などたっぷりと話を聞いた。
(取材日2025年9月9日)
マイナス1歳から100歳までを診る歯科医院
院長先生は、長年小児歯科に専門的に携わられてきたとお聞きしました。

【隆院長】大学病院の小児歯科、矯正と小児歯科を専門とするクリニックに勤めた後、1985年に生まれ育った小倉で、子ども専門の歯科医院を開業しました。小児歯科専門医として予防を中心とした子どもの診療をしたいという思いがずっとあったのです。一般歯科診療をしながら小児歯科も対応するクリニックはたくさんありましたが、小児専門は少なかったと思います。開業時に近隣の歯科医院にあいさつに回り、「初診患者の多くは0歳から3歳くらいまでになる見込み」と話すと、誰も信じてくれませんでした。今でこそ予防への意識が社会全体に浸透していますが、当時小児歯科といえば、小学生の虫歯を削ったり抜いたりして治療するのが一般的な考え方でしたから。
2022年に体制変更し、子どもから大人まで対応できる歯科医院になったそうですね。
【隆院長】2020年に長男が、2022年には次男と女性歯科医師2人が加わり、現在は常勤歯科医師5人となりました。小児歯科専門医3人で小児歯科を、朗先生と女性歯科医師の2人で大人の診療を担当し、月に1度矯正の治療を専門に行う先生を招聘し、診療領域の幅を広げました。特に大人の診療では歯周病予防やホワイトニングなど、これまで要望をいただきながら十分に応えられなかった分野にも対応できるようになったことが大きな変化です。小児期から成人期、高齢期まで、一人の患者さんを生涯にわたって見守れる体制が整い、親子やご家族で安心して通える歯科医院へと発展できたことをありがたく思っています。今後も「子ども専門」から「家族全員のかかりつけ」へと進化を遂げていきたいと考えています。
新しいクリニックづくりでこだわったのはどんなところですか?

【智副院長】待合室も診療室も大人用と子ども用に分かれています。子ども用の診療室は、小児歯科に特化した診療室で、きょうだいや親子で来院した場合にも安心して治療を受けられるよう、2台チェアを並べた診療室もあります。大人用の診療室はすべて個室です。1人あたりの診療室のスペースを大きく取り、ゆったりと治療を受けられるようにしています。また、自閉症などで音に過敏なお子さんのために防音室も作りました。キッズスペースは、子ども用の待合室、診療室、屋外の計3ヵ所に設けています。
コミュニケーションを軸に、歯科医療を提供していく
大人の歯科診療における特徴を教えてください。

【朗先生】世の中には歯科に関する情報がたくさん出回っていますが、それがそのまま自分に当てはまるとは限りません。口の中の状態には人それぞれ違いがあり、治療に決まった答えがあるわけではないのです。なので、実際に状態を確認しながら「どこまで治療をするのか」「どこはあえて治療しなくてもいいのか」を相談し、一緒に判断していくことを大切にしています。大事なのは現状をしっかり把握し、自分の口の健康を自分でコントロールしていただくこと。そのハンドリングをお手伝いするのが、私たちの役割だと考えています。もちろん状態が悪くなってから来院された場合でも、そこから改善に向けてのケアや選択肢を一緒に考えていくことが可能です。幅広い診療に対応しながらも、特に「現状を把握し、維持したい」「より良い歯にしていきたい」と願う方に寄り添える診療を心がけています。
朗先生は、医療コミュニケーションや意思決定など、人間の内面に関する研究に携わられたそうですね。
【朗先生】今の時代、医歯学的な論文に誰でもアプローチできますし、テレビやインターネットですぐに情報を手に入れることができます。ですが、得た情報を実生活に落とし込むのは思いのほか難しいのではないでしょうか。これからの時代は医歯学的な必要性と患者さんが感じている必要性を合致させていくことが大事と考え、研究をしてきました。実際の診療にあたっては、患者さんの背景や求めていることに配慮することを心がけています。長持ちする治療をしてほしい、見た目にこだわりたいなど、人によってゴールが違います。それぞれのゴールをめざすための橋渡しができる存在でありたいですね。患者さん自身が自分の状況をコントロールするという意識を持っていただくことが、お口の健康を長く保つために大事だと思うからです。
患者さんに主体的に治療に向き合っていただくために、大切にされていることはありますか。

【朗先生】診療中は予期せぬことが起こる場合もありますが、多くは事前に想定できるものです。そのため、どのような大変さがあるかをあらかじめ説明し、患者さんに理解していただくことを大切にしています。「ここは頑張らなければいけない場面ですよ」と率直に伝えることもありますね。私たちの役割は、いくつもの選択肢を提示し、その中から患者さんが納得できる道を選べるようにサポートすること。歯科医師任せの治療ではなく、患者さん自身が自分の状況を理解し、主体的に判断できるよう後押しすることが、最終的に望むゴールに近づくために欠かせないと考えています。
生涯にわたる口腔管理をめざして
マイナス1歳から100歳まで対応する、とはどういった意味でしょうか?

【隆院長】マイナス1歳とは、妊娠期からということですね。当院では妊産婦さんを対象とした歯科検診を行っていますし、産科に赴いて妊娠期からお口の健康を意識することの大切さをお話ししたり、相談に乗ったりもしています。これまで非常勤の女性歯科医師はいましたが、常勤の歯科医師は男性のみでした。当院では、子育て経験をしている女性歯科医師もいるので、今まで以上にお母さんの気持ちに寄り添った診療ができるのではないでしょうか。
今後、力を入れて取り組みたい治療などはありますか?
【朗先生】今後はインプラント治療にも力を入れていきたいと考えています。インプラントは、失ってしまった歯を補うための大切な選択肢の一つで、しっかりとした治療を行えば長持ちさせることが見込めます。ただし、どの方にも同じ方法を適用できるわけではなく、骨の状態や残っている歯の状態などを丁寧に確認する必要があります。また、土台となる骨の安定性がとても重要です。場合によっては骨を増やすための処置を行い、インプラントがしっかり機能する環境を整えてから治療を進めます。歯を失った後の対応は患者さんにとって将来の生活の質に直結する問題です。そのため、現在の状態を正しく評価し、より良い方法を選んでいただけるよう十分な説明と相談の時間を設けています。インプラント治療を含め、患者さんが安心して長く健康を維持できるような治療を提供していきます。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【隆院長】小児歯科という言葉は昔からありますが、私がスタッフに話してきたのは、小児歯科は歯だけではなくお口全体の管理をする場所ということ。今回、大人の診療も始めたことで、そのお口全体の管理を子どもの時からご高齢になるまで、途切れなく行えるようになりました。お口の機能を長く健康的に維持することで、全身の健康にもつなげていきたいと考えています。
【智副院長】これからも、保護者が納得できる治療、お子さんが安心できる治療を提供できればと思っています。
【朗先生】大切なのは、自分の口の状態を理解し、どうすれば健康を長く維持できるかを一緒に考えていくことです。当院は子育て世代の方が多く通われていますが、若いうちから予防やケアを習慣づけることが将来の大きな財産になります。痛みが出てから慌てるのではなく、気軽に相談していただくことで、より良い未来につなげられると思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療:49万5000円~
骨を増やすための処置:13万2000円~
ホームホワイトニング:2万2000円~
オフィスホワイトニング:2万9700円~
歯列矯正:検査2万2000円、診断料1万1000円、1期治療24万2000~33万
2期治療71万5000円~

