中富 貴大 院長の独自取材記事
なかとみ歯科医院
(福岡市東区/箱崎九大前駅)
最終更新日:2024/08/29

福岡市営地下鉄箱崎線の箱崎九大前駅から徒歩1分、再開発が進み若い世代も増えつつある箱崎エリアにある「なかとみ歯科医院」。現院長の中富貴大先生の曽祖父の代より引き継がれる歴史の長い歯科医院だ。予防歯科について長年診療に携わった経験をもとに、地域住民の歯の健康を守る取り組みに注力している。「歯科治療は皆さまにとってわかりにくいものだと思います。だからこそ、わかりやすく関心を持ってもらいやすいように工夫をしたいのです」と語る中富院長から、これまでの経歴や治療に対する考え方、患者に伝えたいメッセージなどを聞いてきた。
(取材日2021年1月15日/情報更新日2024年7月30日)
口腔内の点検に来る、カジュアルな場所をめざして
歯科医師をめざしたきっかけについて教えてください。

当院はもともと曽祖父の代からこのエリアで歯科医院を営んでおり、父が最も身近な歯科医師でした。実は、最初は歯科医師に興味はなかったのですが、将来の進路を考えるにあたって身近にいた父の姿や助言もあり、自然と志すようになりました。大学では初めて親元を離れたのもあり、学業と居酒屋のアルバイト、そしてヨット部の活動にと楽しくも忙しい毎日でしたね。歯学について専門的に学ぶようになってから、改めて日本の医療制度・医療保険や歯科医院の現状を考えるようになり、虫歯になってから治療するのではなく予防することがまず大事だと気づきました。これは歯科医師となった今でも大切に考えています。そして、大学卒業後はすぐに福岡に戻るのではなく、歯科医師として5年は修行期間を設けようと思っていたので、東京で臨床を通して幅広い知識と治療法を学んできました。
このエリアの患者の特徴などはありますか。
子どもの頃から住んでいるエリアなのですが、昔から高齢の方の多いエリアではありました。現在の場所に父が当院を構えて30年以上の歴史があり、昔からずっと通い続けていただける患者さんもいらっしゃいます。近頃は箱崎周辺の再開発が進んできており、高層マンションなども増え、20代から30代の方も増えてきた印象です。都心部にもほどよく近くて住みやすいですからね。少しずつ予防歯科について認識が広まり、予防目的で来られる方も増えてきた印象ですが、まだまだ痛くなってから来院される方も多いのが現状です。これからも予防歯科の重要性を理解していただけるようにもっとアクションを起こしていきたいですね。
診療の上で大切にしていることは何ですか?

繰り返しにはなるのですが、予防歯科を大切にしています。多くの方は虫歯になったり痛みや違和感を感じたりしてから初めて歯科医院に足を運び、治療が終わると来られなくなると思います。しかし、治療が終わったとしても虫歯などになりやすい環境そのものを改善しなければ、同じことを繰り返してしまいます。そうなるといずれは大切な歯を失ってしまうことも。そこで私は、歯科医院を「治療する嫌な場所」から「お口の点検に行くカジュアルな場所」と捉えてもらい、未来をより健康的に過ごしていただくための大切なものだと理解してもらえるように心がけています。
患者が歯科衛生について「自分事」にできるように
こちらでの診療における流れを教えてください。

まずは、何より患者さんの口内がどのようになっているかを知らなければ診療方針を決められないので、十分な資料を取るようにしています。もちろん痛みなどが激しい際は治療を優先させるのですが、可能であれば部分的に資料を取るのではなく口腔内写真を14枚ほど撮ったり、エックス線検査、歯周病検査などを行ったりして口腔内全体の情報が残るようにします。また、他の歯科医院さんで行った治療やその時の様子などもヒアリングし、今後の治療に生かしていきます。およそ1時間から1時間半ほど時間をかけて初回カウンセリングを行います。そして2回目にお越しになった際には、資料をもとに現状をお伝えし、より口の中のことについて興味を持ってもらえるようにしています。
カウンセリングや説明をとても大切にされているんですね。
なかなか「予防歯科に取り組みたい」というニーズは自然と生まれませんので、その大切さを伝えることは歯科医師として進めていきたいんです。また、伝え方次第で患者さんの反応も大きく変わりますので、いろいろと工夫をしてお伝えしていきたいですね。よく例え話として出すのですが、皆さんが日頃乗られている自動車だって、定期的に車検や点検といったものが必要です。自動車は部品を交換すればまた正常に戻りますが、皆さんの健康な歯は替えが利きません。その大切な歯を一本でも多く残しておいしい食事と健康な毎日を楽しんでほしいのです。予防というちょっとの努力で得られる明るい未来を一緒につくっていきたいですね。
健康な歯を保つために知っておいてほしいことはありますか?

毎日歯科医院に通うことができれば、プロの手で口腔内をきれいにして異常を発見できるので良いですが、そんなことは誰もできませんよね。ご自身できちんとした口腔内ケアについて知って実行していただくだけでも、大きく状況は変化すると思います。そのためにも、歯を磨くときに自分が見えないところをいかに磨けるかが大切です。自分では磨けているつもりでも磨けていないという場所がどんな方でも多くありますので、ぜひ一度歯科医院で染め出しによるチェックを受けてほしいですね。染め出しとは、磨き残しによって口腔内に残った歯垢を着色してわかりやすくするもの。自分の弱点を可視化することにより、今後の意識づけにつながっていきますよ。
地域の口腔衛生を担う、かかりつけ歯科医に
先生が日頃治療において大切にしていることやモットーはありますか?

当たり前のことではあるのですが、患者さまの年齢を問わず丁寧な言葉遣いと対応を心がけています。歯科医院全体を客観的に見ても、まだまだサービスの行き届いていないケースが多くあると個人的に思っているのです。もちろん「患者さま」と極端になってはいけませんが、歯科治療に対してより前向きに捉えていただくためにも、心地良く安心できる環境を提供していきたいですね。また、私自身2人の子どもがいるのですが、子育ての大変さについては本当に身をもって体感しました。一方的に親御さんに「こうしないといけない」と伝えても難しいことは多々あります。だからこそ、親御さんの気持ちに寄り添ったアドバイスが少しはできるようになってきたかな、と思いますね。
歯科医院を選ぶ上で、大切にしてほしいポイントはありますか?
一度行ってみて、そのときの感覚を大切にしてほしいですね。どれだけホームページやクチコミを見たとしても、ご自身と合うか否かまではなかなかわかりません。実際に歯科医院で歯科医や歯科衛生士、受付スタッフの対応などを総合的に判断して、納得のいく治療ができそうかどうかという体感を大切にしてみてください。今後定期的にメンテナンスなどを行う場合は、本当に長期のお付き合いとなるからです。だからこそ当院では、私を含めてスタッフ一同できる限り患者さんに寄り添って対応できるように日々心がけています。あとは、ホームページなどで確認して、予防歯科に力を入れている歯科医院を選ぶのも大切です。
今後の展望と、読者の方にメッセージをお願いします。

箱崎エリアの皆さまに、より良い診療を一人でも多く提供できるように頑張っていきます。そのためにも通いやすい歯科医院づくりや情報発信に努めていきます。特に予防歯科については、まだまだ皆さまにとって当たり前にはなっていないものかと思います。しかし、健康的な生活のためには今後必須になってくる重要なことだと思っています。だからこそ、「歯科治療に嫌な思い出がある」「痛い治療をされてもう歯医者に行きたくない」という方にとって通いやすい歯科医院となるように心がけていきます。