井坂 太郎 院長の独自取材記事
井坂歯科医院
(福岡市南区/大橋駅)
最終更新日:2026/06/24
西鉄バス「老司」バス停より徒歩5分。昔ながらののんびりとした住宅街の一角に「井坂歯科医院」はある。1993年の開業以来、地域に密着した歯科医院として、小さな子どもから高齢者まで幅広い層に親しまれている。2016年に院長を引き継いだ2代目の井坂太郎先生は、明るく気さくな人柄で、何でも相談できる雰囲気が魅力の歯科医師。大学を卒業後、視野を広げるために他院で研鑽を積んできた。その豊富な経験を生かし、患者の多様な訴えに対して柔軟に対応している。今回のインタビューでは、先代からの地域医療にかける思いや診療で大切にしていることなど、たっぷり話を聞いた。
(取材日2021年3月29日)
親子2代にわたって、地域に根差した歯科医療を提供
まず、先生のプロフィールを教えてください。

僕は東京生まれで、父は歯科医院を営んでいました。母の実家が福岡にあり、休みになると家族で帰省していたのですが、父がすっかりこちらを気に入ってしまって。東京の歯科医院を閉め、福岡で新たに開業することになったんです。それがおよそ30年前。僕は当時中学3年生で、向こうに友達がたくさんいたことから、正直に言うと引っ越すのは嫌でした。実際に暮らしてみると福岡の良さがわかるようになってきましたが、もう一度東京に行きたいと思って、日本大学の歯学部に進学し、卒業後もそのまま残ることに。さまざまな患者さんを診たくて、都心部や郊外の歯科医院で働き、分院長も務めました。専門性を高めるよりも、オールマイティーに対応できる歯科医師をめざして、一般的な歯科診療から、入れ歯治療、インプラント治療、小児歯科まで、一通り経験しましたね。
こちらに戻って来られたのはいつ頃だったのですか?
11年間の勤務医生活を経て、こちらに戻ってきたのが2013年。若い頃は刺激を求めて上京したけれど、向こうで暮らして改めて福岡の魅力に気づきました。その後、父が大病を患って手術をしたのをきっかけに院長職を継承して、現在に至ります。父は70歳を超えましたが、今も現役で患者さんを診ていますよ。一緒に働くようになってから、尊敬できるところが増えました。父は技術もありますし、診療が丁寧。そして何よりも患者さんとのコミュニケーションを重視しています。歯を治すことだけが歯科医師の仕事じゃない、患者さんの心に寄り添うことが大切だと気づかせてくれたのは、他でもない父です。お互いを尊重し、相手の診療に口出ししないようにしているから、親子2人体制でもうまくいっているのでしょうね。
お父さまから院長職を引き継いで変わったことはありますか?

僕が帰ってきてから、土日と平日の夜間診療を始めました。お仕事や学業で忙しい方も通いやすいよう、週3回は20時まで、土曜日は昼休みなしの15時まで、日曜は午前中の診療を行っています。日曜に開いているところは少ないせいか、遠方から来院される方もいらっしゃいます。突然のお口の中のトラブルにも対応しているので、何かあればすぐにお越しいただければと思います。あとは大きく変わったところはないですね。父が今までやってきたことをベースに、地域に根差した歯科診療を提供して、皆さんのお役に立ちたいと思っています。
かかりつけ医として、地域住民の歯の健康を守りたい
どういった患者さんが多いですか?

この近くにお住まいの方を中心に、小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い患者さんがいらっしゃいます。父の代から通ってくださっている方も多いですよ。親子2代、3代、さらには親戚ぐるみで来られている患者さんもいらっしゃいます。正直に言うと、このエリアに住む方々は、歯への意識はあまり高くないように感じています。痛くなってから来られる方も多いです。ですから、歯の大切さや失うことのリスクをしっかり伝えるようにしています。大変ですが、その分やりがいがあります。そのかいあって、定期的にメンテナンスに来てくださる患者さんが少しずつ増えてきたことがうれしいですね。
予防歯科の取り組みについて教えてください。
歯を失う主な原因は虫歯と歯周病だと考えています。いくらここで治療をしても、ご自宅でのお手入れが不十分ですとまた元に戻ってしまいますから、毎日のセルフケアがとても重要です。まずは予防がなぜ必要なのかを患者さんに丁寧に説明し、ご納得いただいた上で、正しいブラッシングのやり方を指導するようにしています。ただ、歯磨きだけで歯の汚れを取り除くことは難しいため、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。当院にはタイプの異なる歯科衛生士が2人いて、歯石やプラークなどの除去をするスケーリングにしても、ブラッシング指導にしても、お互いに足りない部分を補い合えます。患者さんに与える印象やメッセージも異なるので、より気づきを得やすいのではないでしょうか。担当制ではありませんが、気の合う歯科衛生士を指名することも可能です。
入れ歯治療はどのように行っていますか。

院内に歯科技工室があるので、こちらで咬合床(こうごうしょう)と呼ばれる入れ歯の原型を作り、それをもとに信頼できる歯科技工士さんと協力して、患者さんお一人お一人にぴったりフィットする入れ歯の作製に努めています。型採りができれば、1週間くらいでお渡しが可能です。当院では、ほとんどの歯を失ってしまった状態で来られる患者さんも少なくありません。うまく噛むことができず「なんとかしてほしい」と駆け込まれる方もいらっしゃいます。そうした際に、抜歯すべき歯がある場合には、「即時義歯」といって、抜歯すると同時に使用可能な入れ歯を入れるという選択肢があります。実際に入れ歯を使っていただきながら、細かい調整を行っていきます。違和感などがあればぜひお気軽にご相談いただきたいです。
患者とのコミュニケーションを重視し、信頼関係を築く
診療の際に心がけていることは?

無理に治療の選択肢を押しつけないことです。こちらがベストだと思う治療が患者さんにとってもそうだとは限りません。さまざまな治療法を提示して、患者さんが選んだ治療に対して全力を尽くすことを大切にしています。歯の痛みを訴えて来られても、本当は精神的な問題を抱えている方や、ただ話を聞いてほしいだけという方もいらっしゃいます。歯科医師はお口の中を治療することだけが仕事じゃない。患者さんとコミュニケーションをしっかりとり、信頼関係を築くことが最も重要だと思います。特にお子さんの場合、歯科医院は怖い場所だと思うので、いきなり治療することはありません。まず、いろいろ話しかけて「この先生なら大丈夫」と安心してもらってから始めるようにしています。大人の方でもそうですが、お互いわかり合うことが適切な治療への近道だと考えています。
地域の方々と良好な関係を築いていらっしゃるのですね。
東京にいた頃に比べると、患者さんとの距離がとても近い印象です。感謝されることも多くて、やりがいを感じます。毎年年賀状をくださる方や、畑で採れた野菜や果物、釣った魚、お菓子などを持ってこられる方もいらっしゃり、この地域に住んでいる方は皆さん温かい人ばかりで、ありがたいなと思いますね。患者さんの中には、治療を受けずにトイレだけ借りて帰られる方もいらっしゃいます(笑)。それもお互いの信頼関係があってこそ。これからも地域の皆さんにとって、かかりつけ医として身近な存在でありたいです。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

開業から30年近くたって、建物もだいぶ古くなったので何とかしたいですが、規模を大きくしたいとか、患者さんを増やしたいといったことは考えていません。今来てくださっている方を大切にして、そこから少しずつ広がっていけばいいですね。患者さんとともに年齢を重ね、一生お付き合いできるような歯科医院をめざしています。歯は死ぬまで使っていくものだから、日頃のケアが大切です。歯科医院はコンビニよりも多いともいわれていますが、その中から自分に合った歯科医院を見つけていただきたい。できれば痛みのない段階で定期的な受診を続けてほしいです。歯科医院は決して怖いところではありません。お口や歯のことならどんな些細なことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

